酒のつまみになる小説 『ティファニーで朝食を』で安息の朝を思う

2025.03.05 07:00
友人からでも、家族からでも、書評でも、課題図書でもない「オススメの本」を読んだことはありますか? 「文喫 六本木」のブックディレクター・及川貴子さんにBRUDER読者をイメージした一冊を選んでもらいました。「ティファニーで朝食を」/トルーマン・カポーティ
今回のテーマは、ずばり“酒が飲みたくなる”作品。トルーマン・カポーティの手による『ティファニーで朝食を』は、タイトルに反して、酒が度々登場する一冊です。
美しきヒロイン、ホリー・ゴライトリーの生活は実に奔放です。毎日午後5時過ぎに起き出し、ナイトパーティーで飲み遊ぶ『朝食』とは縁遠い暮らしをしています。ティファニーも朝も、彼女にとっては安息の象徴でしかないのです。
―――いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、この自分のままでいたいの――――本文より
彼女は理想の朝を迎えることができたのか? 主人公や私たち読者には想像することしかできません。
ちなみに、小説はオードリー・ヘプバーンがホリーを演じた映画版とは全く結末が違います。個人的には小説版の方が好みですが、どちらがよりロマンティックに感じるかは、きっと人それぞれ。ぜひ酒を飲みながら、誰かと語り合ってみたいものです。
「ティファニーで朝食を」トルーマン・カポーティ(新潮社)/¥1,540(税込)

COOPERATION
文喫 六本木 ブックディレクター 及川貴子
2018年日本出版販売入社。2021年4月より文喫 六本木のブックディレクターとして、企画選書や展示イベント企画、本のある空間のプロデュースなどを行う。
  文喫 六本木
文化を喫する、入場料のある本屋。人文科学や自然科学からデザイン・アートまで約3万冊の書籍を販売している。閲覧室や研究室、喫茶室を併設し、企画展も定期的に開催。普段あまり出会うことのない新たな興味の入り口となっている。
住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F
営業時間:9:00~20:00(L.O. 19:30)/不定休
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Edit : Hiroto Goda

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