飯米と酒米、米の魅力を食べ比べて再発見!

2025.01.22 10:50
日常的に食べるご飯、「飯米」の味わいは知っていても、日本酒造りに使われている「酒米」を食べたことがある方は少ないのではないでしょうか。酒米は飯米と比べてどんな特徴があるのか、そのまま食べたら美味しいのか?など、一般の消費者の方にご協力いただき食べ比べする味覚体験会を行いました。食べ比べにはイタリア米も追加登場!また、イタリア料理教室effe-co.(エッフェコー)を主宰する板倉布左子さんに考案いただいた「日本酒リゾット」のレシピもご紹介します。米の魅力を改めて知り味わってみませんか?
日本の食に欠かせない米
米は、日本の食卓に、そして酒造りに欠かせない存在です。新潟県長岡市に酒蔵を構える朝日酒造では「酒造りは、米づくりから」という考えのもと、蔵人も米づくりに携わり、日本酒にとって理想的な米を追求しています。

米は、気候や風土、食文化、嗜好、用途に合わせて世界中で自在に調理され、多様な料理に活用できる万能な食材です。米の奥深い魅力をあらためてよく知るため、普段主食として食べられている「飯米」、日本酒造りに合うように開発された米「酒造好適米(酒米と呼ばれるものの一部)」を主役に味覚体験を行うため、数人のグループに集まっていただきました。
新潟の誇り、2つの名品種
新潟県は、米の栽培面積、収穫量ともに全国1位(2023年)。酒蔵の数でも全国1位であり、米どころであると同時に、酒どころでもあるのが分かります。

今回の味覚体験には、新潟を代表する品種を選びました。飯米は、新潟県における品種別作付面積において約70%もの割合を占めている「コシヒカリ」。人気のある品種で、いわゆる“ブランド米”として日本では知られています。酒米は、全国生産量2位を誇り、新潟県でもっとも多く生産されている酒造好適米「五百万石」。日本酒「久保田」の酒造りにも使われている米です。

五百万石は、寒冷地の気候風土に合わせて開発され、1938年に新潟で誕生しました。新潟の他、北陸地方を中心に現在も栽培されています。 やや硬めで溶けにくい米質のため、繊細な味わいをもたらす傾向があります。新潟米を100%使用した「久保田」のすっきりとした淡麗辛口は、五百万石が生まれたからこそできたとも言えるかもしれません。
コシヒカリと五百万石を一粒ずつ、よく比べて見てみましょう。今回は、飯米と同じように精米したので、炊飯前と炊飯後を比べてみても、共に五百万石の方が大きいのがよくわかります。
米本来の味わいを比べる
これら2種類の米を同じ炊飯器で全く同じ条件で炊き、米そのものの味をじっくり味わってみました。
味覚体験に参加した多くの人が、五百万石を「飯米と同じ感覚で美味しく食べられる」とその米としての質の高さを賞賛する声と共に、粒の水分量に大きな違いがあるという感覚を持ったとのこと。
コシヒカリは「水分量が多く、あまり噛まずにも飲み込めてしまうほど」、といった意見があったのに対し、五百万石は「ひと粒ずつの存在感があり、噛みごたえ、弾力がある」という印象が挙げられました。感覚的には、「コシヒカリの方が舌触りはなめらか。五百万石の方が味が薄く大味である」、「五百万石はビールに例えると、糖質オフみたいな感じ」という発見がありました。

興味をそそられることに、咀嚼すればするほど味覚は変化していきました。「口に含んだ際にはコシヒカリの方が甘みを感じる。五百万石は、はじめはさっぱりした味の印象だったが、噛みごたえがある分咀嚼回数が多くなり、アミラーゼが分泌してだんだん甘みを感じられるようになった」とのコメントもありました。
漬物と合わせて比べる
次に、シンプルな和食材と共にコシヒカリと五百万石を食べ比べてみます。

塩分のあるナスと野沢菜の漬物をおかずに炊いて食べてみると、コシヒカリは「米が漬物の塩分も水分も吸収して、咀嚼しているうちに甘みと旨みに変わる」のに対し、五百万石は「米が塩分も水分も吸収せず、咀嚼しても合体しないまま漬物のしょっぱさが口にずっと残る」という意見が聞かれました。漬物をもってすると、やはり飯米コシヒカリに軍配が上がりました。

「おかずのお供として食べる米は、コシヒカリが一番」というのが多くの人が抱いた感想である中、「リゾットのような米が主役の料理には、粒としての主張が強い五百万石のようなしっかり系の米が合うんじゃないだろうか」という意見も聞かれました。
そこで、酒米を使ったリゾット作りを試してみることにしました。
リゾットにして比べる
リゾットでも食べ比べを行い、コシヒカリと五百万石にイタリア米を加えて、3種の味覚体験してもらいました。

コシヒカリを使ったリゾットは、「米粒が潰れやすく、ベチャっとした仕上がりになってしまう」と不評。やはりリゾットの本場、イタリア米には高評価が集まり、「芯が程よく残り食感がいいうえ、味がハッキリ際立っていて美味」というが声がでました。興味深いことに、五百万石は「イタリア米に近く、リゾットにしても合う」という新しい気づきがありました。やはり、五百万石の特徴である硬めで溶けにくい性質の米だからでしょうか。
日本酒リゾットを作ってみよう
イタリアでは、ワインの果実味や、酸味を生かしたリゾットも楽しまれています。そこで、日本酒をリゾットにアレンジできるレシピをイタリア料理教室effe-co.主宰の板倉左布子さんに特別に考案していただきました。

【材料】(4人分)
・イタリア米: 140g
・ベルギーエシャロット:15g
・バター:20g
・パルミジャーノレッジャーノ  :20g
・日本酒(お好みの銘柄でOK):100ml
・ブロード(野菜スープ) : 約400~500ml
・オリーブオイル.:大さじ1
・塩:小さじ1

【作り方】
① ベルギーエシャロットを小口切りにする。
② 鍋に半量のバターとオリーブオイル大さじ1を入れベルギーエシャロットを焦げないように注意しながら炒める。ベルギーエシャロットの辛味が飛んだら米を加え、2~3分程度炒める。
③ ②に酒を入れアルコールが飛んだら、ブロード300mlを足す。弱火で15分加熱する。その間、お米の表面が見えるようであればブロードを足す。
④ 15分経ったら、残りのバターと、パルミジャーノレッジャーノを加え、約3分乳化をさせることを意識しながらかき混ぜ続ける。塩小さじ1を入れ、味を整える。足りないようであればさらに足すなど調節する。
⑤ 1分布巾をかけて蒸らす。
⑥ 器に盛り付け、お好みでパルミジャーノレッジャーノを散らす。
スモークサーモンや生ハムをのせても美味しいのでおすすめです。
日本酒リゾット×日本酒で味わう米の至福
米の旨み、日本酒の旨み、チーズの旨みなど、たっぷりの旨みを存分に楽しめる至福の旨みリゾットが出来上がりました。また、「久保田」のラインアップを飲み比べた結果、この日本酒リゾットのペアリングとしては、「久保田 萬寿 自社酵母仕込」がベストマッチとの声が最も多く挙げられました。

日本酒リゾットには、お好みでスモークサーモンや生ハムをのせれば、より個性やバラエティーを楽しめます。お好みの米、日本酒、そしてトッピングと、あなたなりのアレンジで、美味しさの発見を心ゆくまで楽しんでみてはいかがでしょうか。
五百万石を使った「久保田 萬寿 自社酵母仕込」
酒米、精米方法、自社酵母の三つにこだわった醸造を行った、エレガントで深みのある純米大吟醸。口に含めば、存在感のある味わいながら、後味は透き通るようなキレを感じられます。

五百万石は磨きすぎると崩れやすく、50%以上の精米は難しいといわれてきました。この五百万石を極限まで磨くために選んだのは、「原形精米」と呼ばれる方法でした。米の形状を保ちながら精米をすることで、たんぱく質を効率よく低減させることに成功。綺麗ですっきりとした味わいを引き出すために、通常の約2倍の100時間をかけながら、丁寧に磨き上げています。

久保田 萬寿 自社酵母仕込
720ml    11,550円(税込12,705円)
※こちらの記事内で紹介した商品の価格は2025年1月22日現在のものです。
effe-co.主宰 板倉 布左子
島根県出雲市出身。
イタリア郷土料理への情熱からイタリア・トリノに渡り、10年間生活する。
ピエモンテ州料理学校で学び、ディプロマを取得。世界的に有名なカフェBARATTI&MILANOで経験を積み、ピエモンテ州の料理学校Abcincucinaで講師を勤め、設立委員会の一員も務める。現在は地元出雲と東京を行き来しながら、イタリア教室effe-co.(エッフェコー)を主宰、スタジオ/オンラインレッスンのほか、出張料理、メニュー開発、レシピ提供など様々な活動を行う。出雲では「Sunday Market CiBO (サンデー マーケット チーボ)」を仲間とともに運営している。著書には、料理本『マーケットから生まれる12ヶ月のイタリア料理:トリノ&出雲&東京』がある。viawww.instagram.com

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