京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、年齢や性別、国籍などに関係なく、すべての働く仲間にとって「働きやすく働きがいのある会社」「働く仲間が幸せになる会社」の実現を目指し、ダイバーシティ エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進しています。目指す姿を実現するためには女性従業員の活躍推進が不可欠と考え、2023年7月に女性活躍推進プロジェクトを発足しました。
このプロジェクトには女性従業員14名と役員幹部が参画し、議論を重ねながらさまざまな施策を実行してきました。その結果、2024年4月には女性管理職比率がプロジェクト発足前(2023年3月時点)と比較し約2倍の15.4%となり、情報通信業の平均値を上回ることができました。また2024年5月には厚生労働大臣認定の「えるぼし認定」最高位の3つ星と「くるみん認定」を取得することができました。
なぜ短期間で社内に変化を起こすことができたのか、KCCSの女性活躍推進プロジェクトリーダーに話を聞きました。
■社長、女性取締役をはじめ役員幹部が女性活躍推進の牽引役に
KCCSは、未来にわたって成長し続け、お客様や従業員、社会に選ばれ続ける企業となるために、人材の多様性を確保することが不可欠と考え、DE&Iを推進しています。多様性のある会社を目指す第一歩として、2023年7月に女性活躍推進プロジェクトを発足しました。
KCCSの女性活躍推進プロジェクトでは、社長の黒瀬と、女性取締役の牧田がプロジェクトオーナーを務め、社内の各部門から選出された14名の女性従業員でプロジェクトチームを構成しています。また役員や各部門の本部長・副本部長10名がプロジェクトサポーターとして参画し、プロジェクトへのアドバイスや従業員への活動内容の周知、理解促進の面で支援を行うことになりました。
KCCSの女性活躍推進プロジェクトの体制図
一体感を持って活動していくために、メンバー全員でプロジェクト名のアイデアを出し合いました。十人十色(個々のカラー)の個性や強みを発揮し、「ここから」スタートしようという思いを込めて「COCOLOR(ココカラ)プロジェクト」と名付けました。
プロジェクト活動は、世の中の動きや社内のデータ分析、ヒアリング結果などをもとに仮説を立て、課題・アクションが明確になったテーマからタスクフォースを立ち上げて進めています。例えば「女性管理職支援」「育休復帰支援」「リスキリング支援」などをテーマとしています。
このようなプロジェクトを進める際、上位層の巻き込みや、社内への活動内容の浸透に苦労している企業が多いと聞いたことがあります。KCCSのプロジェクトは役員幹部も参画する全社横断型の体制で、月に2回の定例会議の内、1回はプロジェクトオーナーやサポーターが出席しています。トップマネジメントが出席する場で必要な施策を議論することで、スピード感をもって社内に展開していくことができています。
■現状分析と現場の声をもとに本当に必要な施策を生み出す
KCCSでは、プロジェクト発足以前から仕事と育児の両立支援に取り組んできました。具体的には、育休取得による昇格遅れをなくすためポイント累積型での評価・昇格を廃止し、また育児中に労働時間の制約がかかりやすい状況を考慮し、育児期のテレワーク制度・フレックス制度を導入しました。
しかし、自社の現状分析や社員アンケート・ヒアリングを行った結果、女性従業員の管理職に対するマインドセットが後ろ向きになっていることが分かり、また育休から復帰する際の支援についても、まだまだ課題があることが見えてきました。
例えば、能力があっても管理職になることに不安を持つ女性が多く、また周囲や上司も育児中の女性に配慮するあまり、十分な機会を提供できていない状況が見受けられました。
そこでプロジェクトでは「女性管理職候補支援プログラム」を開始しました。このプログラムでは、女性従業員と上司双方のマインドセットを変えていく具体的な支援体系として、将来の女性管理職候補を選出しスポンサーのもと1年間の教育・支援を実施します。
また産休・育休を経た女性従業員のスムーズな職場復帰と復帰後のキャリア形成を支援するために、「育休復帰支援プログラム」も新たにスタートしました。このプログラムでは、育休復帰者とその上司を対象に研修やワークショップを実施します。
その他にも、育児期の出社ルール緩和(通勤免除)や育児期社員のネットワーク形成のためのオンラインランチ会など、さまざまな施策を企画・実施しています。
社内の女性従業員からは「育休復帰者向けの研修を受け、不安な気持ちがやわらいだ」「女性が活躍できる会社を目指すことは、全員が活躍できる会社につながるはず」といった自身の気持ちの変化や今後に期待する声も多く上がっており、手応えを感じています。
■なぜ女性活躍推進に取り組むのか?会社が目指す姿を全従業員に伝える
プロジェクトを進める上で課題になったのが、女性活躍を推進する意義について、社内での理解がなかなか進まないことでした。「女性だけ優遇しているのでは?」「育児をしている従業員だけを優遇しているのでは?」などの否定的な声があがることもありました。
そこでプロジェクトでは、女性活躍推進に取り組む意義を社内に伝えるために、KCCSのビジョン「働く仲間が幸せになる会社」に立ち返り、エクイティ(公平性)の考え方の説明に力を入れました。
KCCSが目指すエクイティ(公平性)はエクオリティ(平等)とは異なり、スタート地点の違いに着目し、一人ひとりの状況に応じて支援内容を変えることです。全国24拠点をオンラインでつないだ説明の場を設け、世の中の動向やKCCSの現状も交えながら、エクイティの考え方と、今ある不均衡を解消するために必要な支援を行うKCCSの女性活躍推進の目的・意義について、トップマネジメントによる丁寧な説明に取り組んでいます。
プロジェクトオーナーを務める取締役の牧田が全従業員向けにメッセージを配信
■一人ひとりの個性や強みを発揮し、多様な人材が活躍できる会社を目指して
こうした取り組みの結果、プロジェクト発足から1年で女性管理職比率を7.8%(2022年3月時点)から約2倍の15.4%(2024年4月時点)へ改善し、情報通信業の平均値9.5%(※1)を上回ることができました。また、2024年5月には厚生労働大臣認定の「えるぼし認定」最高位の3つ星と「くるみん認定」を取得することができました。
さらに、社内では女性活躍推進プロジェクトをきっかけに、男性従業員の育休取得推進や有給休暇の取得推進、採用活動における女性採用比率改善の取り組みなど、さまざまな良い変化が起きはじめています。
一方で、まだまだ解決するべき課題も多いと考えています。多様な人材が活躍できる会社を目指して、まずは女性従業員が個性や強みを発揮し、個人の成長、会社の成長につなげていくことができるように、これからもプロジェクトを推進していきます。
※1 出典:令和5年5月31日付厚生労働省 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定制度に係る基準における「平均値」について
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