この記事をまとめると
■9月21・22日に奥伊吹モーターパークにてフォーミュラジムカーナ2024全国決勝大会」が開催された
■フォーミュラジムカーナクラス(大学自動車部対抗戦)を制したのは長岡技術科学大学
■女子クラスを制して初代女王となったのは吉川萌衣さん(法政大学)
フォーミュラジムカーナ2024最終戦はゲリラ豪雨で波乱の幕あけ
同じクルマ、同じ仕様、そして同じタイヤのイコールコンディションで争われる4年生大学自動車部のジムカーナ競技会、それが「フォーミュラジムカーナ」だ。そんなフォーミュラジムカーナ2024シリーズの最終戦となる全国決勝大会が9月21・22日の2日間にわたって滋賀県・奥伊吹モーターパークにて開催された。
フォーミュラジムカーナシリーズの2024シーズンは、鈴鹿ツインラウンド、エビスラウンド、TSタカタラウンドと3回の予選会を実施し、その上位3校が奥伊吹モーターパークで開催される「フォーミュラジムカーナ2024全国決勝大会」へと進出するシステムを取る。
そして、2024年の決勝大会に駒を進めたのは、近畿大学/大阪大学/大同大学/長岡技術科学大学/中央大学/拓殖大学/広島大学/横浜国立大学自動車部/鹿児島大学自動車部の9校と、主催者推薦の兵庫県立大学の10校。
決勝戦は各校3名のドライバーが午前と午後に1本ずつ走行を行い、各ドライバーのベストタイムの合計によって争われることとなる。
そして迎えた決勝戦当日の22日、天候はあいにくの雨。それもバケツを引っくり返したような豪雨だ。
このため、スケジュールを急遽変更し、当初は午後のランチタイム後に予定されていた協賛企業のデモカーによるデモ走行と同乗走行を繰り上げて行うことになった。
このスケジュール変更が功を奏し、雨脚はやや弱まる。こうしていよいよ日本一の大学自動車部を決める決勝戦の第1ヒートが始まった。路面は完全なウェットで、スピンやミスコースによりタイムを揃えられない大学も出る波乱の幕あけ。そんななか、第1走行を終えてトップに立ったのが近畿大学。その後に大阪大学、大同大学が続く。
第1ヒートを終えると、スケジュールは協賛企業との懇親ランチへと進んだ。この懇親ランチは、「フォーミュラジムカーナ」の目玉のひとつでもあり、「自動車関連企業とクルマ好きな若者をつなげる」というコンセプトを具現化したもの。
実際、協賛企業のなかには、この懇親ランチで将来有望な学生をリクルートすることもある。学生にとっても企業にとっても非常に有意義な時間であり、ひいては自動車業界の未来を明るく照らすための活動といえるものとなっている。
そして明るく照らすのは、自動車業界の未来だけではなかった。なんと、懇親ランチ中にあれだけ降っていた豪雨が嘘のように上がり、燦々と太陽が輝き始めたのだ。
まさかの天候回復によるドライ路面でミラクル連発
路面もドライへと変わるという奇跡のなかで始まった第2ヒート。当然のことながら、午前中よりもいいタイムが連発される。優勝は第2ヒートで好タイムを揃えた大学が勝利することになるのは間違いなさそうだ。
第2ヒートの第1ドライバーが走行を終えた時点で、依然トップにたっていたのは近畿大学。2位には昨年の雪辱をはらすべく近畿大学を猛追する長岡技術科学大学、さらには第1ヒートでは5位だった横浜国立大学が3位にポジションをあげていた。
そして、第2ドライバーの走行で事件が起こる。横浜国立大学と長岡技術科学大学の第2ドライバーが順調にタイムアップをしたのに対し、トップの近畿大学の第2ドライバーが痛恨の一時不停止。これによりペナルティを受けることとなり、1・2・3位の合計タイム差が一気に縮まる。優勝校の行方は第3ドライバーの結果に委ねられることとなった。
運命の第3ドライバー。まずは横浜国立大学の第3ドライバーが第1走行から10秒のタイムアップを果たす。続く長岡技術科学大学の第3ドライバーは1分8秒の好タイムでまとめる。そして近畿大学の第3ドライバーは……渾身のランでこの日のベストラップを記録。果たして総合結果は……?
第3位近畿大学、第2位横浜国立大学、そして優勝は長岡技術科学大学。昨年は準優勝で悔しさを味わった長岡技術科学大学が、見事に大学自動車部日本一の栄冠を勝ち取った。
さらに、「フォーミュラジムカーナ2024全国決勝大会」は白熱した展開で幕を閉じた大学自動車部対抗戦だけでは終わらない。今シーズンより女子クラスが新設されているのだ。このクラスは、予選を勝ち上がった9名の大学自動車部所属のクルマ女子がエントリーしており、熱き女の戦いが繰り広げられた。
女子クラスの特徴はターゲットタイム制を採用した個人戦となっていることだ。これは、あらかじめ決められたタイムにいかに近いタイムでコースをミスなく走れるかを競うもの。
こちらも雨中決戦となった第1ヒートでは、9人中4人がミスコースやパイロンタッチで記録なしとなるなか、ターゲットタイム差0.613秒という驚異的な記録を叩き出した吉川萌衣さん(法政大学)がトップにたった。
ドライとなった第2ヒートでも吉川さんは、さらに自らの記録をタイム差0.263秒に縮めるミラクルランを披露。見事初代女王の座を射止めた。
「フォーミュラジムカーナ2024全国決勝大会」のリザルトは以下の通り。
フォーミュラジムカーナクラス(大学自動車部対抗戦)
1位:長岡技術科学大学自動車部 3’23.713秒
2位:横浜国立大学自動車部 3’25.363秒 3位:近畿大学自動車部 3’25.662秒 個人賞:長町来世さん(近畿大学)1’06.493秒
女子クラス
1位:吉川萌衣さん(法政大学)0.263秒
2位:武内 結さん(中央大学)1.360秒 3位:平川知佳さん(広島大学)1.465秒
こうして2代目日本一を長岡技術科学大学が勝ち取り、初代女王に吉川萌衣さんが戴冠するという結果でフォーミュラジムカーナ2024シリーズは幕を閉じた。イコールコンディションによる学生のための大会として誕生し、自動車関連企業と学生をつなぐ場としてますます注目が集まる「フォーミュラジムカーナ」。3年目となる2025シーズンにも大いに期待したい。