クルマ好きにしかできない仕事がある! だからクルマに情熱をもっている自動車部出身の学生を「フォーミュラジムカーナ」に協賛するタイヤメーカー4社は求めていた

2024.09.23 08:00
この記事をまとめると
■フォーミュラジムカーナにはタイヤメーカー4社が協賛をしている
■自動車部の学生はクルマに熱意と知識があることからタイヤメーカーから人気
■フォーミュラジムカーナを利用したリクルート活動の成果が出ている企業は多い
タイヤメーカーが学生たちに期待することとは
  クルマが生み出すあらゆる力を地面に伝える唯一のパーツがタイヤ。当然ながら、その性能はクルマのパフォーマンスを大きく左右する。
  そんなタイヤを製造するタイヤメーカーの存在感は、9月21~22日まで行われた「フォーミュラジムカーナ2024全国決勝大会」でも、自動車メーカーに比肩するほどであった。大会ではラウンドごとに、それぞれの協賛メーカーがタイヤを提供することでワンメイク化している。最終戦ではブリヂストンがタイヤを提供。男子クラスのヴィッツGRMNにはポテンザRE71RS、女子クラスにはアドレナリンRE004が提供された。
  今回は協賛タイヤメーカー4社に取材。フォーミュラジムカーナにかける思いをうかがった。
1)ダンロップ
  ダンロップとは住友ゴム工業が展開する、主にタイヤとスポーツ用品を手がけるブランド。このほかにも制震ゴムや医療器具のゴムキャップなど、住友ゴム工業は、じつは意外なものも製造している。会場には各種競技向けタイヤのほか、GR86のワンメイクレース仕様車が展示されていた。
  担当していただいた人事担当の喜多氏は自動車部OB。大会について「車両の性能差がなく、純粋な腕勝負ができるのは面白い」と、経験者ならではの感想を述べた。さらに、「普段から採用担当をしているので学生と話をすることはありますが、この大会のようにざっくばらんな形で学生と接する機会はほとんどないので、そこも面白いですね」と人事担当者ならではの感想も。
  自動車部のクルマ好きな学生のメリットについては、「会社にとっては多様性が大切なので、クルマ好きではない社員はもちろん必要です。みなさん、クルマ以外にもいろいろな理由から弊社を志望してこられます。そんななかで、自動車関連企業を希望してくる学生さんはモチベーションが高いのが特徴ですね」と語る。
2)ヨコハマ
  ヨコハマもスポーツ系タイヤを展示。走ることが大好きな自動車部員たちにアピールする狙いだ。
「学生さんから最近の話題を聞けるのは、私の年齢もあって非常にいい刺激になります(笑)。就活の悩みにアドバイスもできるので、互いにとっていい関係性が築けているかと思います」と、インタビューに答えてくれた齋藤氏は語る。
「リクルートが大きい目的ではありますね。ゆくゆくは一緒にお仕事ができる人材が見つけられるとうれしく思います。昨年のフォーミュラジムカーナをきっかけに、新たに仲間に加わってくれることになった学生がひとりいます。そのほかにも、エントリーやインターンへの参加も多数いただいており、人事面ではいい結果を上げられていると思います」と、フォーミュラジムカーナを通じたリクルート活動の成果は上々な模様。
  求める人物像については、「何かにのめり込んだことがある人を求めています。やはりそういった経験が仕事にも生きてくると思いますね。何かにはまって最後まで乗り切ったということが大切。その意味では、モータースポーツに打ち込む自動車部員はひとつのいい例ですね」
「フォーミュラジムカーナ」に協賛する理由は学生とのつながり
3)ブリヂストン
  ブリヂストンは全日本ジムカーナにてタイヤの提供をしている「ユウ選手」の車両や、実際にS耐で使用したあとのタイヤを展示。その溶けたトレッドが、レースの過酷さを物語っていた。
  そんなブリヂストンブースで話を聞かせてくれたモータースポーツオペレーション部の鈴木氏は、自身がモータースポーツを担当している経験から、「社会人のジムカーナなどの競技会場には、本当に若者が少ないのが実態です。フォーミュラジムカーナを通じて、大人たちが学生たちにジムカーナを楽しめる場所を提供することはとても大切だと思います」とその思いを語る。
  続けて、「弊社はモータースポーツを文化にしたいと考えています。そんな活動をするみなさんのサポートをできればいいですね。そう思ってタイヤの提供も行っています」とタイヤ提供の意義についてまとめた。
  ブリヂストンは、この大会にプレ開催時から参加。その際に、従来型のジムカーナはコースが複雑で覚えずらい点でつまづいてしまう人が多いことを憂慮し、簡単なコース設定とすることを提案。この案は実際に採用され、その方針はいままでずっと引き継がれている。
  また、そのリクルートの場としての効果については、「去年度の大会で、実際に大会後もコンタクトを取ってくれた学生がいたと人事から聞いています。そのため、採用面でも意義があると考えています。とくに自動車部員はクルマや運転についてスキルと熱意があるので非常にうれしい人材です。社内にもクルマ好きにしかできない仕事があります。クルマの挙動やタイヤのフィーリングに関すること、あるいはそれらをドライバーから聞き取る仕事などは、クルマが好きじゃないと務まりません」と語ってくれた。
4)グッドイヤー
  グッドイヤーは米国資本のタイヤメーカー。日本でも著名な同社だが、近年は「クルマファンづくり」をテーマに活動。「Yaris Cup」の際にはブース出展を行い、さらに同乗走行などの機会を設け、その目的達成を狙っている。
  そんな同社は、フォーミュラジムカーナについても少し違った考え方を持っている。グッドイヤーがこの大会にもっとも期待しているのは、学生から意見を聞きだすこと。「ファン作り」を行うにあたって、対応に困ったときに、参考になるということだ。
「もちろんリクルートは大切ですが、この機会はリクルートだけで終わらせるにはもったいない。それよりも貴重な情報の宝の山です」
  そのうえで、大学生に期待することについてこう語る。
「初年度から比べると、学生と企業の距離感は近づいたと思います。参加学生も3年生以下が増えて、よりリクルート的に訴求しやすくなっていると思います。だいぶ改善されていますね。一方で、もっと学生さんたちにはこのイベントを拡散してほしいです。それはSNSでも、口頭で友達に伝えるのでもいいですが、クルマで楽しんだことを拡散すればイベントも盛り上がり、『クルマファン作り』につながると考えています」
協賛企業は熱意と実利の両方を評価している
  今回の取材から、フォームミュラジムカーナへと参加するタイヤ系共催企業は、学生をサポートし、モータースポーツを盛り上げたいという熱意と、クルマに対する情熱とスキルを持った学生を採用したいという両面から参加をしていることが分かった。
  2024年で2年目を迎えたフォーミュラジムカーナはまだまだ発展途上かもしれない。でもそれは同時に、これからさらに発展していくことを意味している。これからもさらに大会が発展していくことを願って止まない。

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