日本はけっしてEVで遅れているワケじゃない! EVベンチャーの小型バス&トラックがじわじわ試乗に導入されている

2024.09.22 20:00
この記事をまとめると
■「EVモーターズ・ジャパン」は電気バスなどの製造・販売を行う
■2019年に工場をもたないファブレス企業として創業した
■「EVモーターズ・ジャパン」について詳しく解説する
物流の「ラストワンマイル」に貢献
  最近、「地球環境に優しいバス」などといったキーワードで、ネット記事などによく登場する「EVモーターズ・ジャパン」。先日、横浜で開催された「ジャパントラックショー2024」に出展するなど、その精力的な活動に熱い視線が注がれている。同社は電気バスなどを製造・販売するメーカーであるが、工場をもたない「ファブレス」企業として創業した。しかし、2023年末に最終組み立て工場が北九州市に完成したので、今後は順次国内組み立てに移行するという。
  2019年の創業ながら、全国各地のバス会社や公営交通などに対して、すでに多くのEVバス導入実績をもつ。トラック(EV物流車)については、小型から中型程度の車両をラインアップ。なかでも準中型免許で運転可能なE2(最大積載量:2.0トン、車両総重量:5.0トン)は、物流の「ラストワンマイル(最終拠点からエンドユーザーにつなぐ物流サービス)」に貢献するとして期待されている。
  この車両は、大容量バッテリーと低消費電力システムを搭載しているため、満充電時の航続距離が200kmに及ぶ。これは、同社が独自に開発したインバータによるところが大きい。電池の劣化予測・出力最適化制御をバッテリーマネジメントユニット(BMU)が担い、アクティブ・インバータはダイレクトモーターを制御。これにより、マイクロ秒単位でリアルタイムにトルク制御が可能になり、発進・坂道走行・走行時加減速の電池消費を最適化したわけだ。
  また、荷物の積み下ろし作業をするドライバーの負担を考えて、ウォークスルーが可能な広い車内・荷物を多く積める高い荷室空間・昇降が楽な低床仕様などを採用し、作業効率を重視した設計になっている。この荷室にはオプションで座席を設置することが可能で、乗合バスや小型コミュニティバスといった利用もできる。さらに、ルーフや側面には軽量・薄型で柔軟性をもち、補助電源としての役割を果たすことも可能なソーラーパネルを搭載することができる。
  このほかにも同社には、三輪バイクタイプの「eトライク」がラインアップされている。その最新型である「BARÇA(バルサ)」は、1回の満充電で100kmの長距離走行が可能な実用性が高い1台だ。充電は100V電源から可能で、燃料費はガソリン車の3分の1程度で済むという。車両後部に搭載されている荷物用コンテナは、幅広い用途が期待できる大容量(最大積載重量:100kg、最大積載容量:791リットル)タイプを採用している。
  同様の車両は他のベンチャー企業からも市場に流通しており、そのひとつに「EVトゥクトゥク(貨物タイプ)」がある。これは、タイのタクシー「トゥクトゥク」の形状を模した車両で、操舵装置はバイクタイプであるが、形状はミゼット(昭和30年代から40年代にかけてダイハツが製造した三輪軽貨物車)に近い。後部にハードタイプの荷室が供えられており、最大積載量は200kg程度のものもあって、「ラストワンマイル」の車両としての汎用性が高い。
  以前から、地球環境問題の観点で物流車両のEV化が進められてきた。しかし、技術的に中・長距離の大型トラックをEV化するのは、現時点ではハードルが高いといえる。こういった背景から、ヨーロッパのEV化機運がやや下がったような印象を受けるが、新たな技術の導入はAll or Nothingではない。これらベンチャー企業のように、まずは「ラストワンマイル」といった手の届く範囲から、少しずつ進めていくことが大切なのではないだろうか。

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