デジタルマーケティング集客とDX オペレーションを活用した注文住宅会社である株式会社ロゴスホールディングスは、2024 年6月、東証グロース市場に新規上場しました。
主な事業会社は北海道・東北・北関東に展開している株式会社ロゴスホーム、札幌市・苫小牧市に展開している豊栄建設株式会社、栃木県に展開している株式会社GALLERY HOUSE で、グループ全体で営業拠点が29 拠点(2024 年6月28 日現在)あります。
当社グループは、コロナやウッドショックによる市場環境の大きな変化以前より、それまでのアナログ的な集客方法からデジタルマーケティングを活用した集客にいち早く脱却し、年々集客数を伸ばしております。また、顧客集客、商談、建築、アフターサービスに至る家づくりに関わる全てのプロセスをDX による効率的なオペレーションを活用することで、高い生産性と少人数体制による早い出店スピードを実現し、販売エリアとシェアの拡大により成⾧してきました。
地方の一工務店に過ぎなかった当社が上場を成し遂げられた背景、ビジネスモデルの強み、そして今後の展望について、ご説明いたします。
企業の永続的成長を目指したロゴスホームの上場挑戦、エンデバー・ユナイテッド社との出会い
グループの中核企業である株式会社ロゴスホームを創業した、当社代表取締役社長の池田は、創業当初から「企業の永続的な成長のためには、IPOが必要」と考えており、2014年頃から単独で上場を目指していました。業績は伸び続けていたものの、北海道という土地柄、管理系人材の採用が上手くいかず、社内の管理体制整備に課題感を感じていました。そんな時、ある仲介会社から「ファンドを入れてIPOを目指しては。」という提案があり、数社と面談をして巡り合ったのが、エンデバー・ユナイテッド社です。彼らは「ハンズオンアプローチ」という現場に入って自ら汗を流して、IPOを実現するという手法を取っていると聞き、パートナーとして選定しました。結果として、管理体制の整備が進んだことに加え、M&Aにより2社のグループインを実現できたので、当時の判断は間違いではなかったと思っています。
日本の住宅産業の課題
皆様も大手ハウスメーカーのCMを見ない日はないかもしれませんが、実は、現在の日本の住宅の供給構造を振り返ってみますと、大手ハウスメーカーの占有率はごくわずかで、多くは地場の工務店に依存しています。
しかし、日本の戸建て住宅の多くを建築している地方工務店を取り巻く環境は、年々、非常に厳しくなってきていると言われています。建設業の2024 年問題に代表される人手不足、後継者不在、法律改正への対応等、多くの課題に対応せねばなりませんが、それは容易ではありません。このままでは地方工務店は廃業を余儀なくされ、地域の住文化の衰退につながりかねないのが現状です。
大手ハウスメーカーの商品は、スペックは高いものの非常に高価です。地方工務店は、これからも日本国民に住まいを提供するうえで、重要な存在だと認識しています。そのため、自分たちでこの問題が解決できないかと考えるようになりました。
そこで生まれたのが、「日本の家づくりをつくる。」という当社の経営理念です。
デジタルマーケティングとDXで革新する家づくり。住宅総合展示場を介さない効率的な集客方法の活用
冒頭でも申し上げたとおり、当社は早くからデジタルマーケティングとDXを活用してきました。
一般的な住宅会社の営業手法は「住宅総合展示場への出展」が一般的です。各住宅会社は、住宅総合展示場に出店するために、他社に見劣りしない豪華なモデルハウスの建築費用、借地料及び展示場の運営費や広告費などのコストを負担することになり、それらコストは販売価格に転嫁されることになります。また、住宅総合展示場は、キャラクターショーやプレゼント配布イベント等を活用することで大量集客を図りますが、来場者を各住宅会社で取り合うことになります。
一方、当社グループは「住宅総合展示場への出展」はしておりません。我々の一番の強みは、デジタルマーケティング、SNS公式アンバサダー制度を活用して、自社のショールームやモデルハウスに、効率良くピンポイントで集客できていることです。性別や年齢、地域、アクセスしたページなどの顧客情報を基に、ターゲットを絞ったり、自社サイトと連動させたりするなどして、より効率的に集客しています。
北海道では移動コスト削減が重要課題。「移動時間を0にする家づくり」を体現
また、より効果的かつ適正な広告配信を可能とするための分析を行い、反響・商談単価の改善に取り組んでいます。競合が入らないため、一般的な「住宅総合展示場」型集客に比べ成約率が高く、集客コストが抑えられることから、価格を安く設定できます。
また、広大な北海道に本社がある当社は、移動コストの削減が重要な経営課題です。
住宅会社の一般的なオペレーションは、チラシやダイレクトメールで集客し、営業担当者が資料の送付や電話掛けを行い、お客様の家へ訪問してお打ち合わせを進め、現場担当は毎日現場へ行って施工管理を行い、引渡の後は毎回アフターメンテナンス担当が訪問して点検する、という流れです。
一方当社は従前より「移動時間を0にする家づくり」をテーマに、DX・オンライン化を進めてきました。
ホームページ、SNS、SEO、住宅系ポータルサイト、リスティング広告などで効率的に集客を行い、専門のインサイドセールスがアプローチすることで質の良いアポイントメントにつなげ、希望する方にはオンラインでも打ち合わせすることで削減した時間を他の商談や労働時間短縮へ充て、施工管理アプリの併用で現場担当はタイムリーかつスムーズに現場と情報連携でき、希望者にはオンラインで点検することで感染症対策や、プライバシーを重視し、多様化する社会の変化に対応しています。これらの取り組みにより、コストダウンと生産性向上を実現しています。
また、家というものは、素晴らしいプランが出来れば終わりというものではありません。当社は、建てる家の「品質」を大事にしています。品質を落とさずに生産性を上げる手段として、現在AIを活用した品質管理アプリを開発中です。
当社のビジネスモデルは新しい「日本の家づくり」の仕方を体現しているのです。
つくって、運んで、建てる家。「MCB工法」の概要と開発背景、生産性向上とコスト削減の実現
ご紹介したビジネスモデル上の2つの強みに加え、地方工務店の生産性を上げるのにぴったりな工法を開発しました。それが「MCB工法」(特許出願中)です。
一般的に木造建築は、工事現場に材料を運んで建築します。しかし、当社のMCB工法(注1)は、自社工場にて住宅の壁や床を箱型のモジュール(注2)に生産して、トラックに積載して運び、工事現場にて基礎の上にクレーンで積み上げて設置していきます。
(注) 1.工場でつくって(Manufacturing)、トラックで運んで(Carry)、現場で建てる(Build)、製造~輸送~建造という建築の流れの頭文字を略したもの。
2.規格化された建築材料の組み立てユニットのこと
「MCB工法」による職人不足解消、原価削減、品質向上効果
① 職人不足の解消
自社工場でモジュールを生産し、現場で積み上げる方式のため、熟練工を必要とせず、高齢化による今後の職人不足に対して有効な解決策となります。
②原価削減
基礎工事の間に工場でモジュールを生産し、現場で積み上げるため、一般的な現場で一から組み立てる工法と比べ大工現場の工期が約5割短縮(※)され、大幅な工期短縮による原価削減を実現できます。
※大工工期の当社比削減率(データ取得期間:2023年6月~2024年5月の平均値)
③品質の向上
モジュールを自社工場で生産してから出荷するため、気温の変化、雨や雪などの天候による影響を受けないことから、高品質な住宅を提供できます。
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地方工務店でも取り入れ可能な木造MCB工法、新しい「日本の家づくり」の全国展開
もちろん大手ハウスメーカーの中には、箱にして組み立てるという方法を鉄骨で行っている会社があります。一方、日本の住宅業界を支える地方工務店の多くは木造ですので取り入れることは出来ませんが、当社のMCB工法は木造ですので、この工法を取り入れることができ、職人不足解消や生産性向上を実現することができるのです。
地方工務店の成長のカギ
地方工務店の成長のカギ、それは生産性の向上です。
今までお話してきたように、当社はデジタルマーケティングやDXの活用、MCB工法による工場生産など、常に生産性を意識してきました。
結果として、当社の販管費率は大手ハウスメーカーよりも数%低く、価格の優位性につながっています。
出店拡大とM&Aで目指す、日本一のアライアンス企業へ
では当社の今後の成長のカギは何でしょうか。それは出店拡大とM&Aです。
まずは自社の成長のために、出店エリアを全国へ拡大していく予定です。当社の出店形態は非常にコンパクトで、コンビニ跡地のような小型ショールームと近隣の売却型モデルハウスを最小2~3名のメンバーで起ち上げ可能です。これは一般的な住宅会社の出店である住宅総合展示場と比較すると遥かにコストが安く、スピーディーに出店していくことができます。住宅業界には、実は寡占企業というものは存在しませんので、エリアを拡大することで棟数を伸ばし続けていくことができます。
2つ目のカギであるM&Aを通し、これまでお話した当社の新しい「日本の家づくり」に賛同してくれた地方の有力工務店とアライアンスを組み、その成長を後押ししていきます。もしかすると「住宅会社でよくあるフランチャイズ形態や大手ハウスメーカーの参加に入るのも、同じことでは?」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
当社はM&Aでグループインした会社の商品名やブランド名、社名を変えるようなことはいたしません。当社が提供するのはあくまでもデジタルマーケティング・DX・採用などのノウハウです。地域に根差し、愛されている商品や社名は残しつつ、生産性を上げることで、共に成長していく。目指すのは「地域固有のブランド・ノウハウを活かす、日本一のアライアンス企業」です。
どうぞ、これからの私たちにご期待ください。
■株式会社ロゴスホールディングス
https://logos-holdings.jp/
■代表取締役社長 池田雄一 初の著書「地方工務店の逆襲」 好評発売中!
https://www.amazon.co.jp/dp/4886643701