産業医・保健師の紹介・実働支援からメンタルヘルスケア、職場環境改善の領域まで対応可能な『産業保健トータルサポート』を提供する株式会社エムステージ。
そのなかでも、グループ会社である「株式会社リウェル(以下リウェル)」はメンタルヘルス不調者の再発防止、精神障害の就労をミッションに掲げています。
今回は株式会社リウェルの設立者・代表取締役の鈴木友紀夫が、リウェルを立ち上げた経緯などをお伝えします。
“再発率0%”を目標に掲げ、企業と連携したリワーク支援サービス「リウェル」の挑戦
リウェルは、エムステージグループとして培ってきた産業保健の経験と知見を活かし、企業と連携した休職再発防止、復職支援を行うリワーク支援サービスです。
法人向けの『ReWORK Biz』は、オンラインで復職に必要な能力回復と再発防止策の習得を支援する復職支援マネジメントシステムの『Wellco HR』とオンラインパーソナルトレーニング『Wellcoリワーク』、社内制度の構築をサポートする『職場復帰支援プログラム構築支援』、個人向けの『ReWORK Pro』は、メンタルヘルス不調の方のスムーズな復職と就職をサポートする「リウェルリワークセンター」のサービスを展開しています。
“再発率0%”を目標に掲げ、単に復職することだけをゴールにするのではなく、一人ひとりが自分の適正や働き方を見つめ直し、“休みながら前に進める”リワークサービスを提供しています。
精神障害が増加し続けている現状から考えたオンライン診療、産業保健を結びつけるリウェルのビジョン
リウェルは当初、医療機関の設立を想定していました。精神障害や健康診断への対応ができる医療機関を設立することで、産業保健と医療のスムーズな連携を実現できるのではないかと考えてのことです。
事業を検討する時には、必ず「なぜ、この事業を自分達がやるべきなのか」を自らに問うのですが、メンタルヘルスに注目が集まり、精神障害が増加し続ける状況においては、「現在の精神医療のアプローチに解決すべき問題があるのではないか。産業保健を担う自分たちだからこそやるべきなのではないか。」と考えていました。
また手法としては、オンラインを取り入れた方法論がまだなかったことから、オンラインを活用した事業の可能性を検討していました。特に注目したのは、企業の健康保健室が減ってきているという状況です。こうした働く人が気軽にアクセスできる医療の窓口が減っている状況と合わせて、メンタルへルス不調者は気力が低下していることもあり、自ら進んで病院に行こうとしないこともあります。
健康保健室の機能を外部機関として設立し、オンライン診療として提供することで、必要性の高い人を優先的に医療につなぐことが出来るのではないかと考えたのです。
リワーク支援施設が足りていないという現実。復帰後の再休職を防ぐために
医療機関設立に向けてリサーチを続けていた時、産業医の先生との情報交換のなかで、「企業の就労支援(リワーク)活用」に問題があることを知りました。うつ病で休職した人の2人に1人は復帰後に再休職してしまうという現状があり、メンタルへルス不調を重ねてしまうことで、重症化し、完治しにくい状況が生まれていたのです。
一度目のメンタルへルス不調は、状況により誰もがなりうるものです。大切なのは、その後、二度目の不調を再発させないための取り組みです。ですが、そこに大きな課題がありました。リワーク施設の数が圧倒的に足りていないということです。
まずはこの課題解決を、私たちが担うべきだと強く思いました。
近年、精神疾患の患者数は約 610 万人以上にも上り、同時にメンタルヘルス不調による休職者数も年間約50万人と年々増加傾向にあります。
ですが50万人の休職者に対して、現在、リワークを受けられている人数は全国で3~4万人程度で、残りの40万人以上の方は支援を受けられないまま復職しているのです。
公的施設としては職業リハビリテーションセンターが各都道府県に1施設程度(大都市圏除く)設置されていて、就労支援を行っているのですが、1つの施設が一度に受け入れられる人数は20~30人程度です。3か月程度のプログラムが多いので、そうすると年間で80~120人しか受け入れられないという状況なのです。
そこでリウェルでは、施設サービスと合わせて、オンラインを活用したリワークサービスによって、誰もがリワークを受けられる体制を作ることにしました。
ひとりでも多く再発する人を減らすために、リワークの価値は非常に大きなものです。
まだまだ新しい概念ですが、近年は「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」の認定にかかわる「健康経営度調査」の調査項目にもなるなど、少しずつ認知が広がってきています。
全国どこからでもオンラインで実現するリワーク支援、企業向けサービス
オンラインを活用したリワーク支援があることは大きな強みと言えます。
コロナ禍において、施設サービスをオンラインで実施していた外部の例はあるのですが、オンラインを前提としたサービスはありませんでした。圧倒的に数が足りていない中で、施設サービスだけでなくオンラインを活用して全国どこからでもリワーク支援を受けられることができます。
また、オンラインリワークを企業向けのサービスとしていることも特徴です。
復職を受け入れる企業側との情報連携が、スムーズな復職にあたって重要となりますが、これまでは休職中の従業員の状況を企業はなかなか把握できずにいました。リウェルでは、復職支援マネジメントシステムの『Wellco HR』を通じて、関係者間で休職者の状況について情報共有を行うことができます。
休職者の中には、気分の落ち込みにより自ら積極的に治療を受けたり、情報収集をすることが難しい方もいますが、企業から必要な支援をしてもらうことで、復職につなげられる人を増やすことができます。
プログラムは精神科医兼産業医の監修のもとに作成し、専門的な研修を受講した精神保健・心理専門職のスタッフによる支援を実現している点も大きな強みです。
ひとりでも多くの再休職を防ぐ。メンタルヘルス不調者への包括的支援で好循環社会を目指す
リワークにより、ひとりでも多くの再休職を防ぎたいと考えています。そして再休職を無くすことで、現在の「悪循環社会」を断ち切り、「好循環社会」の実現を目指しています。
メンタルへルス不調者が出た時、その人が退職してしまえば、一見、その会社から問題は過ぎ去ったかに見えます。
しかし、その退職者は、再発リスクを抱えたまま転職し、再発し、また退職して他の企業に再々発のリスクを抱えたまま転職することになります。このようにして、社会に再発リスク者が増加し、企業が再発リスク者と知らずに採用する確率は年々高まっていると考えられます。リワーク支援のない現状では、採用後に再発を招き、結果、社会に離職者が増える『悪循環社会』になっていると言えるのではないでしょうか。
メンタルへルス不調者に再発防止策を徹底することは、社会全体から再発リスク者を減らすことになり、結果、離職に至らない『好循環社会』をつくり出すことに繋がると考えています。
リウェルが目指す世界観。誰もが意欲的に働ける世界に向けて
誰もが健康に働く社会の実現。それも、ただ健康なだけでなく“意欲を持って働ける“世界観の実現です。
その背景には、周囲に対して我慢してしまったり(声を上げられない)、自分を過信してしまったり(自分を分かっていない)という、個人の問題もあります。そうした個人の問題もオープンに語り合える世界観の上に、こうした健康に、意欲を持って働ける世界は作れるのだと考えています。
これからは、ダイバーシティ&インクルージョンの時代です。障がい者や女性、高齢者など、多様性を認めることが重要になります。それは「会社の枠に個人をはめる」のではなく、「個人を個人として認め、尊重する」ということです。そうすることで、一人ひとりが活躍できる機会を増やすことができます。
時代は変わり、労働力人口の減少も進んでいる中で、今後企業においてもますます重要な考えになっていくと思われます。
働くことは、お金のためだけではありません。
自分が少しでも「楽しい」「貢献している」と思えることが大切です。それが自分の生きがいや存在価値、人生そのものにつながっていくと考えています。
もちろん、ワークライフの中で、家族と共に過ごす時間も大切です。ですが働くことも、人がよりよく生きていく上で、とても大切なことなのです。
仕事において我慢して、疲弊して、休職してしまう。そんなことがあってはなりません。
もう一つ、私はリワークを受けることによって、休職期間を「自分を知る機会」にしていただきたいと考えています。リワークはメンタルへルス不調の再発防止が目的ですが、同時に、プログラムを通して自己理解をしてほしいのです。
休職期間を単に自宅で何もせずに過ごしてしまうと、それはあまり前向きな機会とはなりません。ですが自らを振り返り「自分はどんな人間なのか?」「自分はどうすれば活躍できるのか?」を知ることで、リワークは休職者が「さらにパワーアップする」「さらにハッピーになる」ための機会となります。
そして、それを会社と共有し、相互に理解しあう機会にすることができれば、お互いを尊重して、再び活躍できる社会をつくっていくことができます。
リワークを通して、ひとりでも多くの休職者をなくしたい。
そしてその先に、『好循環社会』を実現し、誰もが意欲を持って働ける世界をつくることを目指して、この休復職にかかわる課題解決に取り組んでまいります。
【株式会社リウェル】https://re-well.jp/
【エムステージ産業保健トータルサポート】https://bit.ly/4bNjFvE
株式会社エムステージは産業医・保健師のご紹介から実働支援、休職者へのリワークプログラムの提供など、労働者が健康で安心して働ける職場環境の実現のための『産業保健トータルサポート』を提供しています。