豪州ホールデン製の「どでかボディ」にロータリー搭載! アンマッチで完全に失敗したマツダ「ロードペーサーAP」という幻の高級セダン

2024.07.26 11:40
この記事をまとめると
■マツダ・ロードペーサーAPはオーストラリアのホールデンからボディ供給を受けていた
■元々V8エンジンなどを載せる大柄なボディだったのでロータリーエンジンでは役者不足だった
■わずか3年で生産を終了してしまった悲運な高級セダンだった
オーストラリア製セダンに2ローターを搭載した上級セダン
  ロードペーサーAPは、マツダ(当時は東洋工業)が1975年に売り出した3ナンバーの上級4ドアセダンだ。自社開発ではなく、オーストラリアのホールデン(ゼネラルモーターズ系)から供与を受け、これに独自のロータリーエンジンを搭載して市場導入した。
  マツダは、1967年にコスモスポーツでロータリーエンジンを実用化し、以後、ロータリーエンジン車の拡充を行ってきた。そのなかに、上級車種のルーチェがある。1972年からの2代目ルーチェでは、より排気量の大きいロータリーエンジン(13B)を開発した。これを、さらに上級のロードペーサーAPにも採用したのである。
  他社では、トヨタのセンチュリーが1967年に発売されている。これは排気量4000ccのV型8気筒エンジンを搭載した。13B型が排気量を増やした仕様であり、654ccの2ローターで、4ストロークと違い、毎回転ごとに燃焼を行える2ストローク的な運転で高い出力が得られるとはいえ、V型8気筒エンジンには性能で及ばない。
  そもそも、もとになったオーストラリアのホールデンの車両も、上級車種ではV型8気筒を搭載していた。上級車の性能や乗り心地は、大排気量エンジンによる低速トルクの大きさが作りあげている。
  ロータリーエンジンは、軽量小型でありながら高出力を得られる利点がある。しかしそれは、エンジン回転を高めたところでの出力の優秀さであり、低速トルクは苦手な領域だ。軽い車体であれば、それでも高回転での伸びやかな出力特性で壮快な走りを実現できるが、車両重量の重い3ナンバー車では荷が重い。
  そうしたこともあり、志半ばというべきわずか3年で生産は中止となり、1979年には販売を終了している。
  マツダはいま、ラージ商品群向けとして直列6気筒エンジンを新開発し、上級車への挑戦を行っている。大柄な上級車は、当然ながら車両重量が増加し、発進でより大きなトルクを必要とする。大トルクを満たしてこそ、高級な乗り味がもたらされるのである。
  その点で、じつは、モーターは低速トルクが得意な動力源だ。いよいよ、英国のロールスロイスも電気自動車(EV)を発表した。過去、V型8気筒やV型12気筒など、大排気量エンジンが高級車に搭載されてきた理由は、大きな低速トルクを求めた結果だ。そして、余計にエンジン回転を上げずに済めば、振動や騒音も抑えられ、静々と上質な走りを実現できる。
  21世紀の高級車を模索するなら、モーター駆動しかないのではないか。滑らかにまわって振動のないモーターは、ロータリーエンジンの持ち味に通じる感触をもたらすことになるだろう。

あわせて読みたい

社会課題解決のカギ?【プロトコンサルティング】とは
antenna*
【比較試乗】王道のSUVを選びたいならこのクラスで決まり! 激戦区のDセグメントSUVから今選ぶべき1台とは?「ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール vs ボルボ XC60 vs メルセデス AMG GLC43 vs BMW X3」
CARSMEET WEB
アウディの底力が堪能できるRS 3セダンの実力とは?【自動車業界の研究】
CARSMEET WEB
木の温かみを感じるままごとキッチン発売
PR TIMES Topics
「レンジローバー」PHEV最新モデルを、サステナブルな環境でテストドライブ。
GO OUT WEB
電動化で史上最高の性能を追求 ポルシェ「911GTS T-ハイブリッド」
BRUDER
【SPECIAL】“LE LABO” City Exclusive Collection
Lula JAPAN
「ベストEクラスを探せ!」メルセデス・ベンツ EクラスコンシェルジュがアナタにぴったりのEクラスをお探しします!
CARSMEET WEB
【比較試乗】SUV=4WDという図式は過去のもの? 4WD、FWD、RWDそれぞれの魅力を探る!「マツダ CX-60 vs VW Tロック vs BMW X6 vs メルセデスAMG GLC 63」
CARSMEET WEB
開店6周年 日本の道具店『日東堂』限定グッズを販売
PR TIMES Topics
アメリカンマッスルまでEV化かよ……でもじつはローパワーFFなんて世代もあった「ダッジ・チャージャー」の歴史を振り返る
WEB CARTOP
時に静かに、時に激しいスーパーSUV ランボルギーニ「ウルス SE」登場
BRUDER
“没入型”の新しいダイニング体験「IMMERSIVE DINING」オープン
PR TIMES Topics
エンジン開発を今後も継続すると宣言!「スバル、トヨタ、マツダのカーボンニュートラルに向けたマルチパスウェイとは?」【自動車業界の研究】
CARSMEET WEB
BMW 523d xDrive Mスポーツ(4WD/8AT)【試乗記】
webCG
薬膳おやつシリーズ新製品「ぎんなん」新登場!
PR TIMES Topics
最善にして究極のCクラス メルセデスAMG「C63S Eパフォーマンス」
BRUDER
【BMW】最高出力530PSでパワフル走破!より精悍になった「M4クーペ」「M4カブリオレ」
MADURO ONLINE
ナチュラルフレグランスシリーズ「luno」にキンモクセイの香りが登場
PR TIMES Topics
新型「BMW 4シリーズ クーペ」、新型「BMW 4シリーズ カブリオレ」発表
CARSMEET WEB
12気筒には人を酔わせる魔力が宿る! 百戦錬磨のモータージャーナリストを唸らせたクルマとエンジンとは?
WEB CARTOP