最善にして究極のCクラス メルセデスAMG「C63S Eパフォーマンス」

2024.07.19 12:00
メルセデス・ベンツの有名なキャッチコピーに「最善か無か」というものがある。「徹底的に煮詰められたクルマ、それ以外は必要ない」と解釈する感じだろうか。今回久しぶりに「最善」を強く意識させる一台に出会った。Cクラスセダンのボディに考えうる全てのギミックを詰め込んだ、メルセデスAMG「C63S Eパフォーマンス」だ。
C63 AMGといえば20年以上も続くおなじみのシリーズ。CクラスのボディにパワフルなV8エンジンを搭載し、後輪を駆動するスタイルを貫いてきた。それは普通のメルセデスに飽き足らない粋人がたどり着く暴力的とも言える、しかし理想的なメルセデスだ。
昨年、C63の新型が発表された際に注目されたのはそのスペックだった。なにしろ自動車世界の潮流はこの10年ほどで大きな方向転換を遂げている。エンジンはダウンサイジングが是とされ、それだけではなく電動化を含んでいなければ時流をくんでいないと見なされる。そんな時代にメルセデスAMGが出した答えは、エンジンを2.0リッター、4気筒エンジンまでダウンサイジングし、そこにモーターを含むPHEV(プラグインハイブリット)システムを組み合わせることだった。
というと今どき珍しくない普通のPHEVモデルに思えるが、それでは伝統的なC63の称号に相応しくない。エンジンはレスポンスを高める電動ターボを採用し、476psの最高出力を確保。これは量産車のリッターあたりの出力で世界最高となる。一方のPHEVユニットはリアディファレンシャルと一体化したシステムで、最高出力204psのモーターと2段変速ギアボックス、そして電子制御LSDを備えている。こうして誕生したパワーユニットのシステム最高出力は実に680ps。となれば駆動システムは当然のようにAWDとなる。
ボディには飛び切り派手な何かが付いているわけではないが、それでもC63らしさが散りばめられている。メルセデスAMGを象徴するパナメリカーナグリルや拡幅されたフェンダーに押し込まれた20インチタイヤ、ボンネットやスカットル部のエアアウトレットなどだ。
室内の意匠は最新のメルセデスにならっているが、ドライブコントロールスイッチ付きのAMGパフォーマンスステアリングが特殊性をアピールしている。シートはオプション設定されたバケットタイプだったが、動力性能を考えれば、このオプションを選ばないという選択肢はないだろうというくらいマッチングが良かった。走り始めは電動モデルらしく無音。リアのモーターで加速していく最中に、いつの間にか掛かっていたエンジンのパワーが加わってくる。と言うと、エンジンやモーターがパラレルに働いている感じがするが、実際はひとつの大きなモーターが動力源となっているような感覚がある。だからスロットルの踏み方次第でいくらでもパワーがあふれ出す。
以前のV8モデルは荒っぽい加速を売りにしていたが、4気筒ターボとモーターによる最先端ユニットは効率の良さを感じさせつつ、不必要なまでのパフォーマンスを内包し、それを容易に引き出せるという点で、歴代のC63とつながっているのである。
しかもPHEVユニットは電力の回生と放出をきめ細かくコントロールする仕組みになっているので、バッテリーの電力を使い果たしたら普通のガソリン車に戻ってしまう、という感じではないのだ。メルセデスの頂上モデルは、平日の近場は電力だけ、週末の遠出はガソリンでという一般的なPHEVとは一線を画す仕上がりになっている。
冒頭で「最善か無か」と書いたが、このクルマの「最善」は顧客に求められたわけではなく、エンジニアの「今ある技術の全て投入してみたかった」という熱意の先に成立しているのだと思う。そんな高尚な思想に熱狂的なファンがついてくるという構図。メルセデスAMG C63S Eパフォーマンスをドライブしていると、今自分が究極のメルセデスを操っているんだ! という喜びの感情があふれ出してくる。
メルセデスAMG C63 Eパフォーマンス  車両本体価格: 1660万円(税込)ボディサイズ | 全長 4835 X 全幅 1900 X 全高 1455 mmホイールベース | 2875 mm車両重量 | 2160 kgエンジン | 直列4気筒 ターボ + モーター排気量 | 1991 ccシステム最高出力 |  680 ps(500 kW)システム最高トルク |  1020 N・m変速機 | 9速 ATお問い合わせ先www.mercedes-benz.co.jp
Text : Takuo Yoshida

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