2021年、「私たちのSDGs宣言(以下、SDGs宣言)」を掲げ、サステナビリティを重視した経営体制へと本格移行した大成株式会社。洗剤使用量削減、持続可能な社会インフラの構築、サスティナブルなまちづくりなど、複数のプロジェクトに同時に取り組みました。
宣言から約3年が経った今、どのような影響があったのか。取り組みを始めて会社は何が変わったのか。代表取締役社長、加藤 憲博に聞きました。
◆創業から現在までの大成株式会社の歩み。SDGsを中核とする新たな経営計画
大成株式会社は、1959年の創業以来、総合ビルメンテナンス事業を通して雇用機会の創出や建物機能の向上を図り、社会に貢献してきました。第7次中期経営計画(2020~2022年度)では「Ready for Change-変革への備え-」をスローガンに「持続可能な開発目標(SDGs)」を中核とした新たなSDGsポリシー「ファシリティマネジメント事業を通じて、環境と働き方改革に配慮した社会の実現の一端を担います」を掲げました。
このポリシーの下、ステークホルダーとのパートナーシップを形成し、「クリーンな水」「ハイブリッドな社会」「フレッシュな空気」をテーマとするサスティナブルな街づくりをめざした活動を推進しています。
◆SDGs目標に対する具体的なアクションプラン。社内外への進捗報告とその意義
-SDGs宣言で「私たちが取り組むこと」として挙げているそれぞれの項目について、現在の進捗を教えてください。
クリーンな水
目標:洗剤使用量 2026年までに2021年対比50%削減ハイブリッドな社会
目標:警備アバターロボット「ugo」・次世代受付システム「T-Concierge」
2026年までに500台
目標:「T-Spider」・センサー導入件数2024年までに管理物件の30%へ展開フレッシュな空気
目標:「furniTure」を中心としたオフィス環境づくりを2026年までに10件
目標:早生桐苗を2026年までに4ha、2400本植樹
具体的な数字を目標にした方が、達成確率が高まると考えました。数字にすることで、厳しい現実を突きつけられることにもなります。しかし、どうすれば事態を変えられるのかと、知恵を絞りやすくもなると思うのです。
これからも目標数字を追いかけながら、そのプロセスを社内外に発信し続けられればと思っています。仮に順調に進捗をつくれなくても、発信をし続けることで仲間を増やせます。また、「洗剤を減らすことって、これほど難しいことなんだ」といった気づきを与えられること自体も、価値のあることだと考えているのです。
◆サステナビリティ重視の経営がもたらした職場環境の改善。より求職者に選ばれる企業へ。
-サステナビリティ重視の経営へ移行したことにより、変化を感じることは何かありますか?
いくつもありますが、大成自体がより働きやすい環境へとシフトできたことが大きかったと思います。ダイバーシティ部の新設、フレックス制度導入、障がい者雇用など、多様性を認める職場環境に近づいていきました。職場環境の変化にともなって、採用活動にもポジティブな影響がありました。多様性を認める環境があること、いろいろな働き方ができることを知ってくれた求職者の方々から「おもしろい会社だ」と認識してもらえることが増えたのです。会社説明会を聞いて、選考に進む人の数はSDGs宣言前と比べて、大幅に増えましたね。
もちろん、売上に対する影響も大きいです。そもそも、SDGs宣言で掲げている目標自体、売上に直結しているものが多いです。ハイブリッドな社会を実現させるために、ロボットやシステムを普及させられれば、必然的に事業拡大にもつながります。
総じて、SDGs宣言のおかげで、社会から見た大成の印象が少しずつ変わってきていると感じます。実際に他の企業さまから「大成さんに、SDGsに関するレクチャーをしてほしい」とお願いされたケースもあります。メディアで取り上げられる機会も増えました。これまで以上に多くのステークホルダーに、会社のことや経営理念について知ってもらえるようになったと感じています。
◆「サービスをデザインする」という経営理念。喜びと感動を提供する会社であり続けるために
-これから先、未来はどのような姿に変わるのでしょうか?未来予想図を教えてください。
私はもしかすると、オフィスそのものの需要がなくなる日が来るかもしれないと考えています。労働人口減少や働き方そのもののシフトチェンジにより、働く場所自体が今ほど求められなくなると思うのです。
その結果、一部の駅周辺にオフィス機能がギュッと集約され、それ以外の場所は、これまで思いつきもしなかったような使われ方をするのではないでしょうか。流動的な人の動きに合わせて、コミュニティ関連施設も増えると考えています。また、オフィスだけでなくホテルのあり方も大きく変わり、簡単に言うと「二極化」が起こると考えています。最高級のサービスを多くの従業員を雇って提供するセレブ向けのホテルと、極限までコストを抑え、フロントも無人の、安価で宿泊できるホテルです。
さまざまな可能性に備えて、我々としてはあらゆる業種に対して、プラスの提案ができるよう準備を進めたいところです。今の日本に合わせたソリューションを確立できれば、将来的には、日本と同じフェーズに入った国に対してもサービス提供ができるようになります。日本国内にとどまらず、グローバルに活躍する会社へと進化をさせたいです。
大成は経営理念に「サービスをデザインする」という言葉を使っています。「変革」だと、今の状態から変わらなければならないと、身構えるところもありますが、「デザイン」はもっと軽やかです。ほんの少し手を加えるだけでもデザインであり、そのやり方には無限の可能性があります。SDGsに限らず、今のサービスのかたちを時代に合わせて少しずつデザインしながら、多くの人に喜びや感動を提供できる会社であり続けたいです。
もっと詳しく知りたい方☞
大成株式会社SDGsサイト「ACTION TAISEI SDGs!」では、各目標の進捗などさらに具体的な内容をご覧いただけます。
(
所在地 :名古屋市中区栄3-31-12
設 立 :1959年
代 表 :加藤 憲博
URL :
事業内容 :ビルメンテナンス業、警備業、駐車場の管理、建築・土木工事全般に関する請負、労働者派遣事業、太陽光発電事業、建物・公共施設等の運営管理に関する請負ならびにコンサルティング