型式指定認証不正で新車販売現場は混乱する……と思ったらそうでもない! コロナ禍以降の「長納期慣れ」で消費者は意外にも冷静だった

2024.06.30 07:00
この記事をまとめると
■型式指定認証不正によりトヨタのカローラアクシオ、カローラフィールダー、ヤリスクロスが出荷停止となった
■出荷停止となった3車種は注文していた新車がいつ届くのかも不明な状態
■出荷再開まで時間がかかることになれば受注撤回ということにもなりかねない
型式指定の認証不良で出荷停止が相次ぐ
  6月4日、トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハにおける型式指定申請についての問題が発覚した。
  トヨタでは、現在販売されている車種ではカローラアクシオ、カローラフィールダー、ヤリスクロスの3車種が今回の問題における対象車種になり、国交省(国土交通省)からも出荷指示の停止を受けており、6月6日より当該3車種が生産及び出荷、新規受注の停止となった。
  調べてみると、カローラアクシオと同フィールダーの2024年1月から4月までの累計販売台数をもとに月販平均台数を算出すると約2099台となり、3ナンバーとなるカローラセダンや同ツーリング、同スポーツ、同クロスには及ばないものの、アクシオ&フィールダーだけでも十分「人気車種」といえる販売台数となっていた。
  あくまで筆者の私見とはなるが、東日本では法人ニーズでもカローラセダンやとくに「貨客兼用」としてツーリングがよく使われているが、東海地区や近畿圏ではアクシオやフィールダーを営業用車としてひんぱんに見かけることができる。先日、大阪伊丹空港を利用した際、空港近くのレンタカー店に白いアクシオのレンタカーがたくさん置いてあって驚いた。「西高東低」という表現が似合うかは微妙だが、西日本地域では東日本よりセダンが好まれているようにも見えるので、アクシオやフィールダーは需要があるようだ。
  ヤリスクロスの全国的な人気の高さはいまさら語らなくても皆さんご承知の話。調べてみると、2024年1月から4月の月販平均台数は8000台弱であった。いずれも出荷停止となるのはかなり痛い話となるのは明らか。
  報道では今回、トヨタも含む5社の問題発覚による日本経済への悪影響は避けられないと報じている。ダイハツがつい最近まで同様の問題で全車種出荷停止となっていたが、一時は日本のGDP(国内総生産)を押し下げることとなったので、このような懸念が出ているようだ。
  ヤリスクロスは今回の問題発覚以前から、筆者の聞いた話では店頭で注文書にサインしているものの、それをディーラーが正式発注できないほど納期が混乱していたようだ。ヤリス及びヤリスクロスは2024年1月17日に改良を行ったばかりなので、改良直後ということもあり、受注が相次いだことも納期の混乱を招いたようである。
新車販売現場では目立ったトラブルは起きないと予測されている
  あるトヨタ系ディーラーのセールスマンは、「問題発覚後、メーカーからの説明は何もないですね。生産、出荷、そして新規受注停止になったことぐらいしか確認できません。来月納車予定のヤリスクロスがあったのですが、いつ納車できるのか白紙状態というのが現状で困っております」とのこと。
  ダイハツが問題発覚で出荷停止になったときには、とくに軽自動車では「型式申請する際の試験に問題があったのでクルマには問題はない」とする消費者も多かった。そして、届け出済み未使用軽中古車が市場に大量に流通していたこともあり、「新車で買えないのなら中古車で……」という購買行動が目立っていた。当時、ダイハツ系ディーラーへ行っても「新車は発注できませんから、展示してある届け出済み未使用軽中古車はいかがですか」と勧められたことがあった。
  ヤリスクロスでも同じような動きがあるのかと事情通に聞くと、「残念ながらヤリスクロスやカローラ(アクシオ&フィールダー)は、ダイハツの軽自動車ほど中古車市場に潤沢に未使用や高年式な中古車が流通していません。新車が買えないなら中古車へという購買行動が、ダイハツの軽自動車みたいに広範に起きたとしても、市場は対応できないでしょう」と話してくれた。
  出荷再開時期も見えないなかでは、当該車種の納車を待っているお客は、先行きがまったく見えないなかセールスマンが丁寧にフォロー(現状では提供できる情報はないが)しながら、しばらくは様子も見守ることが得策といえよう。トヨタの出荷停止対象車種に限って見れば、「それでは他メーカー車へ」といった動きも取りにくい、つまり他メーカーに競合する車種がないのが実状である。
  現状のトヨタ車では納期改善が進んでいるものの、まだまだ不安定な状況ともいえるので、 「来月下取り予定車の車検が切れる」といった切羽詰まった人への新車販売を控えるセールスマンも多く、それなりに計画的な受注活動を行っているとも聞いている。
  ただ、すでにかなり長い期間納車を待っていて、今回の出荷停止でさらに納車が延びるケースでは、乗っている下取り予定車の車検有効期限がきてしまうケースは十分想定できる。繰り返すが出荷再開までの先行きは不透明なのが現状。ケースバイケースで個別に対応してもらうしかないだろう。
  メディアの一部は「不安なので当該車の販売を手控える」といったコメントを語る中古車販売業者をわざわざ探し、そのリポートを流して世間に対し不安を煽っているようにも見えるが、消費者サイドはすでにダイハツの問題を経ていることもあり、「試験実施過程に問題があっただけでクルマに問題があるわけではない」と冷静に受け止めている。新車販売現場では目立ったトラブルは起きないものといまのところは見ているようであった。
  ただ、もちろん出荷再開まで長期間を要することになれば、メーカーからバックオーダーのキャンセル(つまり受注撤回)ということも人気車なので起きかねないので、とにかく事態の行方に注目していくことは必要だろう。

あわせて読みたい

《国交省vs.トヨタ》攻防の「内幕」すべて明かす……なぜ認証試験で「不正」は起こったのか
現代ビジネス
「トヨタよ、お前もか!」相次ぐ不正、豊田章男会長ら「ルール見直し」提起の必然 - モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫
ダイヤモンド・オンライン
モノの収納だけでなく庭での時間も楽しめる1坪空間「GARO」発売
PR TIMES Topics
「タウンエース」キャンパー軽モデル超えなるか
東洋経済オンライン
物価高騰なのに給料上がらん……それじゃ新車も売れないよ! でも「ダイハツ復活」が視野に入る「夏商戦」は安ウマな軽を中心に盛り上がる可能性!!
WEB CARTOP
特別なブルーチーズを使用「二世古ブルーチーズケーキ」発売
PR TIMES Topics
全車種出荷再開のダイハツはどうなる? 2024年4月の新車販売台数を詳細分析した
WEB CARTOP
新車販売はN-BOXとカローラが相変わらず絶好調だが……じわり「ホンダの登録車勢」が勢いを増していた!
WEB CARTOP
カヌレの形をした可愛いシュークリーム「カヌレドシュー」そごう広島店催事にて期間限定販売
PR TIMES Topics
ずーっとトップを独走してきたN-BOXがやや危うし!? ライバルに迫られる理由は「同門」の人気車登場にあり
WEB CARTOP
新車購入でお馴染みの光景「値引き交渉」はまもなく姿を消す!? 家電で広がる「指定価格」が新車にも導入される可能性
WEB CARTOP
暮らしや用途に合わせてさらに選びやすく!燃焼時間が短いショートサイズを新たにリリース
PR TIMES Topics
やっぱりクルマは自分のものにしたい……ってのは古い考え方? 買えない人気車に乗れるけど最後は返却する「サブスクサービス」を考える
WEB CARTOP
ダイハツ認証不正のみそぎ済んだ……ついに[全車出荷停止解除]全面再開へ 新型ムーヴは2024年秋頃に発売か
ベストカーWeb
認証不正のトヨタ、豊田氏の取締役賛成率が急落
東洋経済オンライン
中身は基本同じ車種! メーカーにこだわりなければドッチが正解? ベース車とOEM車はどちらがお得なのか
WEB CARTOP
ハッチバックのヤリスを圧倒! 改良されたヤリスクロスに乗ったらバカ売れも当然と思える中身だった
WEB CARTOP
自動車メーカーの「型式指定」問題、6万社超に影響も 取引先の最多は「トヨタ」の4.8万社
ITmedia ビジネスオンライン