中身は基本同じ車種! メーカーにこだわりなければドッチが正解? ベース車とOEM車はどちらがお得なのか

2024.06.17 11:40
この記事をまとめると
■自動車メーカーには他社のクルマを小変更して販売するOEM車が存在する
■査定時にはOEMモデルは不人気な場合が多く査定額が低い場合がある
■新車購入時には値引きを期待できるメリットもある
OEMモデルの存在意義とは
  クルマの分野では、OEM(相手先ブランド製造)が多い。とくに活発なカテゴリーが軽自動車だ。たとえば軽商用車のスズキ・エブリイは、日産クリッパーバン/マツダ・スクラムバン/三菱ミニキャブバンとして供給されている。乗用車メーカー8社の内、供給元のスズキも含めると、4社が実質的に同じクルマを販売する。
  軽乗用車でも、スズキ・アルトはマツダ・キャロル、ダイハツ・タントはスバル・シフォン。さらに小型/普通乗用車では、トヨタ・ノアがスズキ・ランディ、スズキ・ソリオは三菱デリカD:2、ダイハツ・トールはトヨタ・ルーミー/スバル・ジャスティという具合に、細かく供給されている。
  OEMについて、車両を開発/製造して供給する側のメーカーは次のように述べた。
「OEMは供給する側にとっては効率が優れている。製造した車両を出荷すればいいため、営業費用などが掛からないためだ」。
  逆の見方をすれば、OEMにより車両の供給を受けるメーカーは、あまり儲からない。それでもOEMを扱う背景には、顧客を逃さない目的がある。
  たとえばマツダやスバルは、かつて軽自動車の開発と生産を自社で行っていた。その後、主に合理化を理由に軽自動車の開発と生産から撤退したが、軽自動車の取り扱いまで終了すると顧客を他社に逃してしまう。そうなれば販売会社は、今まで受注していた車検、点検、修理、保険などの仕事まで失ってしまう。
  また軽自動車の顧客が小型車も併用していた場合、たとえばマツダが軽自動車市場から撤退してそのユーザーがスズキの軽自動車に乗り替えると、併用していたマツダの小型車まで、スズキに奪われる可能性が生じる。スズキの販売店が熱心なら、小型車も自社製品に変えてもらおうと頑張るのは当然だ。
  つまり販売会社は、顧客をなるべく独占して、他社のセールスマンとは接触させたくない。そこでOEMが利用される。つまりOEMは、顧客が他社へ流出しないようにラインアップの穴を埋めるための商品だ。
新車購入時はメリットも
  また新たなユーザーを獲得するため、OEMを導入することもある。たとえば日産は、以前は軽自動車を扱っていなかったが、2002年にスズキMRワゴンの供給を受けてモコの車名で発売した。スズキやダイハツの軽自動車をセカンドカーとして所有する日産車ユーザーに売り込むためだ。
  ユーザーとして悩むのは「本家を買うか、OEMか」だろう。本家とOEMで価格の割安度に大差はなく、明確な違いが生じるのは数年後の売却額だ。
  この優劣は販売台数で決まる。たとえばスズキ・アルトとOEMのマツダ・キャロルなら、前者が販売台数が多く、売却時にも好条件が期待される。トヨタ・ノアとOEMのスズキ・ランディも、前者が高値になると判断される。
  この差が生じる理由は、中古車の選ばれ方にある。今は多くの中古車ユーザーが、ウェブサイトで車両を検索して購入する。そのときには「アルト」や「ノア」で検索され、「キャロル」や「ランディ」にはなりにくい。そうなるとキャロルやランディはウェブサイトでヒットしにくく、売却時の査定でも不利になる。
  しかしほかの条件は、OEMが不利とは限らない。販売会社はメーカーとの契約でOEMも含めて一定の台数を販売する必要があり、そこに到達しなければ、販売促進のためにOEMの値引きや購入条件が上まわる場合もある。OEMを扱うセールスマンから「ウチはOEMで稼ぐつもりはないから、軽自動車でも相応に値引きする」という話を聞いたことがある。
  また残価設定ローンの残価(車両価格に占める残存価値)や金利も、販売会社によって異なる。従って購入したい車種にOEMを含めた姉妹車が存在する時は、条件を合わせて見積書を取り、商談して比べてみるといいだろう。

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