電子カルテシステムを活用して開業鍼灸院での「鍼灸症例データベース」をつくりたい!

2024.06.07 01:28
多施設の開業鍼灸院を電子カルテで繋いだ研究のクラウドファンディングを行います。
筋骨格痛に対する鍼灸治療を、多施設で電子カルテを使って集積する為の電子カルテ使用費用、システム開発費を集めたいです。
2024年6月に行われる研究のクラウドファンディングプロジェクトは、東京有明医療大学の松浦悠人、オンラインサロンここちめいどの米倉まな、玉川大学の柴田健一、株式会社ケアクルの澤谷拓郎が中心となって行っています。
当プロジェクトでは、電子カルテを活用し、鍼灸院で身近な症状である肩こりや腰痛、膝痛などの筋骨格痛を対象とした多施設臨床研究を実施します。痛みとメンタル不調は共存することが多く、心身両面からのアプローチが必要です。今回、多施設の鍼灸院でのリアルワールドデータを集積するためのシステムを構築し、筋骨格痛患者に対する鍼灸治療の可能性を探ります。
日本の鍼灸院の施術所数は32,103件(令和2年度衛生行政報告)あり、心身に不調を感じた患者の頼り先として利用されています。しかし、地域医療のシステムには十分参画できていないのが現状です。その要因として考えられるのは、患者や他の医療職種に対し、鍼灸院でどのような患者にどのような施術が行われていて、どのような効果を期待できるのかを発信できていないことがあげられます。地域医療の中での役割が不明確といわざるを得ません。
この課題の解決策が「鍼灸症例データベース」を構築することです。鍼灸院に来院する患者情報や施術・経過の情報を記録することで、地域医療における鍼灸院の役割を示すための様々な分析的研究を実施することが可能となります。しかし、これまでは地域の鍼灸院では電子カルテなどのITの活用不足から診療データを系統的に収集・管理する機能が不足していました。そこで今回は、電子カルテを活用して鍼灸院でデータを収集するためのシステムを整備し、分析的研究を行うための基盤をつくります。
今回対象とするのは、鍼灸院に来院する筋骨格痛の患者さんです。筋骨格痛は多くの日本人を悩ませる症状です。
鍼灸院に来院する患者の上位5症状をみても腰痛、肩こり、足の関節痛であり、鍼灸院も多くの筋骨格痛を扱っていることがわかります。その効果について、慢性疼痛診療ガイドライン(2021年出版)では、「鍼灸治療は慢性疼痛に有用か?」というクリニカル・クエスチョンに対し、推奨度は2(弱):施行することを弱く推奨する(提案する)、エビデンス総体の総括はC(低い)と記載されています。まだまだエビデンスが十分とはいえませんが、慢性筋骨格痛に対する有効性は多くの論文で報告されています。
このように多くの国民が悩み、鍼灸での効果が期待できる筋骨格痛の「鍼灸症例データベース」を構築することには多くのメリットがあります。例えば、臨床の中では「効果が出る患者」と「効果が出ない患者」を経験することがあるのではないでしょうか。慢性筋骨格痛患者は「予後が不均一な患者集団」といわれており、鍼灸治療の効果量のバラツキを生じさせるためと考えられています。「鍼灸症例データベース」があれば、患者の背景因子や施術情報、症状の変化を統計学的に分析し、鍼灸が適応となりやすい慢性筋骨格痛患者の特徴を浮き彫りにすることができます。
これまでは多施設の鍼灸院にてデータを系統的に収集することは困難でした。しかし近年では、電子カルテの普及により日本国内での多施設間でのデータ集積が可能になってきています。日本の医療現場全体としても医療ICT(情報通信技術)を活用したデータプラットフォームを含む体制構築が進められています。鍼灸院でのデータを電子化することは、こうした地域医療のプラットフォームに鍼灸院を紐付け、地域医療連携の促進や鍼灸院への受療促進につながる未来をつくることができます。
以上より、本研究では、筋骨格痛患者を対象とした「鍼灸症例データベース」構築に向けたシステム整備を目的とします。
私たちはこれまでに、開業鍼灸院・研究機関・企業が連携した共同研究を行い、全日本鍼灸学会をはじめ、関連学会にて研究成果を発表してきました。その成果のひとつを論文としてまとめ、遠く離れた鍼灸院でも同じ問診票や評価、報告基準を使用する事で多施設間の研究が可能であることを示唆しました。さらに、電子カルテの活用により鍼灸院10施設での多施設横断研究による患者実態調査の実現に至り、その結果を2024年の全日本鍼灸学会学術大会にて発表しました。これらの活動を通じて、鍼灸は多様性に富んだ治療法だからこそ鍼灸師ひとりひとりの症例を集積し、知見を共有することの大切さを実感してきました。
そして今回は、これまでの課題を活かして研究をさらに発展させます。現在、共同研究契約や倫理審査などの研究実施に向けた準備が進んでおり、電子カルテのカスタマイズ開発段階に入っています。このように、すでにクラウドファンディングによるご支援があり次第、研究を開始する準備が整っています。
支援者の皆様には、プロジェクトの進捗報告や研究成果のレポートを定期的に提供させていただきます。また、支援していただいた方々には、研究における重要な一翼を担っていただいたことを心から感謝申し上げます。直接研究に参加することが難しい方であっても、クラファンに参加したことによってみなさんで実現した研究になります。
2024年5月25日 クラウドファンディングスタート。電子カルテの開発開始
2024年7月31日 クラウドファンディング終了
2024年8月   データ測定開始
2025年     第74回(公社)全日本鍼灸学会学術大会で中間報告
2025年7月末  研究集積終了(クラファンで集まった金額により時期変動)
研究の進捗や治療効果の評価を通じて、新たな知見を得ることを目指しています。皆様の温かいご支援により、研究成果をより多くの方々に還元できるよう努めてまいります。
電子カルテシステム開発費 9万円
電子カルテ使用料 1施設×12ヶ月×電子カルテ使用料10,978円(税込)=131,736円
集まった金額により、実施施設数と研究期間が変動します。
松浦悠人(東京有明医療大学):
鍼灸は日本の伝統医療として、長期にわたって国民の健康の維持・増進に貢献してきました。現在、国内の鍼灸院の数は約32,000件(令和2年度)あり、多くの鍼灸師は地域医療の中でその役割を担っています。時代の変遷の中で鍼灸の医療制度や位置けは変わっても、「地域に根ざした東洋医学のスペシャリスト」という鍼灸師の存在意義は揺るがないと考えています。
しかし、まだそのポテンシャルを社会に普及しきれていなというもどかしさも感じています。海外からは鍼灸に関する上質なエビデンスがたくさん報告されていますが、その結果を「日本の鍼灸臨床にどれだけ当てはめられるか」という課題があります。この課題を克服するためには、「日本での日本人を対象とした臨床研究」が求められます。先に述べた通り、日本鍼灸の最前線は地域に根ざした鍼灸院です。つまり鍼灸院をフィールドとした研究が必須となります。
私たちは、2021年から臨床家、研究者、企業が協力してこの課題に取り組んできました。それぞれの知恵を持ち寄ることで、難しいと思われてきた鍼灸院での多施設共同研究が可能となります。当プロジェクトは、臨床と学術の融和融合による新たな臨床研究のかたちとなり、日本鍼灸の底力を世界に発信する可能性を秘めています。そのためには皆様の応援が必要です。ご支援の程、どうぞよろしくお願いいたします。
米倉まな(オンラインサロンここちめいど):
私たちここちめいどが研究を初めて行ったのが、2021年でした。「うつ病治療ガイドラインに鍼灸の文字を載せたい」を目標に、オンラインサロンここちめいどの中で立ち上がった企画。8名のサロンメンバーと東京有明医療大学の松浦先生のお力を借りて実現に至りました。学会発表と時を同じくして(株)ケアクル、理化学研究研究所、玉川大学も巻き込んだ電子カルテの研究が始まり、2023年3月に無事研究が終わりました。この電子カルテの研究については2024年5月の全日本鍼灸学会学術大会宮城大会にて最終報告を行います。とともに、難しいと言われていた町の鍼灸院の症例集積が電子カルテで可能となったことにより、私たちはより患者さんの医療の選択肢を作る為に引き続き電子カルテの研究を行っていきたいと考えています。
私は昔、円形脱毛の患者さんが「円形脱毛症診療ガイドラインで鍼灸をするべきではない」からという理由で医師から患者施術の中止を伝えられ、その後その方は全ての髪が抜けたことを聞きました。全ての人に鍼灸を届けたいという崇高な思いはありません。ただ、鍼灸を受けたい人が鍼灸に早く出会える時代を作りたいと思っています。
共同研究者の松浦先生が言ってくださった、「臨床の最前線は開業鍼灸院」と言う言葉を元に、開業鍼灸院が研究に参画出来るケースをこれからも作っていきたいと思います。鍼灸師の方も、鍼灸を受けている方も、どうぞ応援をお願いいたします。
柴田健一(玉川大学):
近年注目が集まるAIの発展は「ビッグデータを集積/蓄積できる環境が整ったこと」と「データをうまく活用できる技術が進歩してきたこと」が背景にあります。医療分野においても、より良い治療を実現するためにAI活用は重要であり注目されています。このような背景の中、現場の鍼灸師が集い継続的に症例を集積できる”ビッグデータ集積環境”の構築は誰かがやらなければならないことであり、私たちは2021年からタッグを組んで着実に歩みを進めてまいりました。
プロジェクトメンバーには現場の鍼灸師、鍼灸の電子カルテ企業、鍼灸分野の研究者がおりますが、私は情報学分野の研究者ということで一見”畑違い”の人間が紛れ込んでいるように見受けた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、情報学は医療分野を含む様々な領域と密接に関わっており、情報技術を活用することで医療サービスの質の向上や効率化に大きく貢献できます。私はサービス情報学研究室主宰として、鍼灸を含む医療サービスや社会サービスをより良くするためのAI研究開発に取り組んでいます。本プロジェクトで集積する症例は鍼灸治療の現場で役立つ支援AI実現に欠かせません。
より良い鍼灸医療実現のため、どうぞ応援をお願いいたします。
澤谷拓郎((株)ケアクル):電子カルテリピクル
~心身の課題を抱える人たちの治療の選択肢を増やしたい。自身に合った治療を見つけることができる環境構築をしたい。~その想いで我々は電子カルテを提供しております。
鍼灸をはじめ、東洋医学における治療の実績は日本だけではなく諸外国でも幅広く認知が進んでおります。ただ、この国の治療院のほとんどが紙カルテでの運用という現状から、本来日本の財産になるはずの現場でのリアルなデータを効率的に収集する仕組みがいまだ不十分です。
鍼灸師をはじめとする全国の治療家は、地域医療の窓口として重要な役割を担っていると思います。しかしエビデンス不足による国内での鍼灸治療に対する認知不足と医療連携の不足が何よりも課題だと思っています。
この課題を解決すべく、我々は電子カルテを通してデータを集積し鍼灸治療のエビデンスを蓄積、発信するきっかけづくりを担いたいと思っております。
医師(内科、総合診療):秋山 貴志 先生
【所属】
在宅支援クリニック彩 院長
鍼灸院Lapis Threeオーナー
【応援メッセージ】
症状・疾患には向き不向きの治療があります。実はみなさんが抱える多くの症状は病院に行くより鍼灸院に行く方がマッチしていることが多いです。総合診療をしている私からみて、鍼灸は今後爆発的に需要が出ることは間違いないです。ただ、鍼灸という選択肢をみんなが知らないだけ。しっかりとしたデータを蓄積して多くの人を救いましょう!応援します
****************
医師(膠原病リウマチ内科、総合内科、東洋医学科):増田 卓也 先生
【所属】
三井記念病院 総合内科・膠原病リウマチ内科 
東邦大学医療センター大森病院 東洋医学科 
【応援メッセージ】
私は、松浦先生をはじめとした鍼灸師の先生方によるこの研究を応援致します。
原因不明の肩痛、腰痛、膝痛といった筋骨格系の痛みは西洋医学界では長らく原因不明とされ、鎮痛剤で経過観察の対応がなされることが多かったのが現状です。
最近になり,筋膜,ファシアがその疼痛源であることを示唆する研究結果が数多く発表されるようになりました。しかし、素問・霊枢が書かれた数千年前には、そうした疼痛に対し鍼灸という治療技術が既に編み出され、それは数千年前の時を経た現在でも極めて有効な治療であると実感しています。
とはいえ、まだまだ鍼灸の知名度は日本全体に浸透しているとは言えず、地域の鍼灸院でどのような治療が行われ、その結果どのような”良さ”や”課題”があるのかは長らく明らかにされていませんでした。
今回、松浦先生が取り掛かろうとされている研究は、地域の鍼灸院の診療についてを世に示す事となるでしょう。研究で用いられる統計解析を駆使して真実に近づこうとするなれば、とにかく症例数を集めなくてはなりません。
一つの鍼灸院では、どうしても症例数が足りないという課題を、電子カルテにより日本国内での多数の鍼灸院で診療データを集めることでクリアできるのです。
日本の地域の鍼灸院にはどういった”良さ”があるのか。それを細やかに示したデータが公開されることを、私は心待ちにしています。
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はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師:金井 友佑(かない ゆうすけ)先生
【所属】
鍼灸師のウェブメディア「ハリトヒト。」 代表
ハリトヒト。鍼灸院 院長
木更津杏林堂 副院長
【応援メッセージ】
私は、松浦先生らが主導する『鍼灸症例データベース』構築プロジェクトを支持します。これまで、日本における鍼灸治療のリアルワールドデータの収集は困難であるとされてきましたが、今回、臨床家、研究者、データの専門家らがタッグを組むことで実現可能となりましたことに、大きな期待を寄せています。日本の伝統医療である鍼灸が、現代医療の中でその価値を証明し、より多くの患者さんに適切な治療が提供されることを願っています。このプロジェクトが成功すれば、将来、鍼灸の臨床データが体系的に蓄積され、治療の適用範囲や効果の理解が深まり、地域医療における鍼灸の役割が明確になります。多くの人々がその恩恵を受けられる日が来ることを心から願っています。
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作業療法士:川﨑一平先生
【所属】京都橘大学健康科学部
【応援メッセージ】
このプロジェクトは鍼灸治療のエビデンスレベルを高める画期的な内容だと感じました。患者さんの背景因子や治療経過を系統的に整理し、鍼灸治療の効果を客観的に示していただけることを期待しています。
また、鍼灸院が地域医療におけるひとつのセクターとして役割を担っていくためには、鍼灸院同士や医療福祉機関との横断的な繋がりが重要です。本プロジェクトを通じて、地域医療のプラットフォームづくりが一歩進むのではないかと思いますので、ぜひ頑張ってください!心から応援しています。
このプロジェクトは、筋骨格痛患者のQOL向上や治療法の改善に向けた重要な一歩となるものです。皆様の温かいご支援により、私たちの研究がより多くの人々に希望や安心を届けることができます。共に未来を切り拓いていくために、どうぞご支援いただければ幸いです。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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