「ハチロク」「ナナマル」「アールビーニーロク」 とか型式で呼ぶだけじゃまだまだひよっこ! 型式の意味まで理解してこそガチマニア!!

2024.05.26 11:40
この記事をまとめると
◼️クルマ好きの会話では車種やエンジンの型式が頻繁に登場する
◼️クルマとエンジンの型式の規則性の例を紹介する
◼️型式には何らかの意味があることが多い
エンジンやクルマの型式のアルファベットの意味とは?
  クルマ好きの会話を聞いていると「ナナマル系のランクルが〜」とか、「ハチロクが〜」とか「アールビーニーロクのトルクがさぁ〜」とか、やたらカタカナの単語が混じっているのが気になってきませんか? あのカタカナっぽい単語の多くは、その車種やエンジンの型式を短縮したりして使っているものなんです。
  メーカーでは、車種やエンジンの種類ごとに、それを分類して整理するための型式名が割り振られています。前出の「ハチロク」はトヨタのAE86型のカローラレビンとスプリンタートレノに割り振られた型式名を縮めたもので、「アールビーニーロク」は日産のR32〜R34型スカイラインGT-Rに搭載された「RB26DETT」というエンジンに割り振られた型式名です。
  それぞれ型式名なのでメーカーごとに独自の使い方がされていて、一般の人にとっては命名の法則が見つからないので「ややこしいな〜」というふうに感じられますよね。ここではその型式名にスポットを当てて、それがどんな法則で命名されているのかを解きほぐしてみましょう。
■車種の型式
  すべてのメーカーの由来を紐解くにはスペースが足りないので、ここでは日産の車種に絞ります。日産の代表的な車種で、多くの代を重ねてきたスカイラインの型式を初代から、かいつまんで見ていきましょう。
・初代スカイラインの型式は「ALSI」です。
  初代スカイラインは日産と統合する前のプリンス自動車が製造したモデルで、グロリアとシャシーを共用した兄弟車でした。最初のモデルの型式は「ALSI-1」となっています。
  最初の「A」はエンジンの種類で、2番目の「L」はシャシーのタイプ、3番目の「S」は乗用車を表し、4番目の「I」は開発された順番を示す記号、最後の数字はマイナーチェンジを表しているそうです。
  シャシーの種類は車種を表し、初代は「L型」と呼ばれています。
・2代目の型式は「S5」です。
  2代目スカイラインとして最初に発売されたのは4気筒エンジン搭載の「S50D-1」型でした。このときもまだプリンス自動車の開発です。
  この代ではグロリアとの共用をやめて独自のシャシーになったので型式も変わりました。代表モデルはレースで活躍を見せたGTグレードで、型式は「S54B-2」です。
  最初の「S」は乗用車(セダン)を表す記号で、2番目の「5」がシャシー=車種の番号、3番目の「4」と4番目の「B」は搭載エンジンを表し、最後の数字はマイナーチェンジの順番です。
・3代目スカイラインの型式は「C10」です。
  この代は日産と統合後の初となるモデルで、型式名は日産のものに統一されました。代表モデルはこれもレースで活躍して人気を博したGT-Rで、型式は「PGC10」です。
  最初の「P」と2番目の「G」は組み合わせでボディタイプなどのバリエーションを表し、3番目の「C」が車種、その後の数字の組み合わせが車種の代とマイナーチェンジの順番を表しています。
  頭のアルファベットは「P」が特別な仕様を、「G」が6気筒で、このふたつで「S20」型エンジンを表しています。ちなみにワゴンタイプの場合は「WC10」となっています。「W」がワゴンを表し、4気筒なので「G」が付きません。
※この後、5代目の「C210」型までは、桁が増えますが同様の法則で続きます。
・6代目の型式は「R30」型です。
  代表的なモデルというと、やはりこれもレースで活躍したRSグレードの「DR30-JFT」型でしょう。
  最初の「D」がボディタイプや搭載エンジンを表し、2番目の「R」が車種、続く2桁の数字「30」がその車種の代目を表し、ハイフンの後のアルファベットがグレードや仕様を表すようです。
  この代で型式が「C」から「R」に変わりました。それまではプリンス自動車の設計したシャシーで、この代から日産の開発になったからだという説がありますが、定かではありません。
  頭のアルファベットですが、「D」は4気筒DOHCの「FJエンジン」です。ちなみに前モデルから継続のL型6気筒エンジンが「H」で、4気筒SOHCのZ18型エンジンが「FJ」です。なぜFJエンジンが「D」なのかは謎です。さらに、ワゴンの場合はいちばん頭に「W」が付きますので、エンジンはZ18型なので「WFJR30」となります。ややこしいですね。
※7代目の「R31」型は同じ法則です。
エンジン型式の例を紹介!
・8代目は「R32」型です。
  この代でまた法則が少し変わります。代表的なモデルはやはりGT-Rでしょう。型式は「BNR32」です。
  最初の「B」は搭載エンジン、2番目の「N」は駆動方式と4WS、3番目の「R」が車種で、続く2桁の「32」がその車種の代目を表しています。
  エンジン記号は「B」が2.6リッターツインターボ、「E」が2.5リッター、「H」が2リッターのNAとターボを表します。2番目の記号は、「N」が4WD(アテーサ制御)で、「C」が4WSのハイキャス付きを表します。
・9代目は「R33」型です。
  基本的に先代と同じ法則ですが、GT-Rがちょっとややこしくなっていて、「BCNR33」と2番目に「C」が入っています。これは、先代では4WD仕様車には必ずハイキャスがセットになっていたので、2番目が「N」と「C」で使い分けられていましたが、この代では4WDでもハイキャス無しのグレードがあったので、分離させて使われたとのことです。
※この後の「R34」型は「R32」型と同じ法則です。 ※その後の11代目ではGT-Rが独立し、スカイラインは「V35」型とアルファベットが変わり、現行の「V37」型まで続きます。
  このようにスカイラインは状況の変化などで変化しながら続いてきました。
  他のメーカーでも、数字の部分は代目(世代)を表していることが多いようですが、前後のアルファベットについては独自の法則を使用しているところもあります。
■エンジンの型式
  エンジンの型式については、トヨタの場合を見てみましょう。例として、「A80」型スープラなどに搭載されていた直列6気筒DOHCの「2JZ-GTE」型エンジンで見てみましょう。
  ハイフンより前がエンジンの系統を表しています。この「2JZ」の場合は、直列6気筒「JZ」系のなかで、3リッターエンジンは頭に「2」が付きます。2.5リッター版は「1JZ」です。
  ハイフンの後のアルファベットは、エンジンの仕様を表しています。「GTE」の「G」はツインカムを表しますが、これはハイパワー系のもので、省燃費タイプは「F」となります。続く「T」はターボです。スーパーチャージャーは「Z」で、自然吸気の場合は付きません。最後の「E」は電子制御燃料噴射機構です。
  この他に、D-4(直噴)が「S」、連続可変バルブリフト機構付きが「A」、LPG仕様が「P」など、仕様ごとにアルファベットが充てられています。
  これは昔から基本的にはあまり変わっていないようですが、細かい法則は変化しています。
  たとえば某ドリフトとうふ屋マンガでお馴染みの「AE86」に搭載されている「4A-GEU」の場合、ハイフンの前がエンジンの系統を表すのは同じで、「4」が排気量の順列で、4番目となる1.6リッター仕様、「A」がエンジンの系統を表します。ハイフンの後の「G」が高性能仕様のツインカムを、「E」は電子制御燃料噴射機構を表すのまではいっしょですが、最後の「U」はいまでは使われない排ガス規制適合型ということを表しています。
  もうひとつ加えておくと、トヨタで最初にツインカムを採用した「3R」型や「9R」型では、まだツインカムを表す記号が確立できていなかったため、ハイフンの後に「G」を付けるという法則はありませんでした。
  こうやってクルマの型式を見てみるだけでも、時代によって採用する技術や環境などが変わってきたのだなあということが感じられて面白いと思います。興味を惹かれた人はぜひ他のメーカーの型式も辿ってみてください。

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