素のスイフトにMTがあるのは「走り好きの若者」もだけど「高齢ドライバー」のためでもあった! MT設定にみるスズキの良心に感動!!

2024.04.22 13:00
この記事をまとめると
■スズキ・スイフトのベースモデルにはMTモデルがラインアップされている
■スイフトのMTは高齢ドライバーにMT支持者が多いために用意している
■MTに乗るために必要もなくスポーツモデルを買う高齢者も存在していた
スポーティモデルではない素のスイフトにもMTを設定
  スズキの登録車ラインアップにおける基幹モデルといえるのが「スイフト」だ。クルマ好きからすると、そのスポーティバージョンである「スイフトスポーツ」のハイ“コスト”パフォーマンスに注目しがちだが、基本となるスイフトの素性が良いからこそのスイフトスポーツであり、スイフトの走りはベーシックカーとして評価が高い。
  そんなスイフトは2023年12月にフルモデルチェンジを果たしている。好評なハンドリングの源泉であるプラットフォームは踏襲しながら、サスペンションはタイヤ以外を新設計。さらに、新開発の1.2リッター3気筒エンジンを搭載、主力グレードはマイルドハイブリッド仕様としている。そして、2020年代にパワートレインを一新したスイフトながら、マイルドハイブリッドと5速MTが初設定されたことにも驚かされる(FF車のみ)。
  なぜ、スポーツではない素のスイフトにMT(マニュアルトランスミッション)を用意するのだろうか。カタログ的な要素でいえば、CVT(無段変速トランスミッション)に対して5速MTは燃費性能に優れるため、現行スイフトにおいて唯一のエコカー減税100%のグレードになっている(スイフトCVT車の多くはエコカー減税50%)。このことは、MTを設定する理由のひとつになると思える。
  しかし、あえて乱暴ないい方をすれば「たいして販売が期待できないMTをエコカー減税でアピールするために用意することは経済合理性がない」ように思える。いくらエコカー減税100%とアピールしたところで、実際にCVT車を購入しようとしたユーザーは、100%減税はMT車だけであることはわかってしまう。
  そもそもWLTCモード燃費で比べても、MT車は25.4km/hでCVT車は24.5km/Lとさほど変わらないのだ。
NISMOグレードには高齢者が多いという都市伝説
  スイフトにMTが設定されているメインの理由は、「MTを求めるユーザーが存在する」からにほかならない。じつはスズキのラインアップを見ていると、軽自動車のワゴンRにもエントリーグレードのみMT車が用意されていたりする。
  これは、いずれも同じユーザーニーズに応えるためのグレードといえる。メインターゲットは「ATは不慣れで乗りたくないというまま歳を重ねてきたベテランドライバー」だ。けっして多数派ではないが、「ATだと暴走しそうで怖い」というユーザーは一定数存在している。
  そうしたドライバーからはMT車へのニーズがあり、そのためにスズキとしては軽乗用車ではワゴンR、登録車ではスイフトにMTを設定している部分もあるのだという。
  そんなMT至上主義のドライバーというのは、主に高齢者層に多い。自ずとクルマにハイパフォーマンスを求めるわけではないため、スイフトのような実用車にMTを設定する意味は大きい。
  同様のニーズから、過去には日産がマーチやノートに設定したスポーティグレード「NISMO S」が、なぜか高齢ドライバーに売れていたという話もある。熱心な日産派のオールドファンからは、「これしか選択肢がない」といわしめたという都市伝説も存在しているほどだ。なぜならNISMO Sは1.6リッターエンジンと5速MTを組み合わせたパワートレインを積んでいたからだ。
  たしかに日本の自動車市場においては、クラッチペダルのないAT車が圧倒的なシェアを持っている。しかし、ごく一部ATに不慣れなドライバーが存在しているのであれば、そうしたニーズに応えるのが多様性の時代にふさわしい商品企画であり、まさに、スズキはユーザーファーストの商品企画を進めているメーカーであるといえよう。

あわせて読みたい

バカ売れしそうな気がするけどナゼ? ロータリーもディーゼルもフルHVの軽自動車も存在しないワケ
WEB CARTOP
レクサスLBXが絶好調! 日産ノートオーラも売れている! 日本には「高級コンパクト」の潜在需要があり
WEB CARTOP
『岡田謹製 あんバタ屋』阪急うめだ本店にて期間限定で出店
PR TIMES Topics
MTは乗りたし操作は怖し! なんのかんの苦手意識が強い人もたくさんいるMT車を克服する方法
WEB CARTOP
スイフトが売れに売れるインド市場! スズキがインドで最強を誇るワケ
WEB CARTOP
ゴルフウェアブランド 「FLOG」環境に配慮した素材とポップなディテールが特長の新作アイテム登場
PR TIMES Topics
いまや日本じゃ全滅……ってか需要あったの!? かつてMTが選択できたミニバン4選
WEB CARTOP
運転支援だらけで運転がつまらない……なんて感じてないか? あるぞ「クルマとガッツリ対話できる」運転の楽しいクルマ5台
WEB CARTOP
株式会社PAY ROUTEがインドの企業とファイナンスセキュリティ向上を目的とした共同研究を開始
antenna
スズキ新型「スイフト」で選ぶべきグレードは?
東洋経済オンライン
ホンダWR-Vに日産もスズキも続くか? インドから日本へと輸入の流れがトレンドになりそうな予感
WEB CARTOP
コミュニティスペース「REJECT HUB」オープン
PR TIMES Topics
やっぱクルマはMTだろ! と念願のゲットもあれ? マジかよ……な「ガッカリポイント」のあるMTとその搭載車5台
WEB CARTOP
第283回:ランボルギーニとも戦える[カーマニア人間国宝への道]
webCG
ポップでキュートな「ハロウィンアフタヌーンティー」
PR TIMES Topics
スズキが初代といわないのは認めてないから!? 2003年に登場した「スイフトスポーツ」の謎
WEB CARTOP
改良型「スバルBRZ」登場 MT車には専用の「SPORTモード」を新設定
webCG
いつしか消えた軽自動車のホットハッチの復活希望! お金のない若者を育ててくれた「安くて面白くてバカッ速」モデルを振り返る
WEB CARTOP
「三菱の頼れる軽トラ」新色がカッコいい! 一部改良のミニキャブ トラックが安全性&利便性を進化させて登場
MonoMaxWEB