いつしか消えた軽自動車のホットハッチの復活希望! お金のない若者を育ててくれた「安くて面白くてバカッ速」モデルを振り返る

2024.05.20 13:00
この記事をまとめると
◾️古くから軽自動車にはスポーティーモデルがあった
◾️初代アルトワークスの登場を皮切りに平成初期はスポーティな軽自動車がヒット
◾️90年代以降ホットな軽自動車のブームは下火になった
1990年代はABCトリオ以外の軽自動車も熱かった
  令和のいま、2020年代における軽自動車といえば、ホンダN-BOXに代表されるスペース効率に優れたスーパーハイトワゴンが想像されるだろう。広くて、取りまわしやすい実用車というイメージではないだろうか。ダイハツ・コペンのような2シーターオープンも存在しているが、走りを最優先するドライバーにとっては選択肢に入らないかもしれない。
  しかしながら、古くから軽自動車にはホットなドライバーをターゲットにしたモデルやグレードが一定数存在していた。まだ軽自動車の排気量が360ccだった時代には、ダイハツ・フェローマックスやスズキ・フロンテクーペといった伝説のモデルがあった。
  そうした伝統は、昭和の終わりごろ、軽自動車の排気量が550ccだった時代に結実する。シンボル的存在が、スズキ・アルトワークス(初代)だろう。車両区分としては軽商用車ながら、刺激的なエアロパーツをプラスしたボディに3気筒DOHCターボを積んだことで、軽自動車のホットモデルとして最高地点に達したといっていい。
  さらに、三菱はベーシック軽自動車のミニカに3気筒5バルブターボエンジンを載せたホットモデル「ダンガン」を誕生させる。このようにライバル関係が激化することは、軽ホットハッチというカテゴリーを大いに盛り上げるきっかけとなった。
「走りの軽自動車」は平成初期に660ccへと成長した軽自動車における一大トレンドとなる。
  この時代の軽自動車スポーツカーといえば、1991〜1992年にかけてデビューしたABCトリオ(マツダ・オートザムAZ-1、ホンダ・ビート、スズキ・カプチーノ)を思い出すかもしれないが、ハッチバックボディのモデルにハイパフォーマンスエンジンを載せたモデルも多く生まれ、軽自動車スポーツは多様な時代に突入していった。
  1990年代半ばにおいて、スズキはアルトワークスにオールアルミのDOHCターボエンジンを与えていた。ダイハツはミラのホットモデルであるアバンツァートに4気筒DOHCターボを搭載、三菱もミニカ・ダンガンのエンジンを4気筒5バルブDOHCターボへと進化させていた。
  このころのホットハッチとして忘れられないのはスバル・ヴィヴィオRX-Rだ。いまでは独自の軽自動車開発をやめてしまったスバル(当時は富士重工業)だが、ヴィヴィオRX-Rは、4輪独立懸架サスペンションに4気筒DOHCスーパーチャージャーエンジンという構成のメカニズムで、多くのファンを掴んでいた。
トールワゴンにも5バルブや4気筒ターボを搭載!
  もっとも、1990年代半ばといえばスズキが初代ワゴンRを誕生させたことで、軽自動車のトレンドがハイトワゴンにシフトしつつある時代でもあった。それでも軽自動車にスポーツ性を求めるニーズは少なからずあった。
  ワゴンRのライバルとしてダイハツが生み出した初代ムーヴにおいても4気筒DOHCターボ+5速MTのグレードは設定されていたし、三菱もミニカをベースとしたフルゴネット型モデルであるミニカトッポに4気筒5バルブターボを設定していた。
  スズキもワゴンRにアルミ製3気筒DOHCターボを追加設定するなど、ハイトワゴンであってもトップグレードにおいては高性能をアピールするという時代だったのだ。
  さらに、NAエンジン搭載車においてもスポーツ指向のモデルが存在していたのが1990年代の軽自動車における隠れたトレンドのひとつ。ダイハツはミラ・アバンツァートに4気筒DOHCのNA版を載せたグレードを設定していた。さらに注目すべきが、ホンダのハッチバックモデル「トゥデイ」の最上級グレードだ。こちらには、ビート譲りのMTREC(3連スロットル)を備えた3気筒エンジンが与えられていた。トゥデイは車両重量が600kg台と軽く、軽自動車のNA最速モデルとして名を馳せた。
※画像はMTREC非搭載モデル
  残念ながら1998年に軽自動車の規格が現在の全長3.4m・全幅1.48m・排気量660ccになったころから潮目は変わっていく。たしかにアルトワークスは、そのタイミングでフルモデルチェンジ、可変バルタイ機構付きターボエンジンを与えられるなど進化したが、他メーカーからはホットハッチといえるモデルが減っていくことになる。
  スバルやホンダは軽自動車ラインアップをハイトワゴンに絞り、ハッチバックのホットモデルはオワコン状態になっていく。スズキはKeiワークスやラパンSSを登場させるなど孤軍奮闘するも、結果としてホットハッチ的な軽自動車が消滅してしまったのは、ご存じのとおり。
  いまやMT(マニュアルトランスミッション)の軽自動車を見つけるほうが難しいが、軽自動車にもスポーツ性が重視される時代があったことは覚えておきたい。

あわせて読みたい

日本未発売、ホンダ「シティ・ハッチバック」の実力
東洋経済オンライン
こんな凄いクルマが150万円切りとかいい時代すぎる! ダイハツイチの愛されキャラ「初代コペン」
WEB CARTOP
あなたの動画を自然に翻訳!「AI動画翻訳くん」とは?
antenna
Chill CARS|気軽さが魅力な、スニーカーのような軽自動車。
Casa BRUTUS
伝説のABCトリオってじつはソコまで人気じゃなかった? いま軽2シータースポーツが「コペン」しか存在しないワケ
WEB CARTOP
天然ハーブパウダーを使用した「幸せを呼ぶ青いチョコレート」登場
PR TIMES Topics
スズキ・ハスラー タフワイルド ターボ(4WD/CVT)【試乗記】
webCG
最新人気28車種徹底ガイド!『2024-2025年 軽自動車のすべて』発売!
PR TIMES
くらざしきスイーツの秋限定!やきいもプリン販売開始
PR TIMES Topics
軽自動車も高いから同じ値段出すならコンパクトカー買えるじゃん……は合ってるようで間違い! 価格と中身を比べてみた
WEB CARTOP
独立したトランクに4ドアハードトップって後にも先にもこんな軽自動車ないぞ! 2代目ダイハツ・オプティが挑戦心の塊だった
WEB CARTOP
【ファミリーマート】名作絵本とコラボした「スイミーグミ」登場
PR TIMES Topics
【スクープ】三菱「パジェロミニ」の後継モデルが13年ぶりに発売へ!? スズキジムニーに対抗すべくマイルドハイブリッドを搭載か
CARSMEET WEB
ヤバいカスタム車かと思ったらメーカーが作ったの? スズキ・アルトにまさかの3ドアのスライドドア車が存在していた!
WEB CARTOP
本格中国料理をネットで簡単にお取り寄せ!4種の「具だくさんの食べるスープ」新登場
PR TIMES Topics
軽なのに4つのルーフバリエーションが楽しめる! スズキ・カプチーノは「一部の富裕層」しか味わえない喜びを庶民に提供した偉大なる1台だった
WEB CARTOP
「注目必至の軽乗用車」再出発への確かな第一歩…ダイハツが“ミラ イース”を一部改良
MonoMaxWEB
「ホンダ車のいい間違い?」とかいわないで! たった4年で姿を消した三菱「アスパイア」とは
WEB CARTOP
軽自動車販売ランキングで1カ月天下に終わったスペーシア! 王者N-BOXに再逆転を許したのは「タントの出荷が再開したから」の噂を検証した
WEB CARTOP