高齢者講習を間近で見ると「危険な運転」だらけ! 元教習所教官が提言する「本当に必要な」免許返納制度とは

2024.04.05 11:40
この記事をまとめると
■高齢者ドライバーによる交通事故が発生し続けている原因を元教習所教官の立場から解説
■高齢者による事故は身体能力の低下や操作ミス、判断ミスが影響してくる
■免許に定年を設けてそこから再試験をするなど、免許返納制度を整える必要がある
増え続ける高齢ドライバーによる事故
  高齢ドライバーに関するニュースを見ていると、目を疑いたくなるような映像や画像とともに暴走事故や逆走などがあったと報道され、交通事故の加害者である高齢ドライバーが信じられない言葉を口にしている様子を見ることがあります。このような悲惨な事故や加害者を増やさないようにするためには、どのようにしたらよいのでしょうか。
  今回は、教習指導員の資格を持つ筆者が高齢ドライバーの現実と今後について考察します。
高齢ドライバーの事故のニュースからわかること
  高齢ドライバーの交通事故や交通トラブルの原因は、それぞれの事故やトラブルによって異なるため、一概に原因を断定することはできません。しかし、高齢ドライバーの交通事故やトラブルには共通していることがあると筆者は考えています。それは次の3つです。
・操作ミス(アクセルとブレーキの踏み間違いやシフト操作ミスなど) ・判断ミス(逆走や信号・標識の認識ミスなど) ・反射神経や身体能力の低下(緊急時の対応やミスをした時のカバー能力など)
  この3つのうち、どれかひとつでも欠けてしまうと、悲惨な事故や予期せぬ交通トラブルを起こしてしまうのではないかと考えています。
  この3つについては、高齢ドライバーだけでなく、若者をはじめすべての運転者にもいえることです。ただし、高齢ドライバーの場合は、反射神経や身体能力の低下に伴い、ミスのカバーに時間を要するため、悲惨な事故につながりやすいといえます。
  言い換えれば、高齢ドライバーであっても、反射神経や身体能力が衰えていなければ、問題なく運転できるといえるでしょう。
高齢者講習をしているドライバーを見ると事故を起こすのも納得
  筆者が勤務していた教習所では、運転免許を取得するための教習と同時に高齢者講習も実施していました。高齢者講習の様子を教習中の車内から見ていると、非常に危険な運転をしていることがよくわかります。
  とくに目についたのは「自分のルール=交通ルール」と思い込んでいる自己中心的な高齢ドライバーです。すべての高齢ドライバーが自己中心的な運転をしているわけではありませんが、教習と同時に行われている高齢者講習中の運転を見ていると、自己中心的な運転をしているドライバーは非常に目立ちます。
  自己中心的な運転は、高齢者に限らず運転に慣れてきた人がやりがちなことです。本来であれば、「法律のルール=交通ルール」であるにも関わらず、「自分のルール=交通ルール」になっているドライバーは、年齢を問わずよく見ます。このような自己中心的な考え方や運転になると、交通事故や交通トラブルが増えます。あおり運転や無理な進路変更などの妨害運転も、「自分のルール=交通ルール」となっていることが根本的な原因だといえるでしょう。
  そのため、運転者ひとりひとりが、「法律のルール=交通ルール」という考え方や運転にシフトしない限り、事故やトラブルが減ることはないでしょう。
元教員が考える高齢ドライバーの事故の減らし方とは
安全運転のプロから高齢ドライバーに伝えたいこと
  教習指導員の資格を保有し、実際に教習の現場で指導していたことがある筆者が高齢ドライバーに伝えたいことは次の2点です。
1)指導員の助言は素直に受け入れましょう
  講習で厳しいことをいわれることがあるかもしれません。講習で厳しいことをいっているのは、人の命を奪う可能性がある乗り物を運転する自覚と責任を持ってもらいたいからです。そのため、指導員の年齢が自分より年下であっても、指導員の助言は素直に聞き入れましょう。
2)自分の反射神経や身体能力に応じて免許返納も検討しましょう
  反射神経や身体能力は運転において必要な能力です。反射神経や身体能力の低下を自分で感じたり家族や知人からいわれたりしたときは、免許返納を検討してください。
高齢ドライバーの事故やトラブルの増加に伴って考えるべきこと
  高齢ドライバーの事故やトラブルがいま以上に増えるようであれば、免許返納年齢を定めることも検討したほうがよいのではないかと筆者は考えています。
  筆者が(勝手に)考えている「免許返納年齢制度」は、会社員の定年のように運転免許にも定年=返納年齢を定め、返納年齢になったら免許を一度返納し、引き続き運転免許が必要な場合には一定の知識と技量があるか試験をして、合格した人のみ運転免許の保有を継続させるといった制度です。このような制度があれば、悲惨な事故が減るのではないかと考えています。

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