自動運転は2024年問題の解決にはならない! ハードルは「技術的問題」以外のところにあった!!

2024.02.18 07:00
この記事をまとめると
■運送業界や旅客輸送業界で話題の「2024年問題」の抜本的解決策は見つかっていない
■「自動運転がカギを握っている」といわれるがそう簡単にいかない
■自動運転は導入コストや利用者の心理面で課題が残るため技術進歩を待っても事態が深刻化するだけ
いまだ2024年問題の解決の出口は見えていない
  2024年4月1日より改正働き方改革法が施行されると時間外労働時間が厳しく制限され、トラック輸送ではいままでどおりの輸送量確保が難しくなり、路線バスでは運行本数の減便や廃止される路線が続出、そしてタクシーでは稼働台数の減少などが起こるのではないかとされている。それが「2024年問題」だ。
  運送業界や旅客輸送業界では働き手を増やすなど、あの手この手で2024年問題に対応しようとしているが、問題へ対処する抜本的な方法は見つかっていない。
  そのなかで、テレビ番組のコメンテーターなどから、「自動運転が解決のカギを握る」といったコメントがよく聞かれるが、話はそんな簡単なものではない。
  まず、自動運転という技術そのものがいますぐ、どこにでも導入できるほど確立されていないことが大きい。
  自動運転タクシーの試験的ともいえる営業運行は、アメリカや中国ですでに行われているが、アメリカでは緊急車両を停止させるなどの問題が多発していると報道されている。路線バスについては、全国各地で試験走行も含め活発に導入されているが、一般的なサイズの路線バスが無人で走るといったイメージとはほど遠いものとなり、2024年問題を解決するものとはいえないだろう。
  それでは技術がある程度普及に耐えうるものとなればいいのかというと、今度はその導入コストというものが問題となってくるだろう。
事態は「自動運転がカギ握る」といえるほど単純じゃない
  運転士を必要としない自動運転は、現在では「自律走行型」とも呼べるバス自体が自動で運転するものが一般的に「自動運転」と呼ばれている。バスやタクシー、トラックを操る運転士を必要としないので、二種免許を持つ運転士の数に関係なく自動運転車両さえ導入すれば運行することが可能になるともいえるが(まったく無人というわけではなく緊急時対応のスタッフは同乗するようだ)、専用装備を施した車両のほかそれをオペレーションするシステムや、導入路線における環境整備など、初期導入コストは莫大なものとなる。
  トラックやバス、タクシー事業者のほとんどの経営状況はすでに青色吐息状態。そんな各事業者がおいそれと自動運転車両を導入してオペレーションするための資金を用意することはかなり難しいとされている。「自動運転に積極的に取り組むよりは、そのまま廃業の道を選ぶ事業者が目立ってくるかもしれません」とは事情通。
  仮にそれほど障害なく導入できたとしても、利用者側の心理的なものが問題になるかもしれない。「自動運転するクルマには乗れない」という人が出てくることも想定しなければならない。つまり、導入当初は何か起きたときのために運転補助的な人員は乗車するだろうが、自動運転車両と従来どおり運転士が運転する車両が混在することも十分予測できる。とくにタクシーでは、電話やアプリで配車要請する際には、自動運転車両(有人)と、運転士が運転する車両が選べるようにしなければならなくなるかもしれない。
「ヒューマノイド」ともよばれる、いわゆる「ヒト型ロボット」が運転士に代わって車両を運転し、それを「自動運転」として働き手不足を解消するという研究も進んでいるが、こちらもまだまだ現実的な解決策と言い切れるまでにはなっていない。
  困難ではあるものの、高校や大学を卒業した「学卒採用」運転士や、二種運転免許を持ちながら自動車運送業に従事していない人を積極雇用するなど、働き手を増やしていくしか当面の対策はないのが実状ともいえる。
「自動運転がカギを握る」といった発言は、短期間では逃げ口上にしか見えないし、抜本的解決にはならないと筆者は考える。
  働き手不足だけではなく、2024年問題で減便や路線廃止、タクシーの稼働台数の減少傾向には拍車がかかっているようにも見える。技術進歩を神頼みのように待つだけでは事態は深刻化していくだけとなるだろう。

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