日本車の強みは「品質の高さ」からくる「落ちない再販価値」! インドネシアで感じた中韓メーカーにはそう簡単に崩されない盤石の信頼

2024.03.31 07:00
この記事をまとめると
■ジャカルタ市内の中古車販売店エリアを訪問
■日本車の中古車価格は高値で推移しており特に「トヨタ・キジャン イノーバ」が人気だった
■長い年月をかけて築き上げた日本車の信頼度はそう簡単には崩されない
インドネシアでの日本車は再販価値が高い
  インドネシアの首都ジャカルタ市内にある、複数の中古車販売店が集中して中古車を展示している場所を訪れる機会があった。ショッピングモールのような大きな建物のなかには、中古車販売店のほかにカー用品店、シートの縫製などの作業を行うショップなどほぼすべてのフロアで自動車関連の業者が店を構えており、フードコートまで用意されていた。
  中古車販売フロアについては、イメージとしてショッピングモールの建物内にある駐車場のような場所に、蛍光灯など明るい照明を設置し、冷房が効いているなか中古車が展示されていると思ってもらえばいいだろう。
  地元事情通に案内してもらいながら見てまわったのだが、日本のように決められたフォーマットに基づき、販売価格や年式、走行距離などが書かれた“スペックボード”が掲示されることはなく、多くの店舗では価格については店舗スタッフに聞きながら条件交渉(値引きなど)を行うようになっていた。
  インドネシアではローンでクルマを購入するのが当たり前なので、価格ではなく月々の支払額など返済プランだけ表示されたボードを掲示する店舗もあった。数少ない価格表示をしている店舗を中心に販売価格を見ていると、まず日本と比べると全般的にも再販価値が高いことに驚かされた。「インドネシアでは、低年式となってもしぶとく再販価値が残ります。そのため新車購入時にも再販価値というものを重視して購入検討することになります」(事情通)。
  日本車が壊れにくく、品質がいいのは世界共通認識といってもいい状況となっている。その日本車は当然再販価値も高めに維持されていくので、いまでもインドネシア国内の新車販売シェアでは日本車が90%以上を維持しているということになるのかもしれない。
  その日本車のなかでの中古車販売価格をみると、とくに再販価値が高めだと感じたのは、トヨタ・イノーバといえよう。トヨタの新興国向けモデルで伝説的なMPV(多目的車)である「キジャン」の後継車種として2004年に「キジャン・イノーバ」が2016年までラインアップされていたのだが、このキジャン・イノーバの最終型近い年式でも(つまり8年落ち)であっても、100万円近い販売価格のものがザラにあり、再販価値が高めに維持されていた。
  その後2015年には2代目「キジャン・イノーバ」がデビュー。そして3代目となる「キジャン・イノーバ・ゼニクス」が現行モデルとなっている。ゼニクスについては2022年のデビュー直後の中古車では新車価格とそん色のない価格になっているものもあり、キジャン系の再販価値はまさに“鉄板”といっていいほど高めに推移していた。官公庁や企業での運転手付きの社用車ニーズも高いステイタスモデルともいっていいのがキジャン系なのでそれが影響しているようだ。
  韓国や中国メーカー車については、「同年式同クラスの日本車に比べれば値落ちスピードは速いが、驚くようなレベルではない」(事情通)とのことであった。
日本車が長年かけて築き上げた信頼は強い
  タイで話を聞いた時も新車購入時に再販価値を意識する傾向が高いと聞いたことがある。短期間で乗り換えるケースが多いことも影響しているとのことであった。日本でも残価設定ローンの利用が目立ってきてからは、短いサイクルで乗り換える人も増えてきており、再販価値を意識した新車購入というものが目立ってきている。
  つまり、韓国や中国メーカーが日本車の苦手とするBEV(バッテリー電気自動車)を旗印にICE(内燃機関)車もラインアップして、インドネシアはじめ東南アジアで攻勢を仕掛けてきても、単に「目新しい」とか、「BEVがあるから」というだけでは日本車の牙城を崩すことは難しく、「日本車より再販価値が高い」とならないと本格的に日本車に対抗することは厳しいといってもいいだろう。そのためには、やはり信頼を得るためにも一定の時間が必要ということになるだろう。
  だからといって日本メーカーが安心していられるかといえばそうでもない。ICE車からスタートしているのだが、中国・上海汽車系のMGブランドはタイに市場進出してから2024年で10年を迎える。その間でブランドステイタスを上げてきており、現状では一部モデルとも話を聞いているが、同クラス日本車とほぼ同等に再販価値を維持するようになり、消費者も進出間際のような「中国車アレルギー」を示す人は少数派となっているとも聞いている。そのような環境下でコロナ禍以降、MG以外の中華系ブランドが相次いでBEVをメインに市場参入してきており、バンコク市内で頻繁に見かけるようになっている。
  BYDはタイでもインドネシアでも、保証内容の充実などを強くアピールしており、安易な中華系BEV同士での値引き競争による乱売を避け、ブランドステイタスの定着を進めているように見えるのも、再販価値を意識した動きにも見える。
  筆者は「いますぐ日本車が追い詰められることはないだろう」とよくいっている。それは中国系だけではなく韓国系ブランドが今後日本車とそん色のない再販価値を維持するようになる時が訪れる時までの“猶予期間”と表現することができるかもしれない。

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