コロナ禍以降不足しまくっていたタクシーがやっとつかまるようになってきた! 運転士の増加だけじゃないその理由とは

2024.03.03 07:00
この記事をまとめると
■都心部におけるタクシー不足がここ最近で改善しつつあるように感じる
■タクシー配車アプリの普及によりタクシーの使い方が変わった
■アプリ配車サービス加盟事業者に関してはタクシー運転士が戻ってきている傾向にある
都内では空車のタクシーを見かけるようになった
  過疎地域だけではなく、都市部においても深刻なタクシーの稼働台数不足となっているとの報道が目立っていたが、ここのところは、地域にもよるようではあるが、稼働台数もだいぶ増えてきており、一時よりはタクシー不足も改善に向かっているように見える。
  筆者は早朝に東京都内のとある繁華街を定点観測しているのだが、少し前には通勤などでの利用のほか、朝まで飲食店で飲んでいた酔客の帰宅需要などで、実車(お客を乗せて走っている)走行しているタクシーばかり。空車のタクシーはほとんど目にすることはなかった。稼働台数が極端に少ない様子が伝わっていたのだが、最近になると空車のタクシーが目立つようになっていた。
  タクシー運行の基本セオリーとして、「左折メインで運転」というものがある。交差点の角で利用客が手を挙げることも多く、流し営業のセオリーのひとつに左折を繰り返してお客を探すというものがある。
  最近いつものポイントで定点観測をしていると、まさに同じタクシーが繁華街を取り囲むように左折を繰り返して筆者の目の前を繰り返し通過することが目立ってきた。利用客が減ってきたというよりは、タクシーの数が明らかに増えているのがその背景にあるようだ。
  ただし、朝の通勤時間帯や夕方など繁忙時間帯では、相変わらずなかなかタクシーが捕まらないことが多い。稼働台数が増えてきているとはいえ、まだまだ十分な状況でもないということなのかもしれない。
配車アプリを優先している事業者も出てきた
  もうひとつの理由として、タクシー配車アプリの普及がある。筆者もタクシー不足が深刻なときには、都心部といえども不確かな状況で道を走ってくる空車のタクシーがくるのを待つよりは、ということでタクシー配車アプリを使うようになった。それなりに待たされることになるのだが、配車マッチングができているので、待っていれば確実にタクシーがやってくるからである。
  配車アプリ導入当初は大手事業者がメインだったのだが、その後、中小の事業者もそれぞれ配車アプリサービスに加盟することが多くなり、いまでは地方の主要ターミナル駅などでもアプリ配車可能なタクシーを見かけるようになっている。
  流し営業(道端でタクシー利用を待っている人を乗せるスタイル)ではなく、そもそも無線配車営業(電話でタクシーの配車要請があり迎えに行くスタイル)メインの地域でも、アプリでの配車要請が目立ってきているとのこと。「朝8時から営業を始めていますが、すでに8回お客さまを乗せています。すべてアプリ配車でした」(話を聞いたのが午前10時半ごろ)。
  しかも、「スマホのアプリで配車」となると比較的若い世代の人が多いと思い込みがちなのだが、結構年配な人も利用しているとのことで、タクシー運転士も驚いているとのこと。
  さらに興味深いのは、そもそもタクシーがほとんど客待ちしていないようなローカルな駅前からの配車要請が目立っているとのこと。規模の大きい駅前ロータリーなどでは、タクシー乗り場で待っているお客とのトラブルや、待っているうちに空車のタクシーがきて乗ってしまうといったことを防ぐために、スマホアプリでの配車要請をブロックしていることが多いのだが、そのようなブロックがされていない駅前からの配車要請が目立っているというのである。
「タクシーが待っていることを期待できないので利用するつもりがなかった駅前でも、アプリで手軽に呼べることになり新たな需要が掘り起こせたともいえるでしょう」とは事情通。
  ただし、問題がないわけでもない。事業者によっては、コスト削減のためにアプリ配車導入と同時に無線配車をやめるところもあるが、一般的には無線配車と並行してアプリ配車にも対応している。「聞いたところでは、無線配車よりはアプリ配車のほうが優先的に配車されるとのことらしいです。いままではそもそも稼働しているタクシーが少なくて配車が間に合わなかったのが、アプリ配車が優先されて電話でタクシー配車を要請してもなかなか手配されないということが目立ってくる可能性はあります(事情通)」。
  需要の多い都心部では、朝の繁忙時間帯はアプリ配車対応の専用車を増やしているとのこと。せっかくアプリをダウンロードしたのに、配車要請しようとしたらタクシーがいないでは話にならない(結果的に利用されない)ということを防ぎたいというのが背景にあるようだ。
  タクシーの稼働台数が戻りつつあるということは、従事する運転士が戻ってきているということになる。ただし、その傾向が目立つのは、アプリ配車サービスに加盟している事業者のようである。タクシーアプリの普及で新規需要が増えたとしても、抜本的な運転士不足の解消を進めなければ、「タクシーになかなか乗ることができない」という現状はいまだ改善されないことになるともいえよう。

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