超重大事故にも繋がる「トラックの脱輪」は20年で1188件も発生! 規定トルクで締めているのに「ホイールナット」の緩みが発生するワケ

2024.02.26 17:30
この記事をまとめると
■トラックのタイヤ脱輪事故は約20年間で1188件起こっている
■過酷な状況で使われていることも脱落事故を起こす要因の1つ
■定期的な点検とホイールボルトとナットの交換が必要だ
トラックのタイヤ脱輪事故は約20年間で1188件
  トラックのタイヤ脱輪事故は、平成14年4月から令和4年3月までの約20年間で1188件起こっている。単にホイールが外れてしまっただけならまだいいが、実際には外れたホイールがほかの車両と衝突したり、ホイールが脱落した車両が不安定になって事故を起こせば、被害者が発生してしまうこともありうる。
  もちろん、定期的な点検整備により、ホイールナットの緩み(運輸会社によっては毎日運行前に行なっている)がないか確認していれば、このような事故はまず起こらない。だが、トラックのタイヤホイールは乗用車とは比べ物にならないほど、過酷な状況で使われていることも、脱落事故を起こす要因のひとつだ。
  読者のなかにはホイールナットが緩んでナットが外れてしまって、ホイールが脱落してしまう、というイメージを持っている人も多いのではないだろうか。しかし、実際にはホイール脱落のメカニズムは異なる。
  まずネジ部が錆びついていることで、規定のトルクでしっかりと締め込まれていないナットがあれば、それが緩みの原因になる。ホイールとハブが密着していないと、ホイールボルトがホイールを支えることになり走行中、ボルトには路面の凹凸などにより衝撃が与え続けられる。
  その結果、ボルトが折れてホイールが脱落してしまうのである。こうならないためには、ホイールボルトとナットのネジ部やハブ面、ホイールの接合面はキレイな状態であることが必要だ。錆びて表面の凹凸がひどければ、完全に密着することはできないから、走行中の衝撃で擦れ合って凹凸が削れ、隙間が開いてしまう(つまりネジが緩む)こともありうる。
  本来、ネジ部分は適切な給油をして、錆を防止して適正な締め付けトルクでネジを締め付けられるようにするものだ。しかし、インパクトレンチによる締め緩め作業が一般的になった現在、作業をスピーディにするために潤滑油などを使わずに締め込んでしまうケースもあるようだ。
  潤滑油を使うとネジが緩んでしまうのでは、と思う方もいるだろうが、実際は逆だ。ネジの摩擦抵抗が大きければ締め付けトルクが正しくてもネジを十分に締め付けられなくなる。
  弛まないネジに用いる浸透潤滑剤などは、使用時には強力な浸透力と潤滑性でネジを緩めるのに役立ってくれるが、しばらくすると揮発してほとんど残らなくなる。だからこれによってネジが緩む、なんてことは起こりにくい。
  そして、ホイールを脱着したら、作業時に締め付けトルクをチェックするだけでなく、100kmくらい走行したら、再度緩みがないか確認作業をするものなのだ。しかし、忙しいトラックドライバーは、ついついこうした作業を先送りしてしまうこともある。こうしたことがナットの緩みを招いて、ホイール脱落事故を起こしてしまうのだ。
  ハードに使われるトラックこそ、定期的な点検とホイールボルトとナットの交換をするべきなのだ。

あわせて読みたい

進化とは転がることと見つけたり! 「タイヤの日」に思うこと
ベストカーWeb
タイヤの歪みは心の歪み⁈ きちんとしないと後が怖いぞ……みんな知らないアライメント調整ってなーに?
ベストカーWeb
dアニメストアが新テレビCMを公開!
antenna
くしゃみは今の時期死活問題!! 入れたら最後!? 「花粉を車内に入れない&残さない」ためにやるべき3つの対策法
ベストカーWeb
重大事故にも繋がる大型車のタイヤ脱落! 発生が「冬季」に集中する理由とは?
WEB CARTOP
東急の新しいデジタルチケットサービス「Q SKIP」の魅力
antenna
大型車の車輪脱落事故を未然に防ごう!! 意外と知られていないホイールの注意点
ベストカーWeb
「ホイールナットが手で緩むんですけど……」 若き「学生整備士」が地域を救った!! 八丈島から日本を変える愛車無料点検イベントってなんだ
ベストカーWeb
アートのような日本製ジュエリーブランドから新作ジュエリー発売
PR TIMES Topics
公道じゃよくてもサーキットじゃ危険! 他人にも被害を及ぼすNGなカスタムパーツ8選
WEB CARTOP
エアの注入はケージに入れる! 移動式のリフトも存在! 知られざる「巨大トラック」のメンテ事情
WEB CARTOP
「母の日」に感謝の気持ちを込めたアートのような特別なスイーツ発売
PR TIMES Topics
ハンドルがブルブルと震え出す! 誰にでも起こりうる恐怖の「シミー現象」とは
WEB CARTOP
アル/ヴェルは5穴だけど……「元祖高級ミニバン」初代エルグランドは6穴ホイールだったってマジ!? 秘密は「ベース車」にあった!!
ベストカーWeb
【SABON】廃棄される花々をドライフラワーで彩るオリジナルギフトボックスのワークショップ開催
PR TIMES Topics
使って便利、見た目も美しい「ハンドツール」7選【趣味の傑作ギア買い物リスト】
&GP
“ハンドルロックの誤作動”“整備不良”に要注意…春先に増える「自転車の製品事故」気を付けるポイントは?
TOKYO FM+
dアニメストアCMに須田景凪氏の新曲起用
antenna
見た目にこだわる必要もないトラックにアルミホイールが広まってる! 値段が高くても数年で元がとれる理由とは
WEB CARTOP
クルマがちょっとふらつく……は気のせいじゃないかも! 真っ直ぐ走らないな……と違和感を感じたら疑うべき4+αのポイント
WEB CARTOP
【想いが伝わる贈り物】希少なリベリカ種を使用した豊かな味わいのバラココーヒー
PR TIMES Topics