決まったルートを走る定期便トラックは「水素」との相性よし! 開発が進む2つのアプローチとは

2024.01.22 17:30
この記事をまとめると
■水素をエネルギーとするモビリティの開発が進んでいる
■その代表的な例がFCEV(燃料電池車)だ
■トラックにおいてもFCVと水素エンジン2つのアプローチで開発が進む
トラック用のエンジンは2種類の方法が研究されている
  日本はエネルギー資源に乏しい環境にあり、そのほとんどを輸入に頼っている。エネルギーの安定供給と脱炭素社会を目指すために、最近注目されているのが水素だ。水素は地球上でもっとも軽い元素であり、水や空気(水蒸気として)を始めとした多くの物質に含まれているほか、素材の還元剤(化合物を精製、あるいは分離するために使われる)としても利用されている。
  その水素をエネルギーとして利用すると、化石燃料と違い、燃やしてもCO2は発生しない。酸素(O)と結びついて出来るのはH2O(=水)なので、水蒸気や水しか排出しないクリーンな動力が出来上がるのだ。
  その代表的な例がFCEV(燃料電池車)だ。トヨタMIRAIを筆頭にしたFCEVは、水素を高圧タンクに充填して、空気中の酸素と反応させることで電気を作る。水を電気分解すると水素と酸素が生成されるのを逆転させると、電気が取り出されるのだ。
  高性能なリチウムイオンバッテリーでも、化石燃料と比べればまだまだエネルギー密度は40分の1に過ぎず、航続距離と車両重量の問題はなかなか解決することができない。その点、FCEVであれば軽油やガソリンの4分の1程度に迫るエネルギー量を確保できる。しかも充填作業は液体燃料と同じ5分程度で完了する。急速充電でも30分以上かかるのと比べれば、その差は歴然だ。
FCVだけじゃなく水素エンジンのトラックも開発されている
  さらに最近は、エンジンで水素を利用しようという動きが加速している。トヨタがGRカローラのエンジンを水素に対応させてスーパー耐久レースに参戦し、レースに参戦することで急速にノウハウを高めている。このレース仕様のGRカローラ、今年は液化水素を搭載して航続距離を伸ばしたほか、安全性も高まっているので一般ユーザーも車両そばまで近付いて見られるようになっている。
  水素はそれだけで空気中の酸素と結びついて燃焼し、排気ガスは水蒸気だけ(厳密には微量のエンジンオイルが燃えるのでCO2もわずかに発生する)なので、エンジンで使用してもクリーンなエネルギーとなる。そんなクリーンエネルギーをトラックでも利用しようという動きが広がっているのだ。
  燃料電池トラックはトヨタと日野、ホンダといすゞがタッグを組んで現在実証実験により開発を進めている。定期便のトラックの場合、水素を補充するステーションは輸送経路に設置されればいいので、さまざまなユーザーが乗用車でFCEVを利用するよりもインフラ整備を効率的に進めやすい。一方、トヨタと日野のFCトラックも、トヨタ製のFCスタック(燃料電池ユニット)を搭載している。
  水素を燃料とするトラック用エンジンも、現在2種類の方法が研究されている。ひとつはシリンダーヘッドを作り直して、点火プラグを追加してガソリンエンジンに近い構造とするもの。もうひとつは、軽油を併用して、まず軽油を微量噴射して自然発火させて、そこに水素を噴射して燃焼室内で燃焼させる、というもの。圧縮しても自然発火はしない水素は、何か火種がないと燃えない。しかし、燃えるときにはガソリンや軽油より一気に燃えるので、それを上手く利用することが水素エンジンを実用化できる鍵となりそうだ。

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