乗用車じゃ当たり前の技術ハイブリッド! 大型トラックはいまだ「プロフィア」だけなのはナゼ?

2024.06.23 20:00
この記事をまとめると
■日野プロフィアにハイブリッド車が設定されて6年が経った
■大型トラックのハイブリッド車が増えない理由を考察
■業者がハイブリッド車を選択しにくい状況にあるのも普及しない理由のひとつだ
メンテナンス費用がトラック業者の懸念点か
  日野が大型トラックのプロフィアにハイブリッドを設定して、早6年。三菱ふそうやいすゞ、UDトラックスなどほかのトラックメーカーからは、いまだに大型トラックのハイブリッド車両は登場していない。
  構造が複雑なため、修理などメンテナンス費用がかかることを心配して、トラック業者が選択しにくいというのも、ハイブリッド車を導入しにくい理由のひとつだろう。従来のディーゼルエンジン車であれば、寿命や燃費などで経費も予測しやすい。ハイブリッド車は従来のエンジン車の構造に加えて、モーターとバッテリー、インバーター(電圧や周波数を変換する)などEVの部品も組み込む必要があるので、部品点数だけでなくそれぞれの制御も絡み合って複雑さを極めるのだ。したがって、故障などのリスクも高まる可能性がある。
  また、車体に流れる電流が50Vを超える電圧となると、自動車整備士の資格だけでなく、電気関係の資格も必要になる。このことも、現場の負担増を考えると導入しにくい理由になるのだ。
  トヨタはハイブリッド車を普及させるにあたって、ディーラーのメカニックに低圧電流(750V以下)の作業取扱の特別講習を受けさせるなど、周辺環境もキッチリと整備している。より本格的な整備をするには、自動車電気装置整備士という特殊整備士の資格も必要となるらしいが。
  こうした整備士に関する教育などもトラックディーラーでも同様の施策をすればいいのだろうが、肥大化する物流業界に対して、トラック整備の環境はまったく追い付いていない状況だ。
EVへのシフトが予測不能に陥っている?
  それならばハイブリッドではなく、EVにしたほうがいいのでは、と思う方もいるだろう。ハイブリッド車からエンジンと変速機を取り除き、バッテリーを大きくして充電装置をつければEVになるからだ。EVなどほかのエネルギー車の導入が予想されていることから、ハイブリッド車が過渡的なクルマとして見られてしまったことも理由のひとつだろう。
  しかし、大型トラックをEV化するのは、とてつもなく大変だ。というのも、技術的には問題ないがモーターで大トルクを発生させたり、長距離を走行するとなると大容量のバッテリーが必要になる。ということはバッテリーの重量が嵩んでしまい、肝心の荷物をあまり積めないトラックになってしまう可能性がある。事実、メルセデス・ベンツが導入したEV大型トラックの「eアクトロス」は、デビュー当初は車重が重く、航続距離が短いという問題を抱えていた(しかし最近では航続距離500kmを誇る仕様も登場している)。
  最近ではEV市場が伸び悩んでおり、乗用車だけでなくトラック業界でもEVへのシフトは当初より遅れそうな雰囲気だ。ならばハイブリッド化を進めてもよさそうなものだが、EVへのシフトが始まればハイブリッドは一気に旧態化した仕様と見放されてしまう可能性もある(実際はそんなことにはならないだろうが)。
  そんなこともあり、EVを見据えてトラックメーカーがハイブリッド化に二の足を踏んでいるというのが実際のところなのだろう。しかし、これから排ガス規制がますます厳しくなるのは間違いないので、エンジンで発電してモーターで走るシリーズハイブリッドが、大型トラックでも普及していくのではないか、と希望的観測をしておこう。

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