テスラが値下げで中国系ブランドのBEVとタイでガチバトル! 本国アメリカでも「ブランドイメージ」に変化の兆し

2024.01.15 06:20
この記事をまとめると
■2023年9月のタイBEV販売台数ランキングでテスラ・モデル3がトップ10にランクインした
■車両価格の値下げによりモデル3は販売台数を大きく増やした
■いまやテスラは価格面でも中国系ブランドのBEVとガチのライバルとなっている
テスラ・モデル3の値下げでタイBEV市場の状況が変化
  ある中国系メディアの報道によると、2023年9月単月締めでのタイ国内おけるBEV(バッテリー電気自動車)の車名別ランキング上位10車をみると、そのほとんどが中国系メーカー車なのだが、そのなかでテスラのモデルY(250台)、モデル3(125台)がトップ10に入り、中国系ブランド以外で唯一ランクインしている。
  現地在住の事情通に話を聞くと、「最近とくにテスラ車が増えている」とのこと。その背景のひとつとしてあるのが車両価格の値下げである。
  モデル3の後輪駆動モデルの現地価格は159万9000バーツ(約650万円)、ウェブサイト上では値引きをすると142万6500バーツ(約580万円)になるとされていた。中国BYD(比亜迪汽車)で同クラスとなる「シール」のタイでの販売価格は、廉価仕様の「ダイナミック」で132万5000バーツ(約537万円/後輪駆動)、後輪駆動の「プレミアム」で144万9000バーツ(約588万円)となっている。
  タイではモデル3とシールは価格も含めてガチのライバル。シールは2023年末に正式発売になったばかりだが、2023年12月にバンコク市内で定点観測すると、すでに走っているのを見かけており、その出足は好調のようだ。
  中国系のほかにもタイでは欧米系ブランドのBEVが販売されているが、中国系とは圧倒的な価格差があった。販売ターゲットについては明確な違いがあったが、テスラが値下げしたことにより、中国系ブランドを脅かすようになってきたのである。
  また、韓国ヒョンデでもアイオニック5を2023年11月にタイで正式発売している。
  このクルマも中国系BEVの購買層に食い込める価格的パフォーマンスを持っている。
バンコクのモーターショーで感じたテスラの本気度
  2023年9月に南カリフォルニアを訪れ、現地在住の事情通に話を聞くと、テスラが値下げしたことによって購買層に変化が出てきていると話してくれた。
「それこそ最近までは富裕層の日常生活の移動手段としての需要が目立っていました。しかし、値下げにより富裕層はテスラから離れつつあります。その代わり、テスラ・モデル3などがトヨタ・カムリやホンダ・アコードなどのユーザー層をメインターゲットにしつつあります。この辺りのモデルは、日本のサラリーマンでたとえれば「課長クラス」の人がよく乗っています。収束の見えないガソリン価格の高値傾向もあり、トヨタのHEV(ハイブリッド車)に乗り換える人もいますが、さらにテスラに乗り換えるという動きも目立っているように見えます」。
  かつては、東南アジアにおけるテスラ車のイメージは、「富裕層の移動手段」といったところであった。ドイツなど欧州系高級車を所有しながら、セカンドカーとして所有しているテスラにて買い物などに出かけるというのがデフォルト。
  あくまで私見だが、テスラは値下げにより東南アジアなどで新しいユーザーを開拓しつつ、販売のボリュームゾーンを移しているようにも見える。BYDなどの価格的にも魅力の高い中国系BEVに対しても十分に価格競争力があり、しかも「テスラ」という世界的なブランドパワーが強力な武器になっている。
  これまでバンコクのモーターショーの会場でテスラのブースを見た記憶が筆者にはないのだが、今回のバンコク・モーターエキスポ2023では、小さいながらもテスラがブースを構えていた。意外に思える一方でタイ市場への「本気度」を見たような気がしている。
  日本では間もなくBYDがシールを発売するとされている。
  日本でもモデル3とガチンコで販売競争を展開していくことになるのだろうか。

あわせて読みたい

アジアでは価格発表が一大イベントに! いま新車の「発表」と「価格公開」時期をあえてズラすメーカーが増えているワケ
WEB CARTOP
テスラ失速! もうどうにも止まらない……販売不振で30万円値下げ! 低価格車EVの投入前倒しへ
ベストカーWeb
日本に上陸したこのトロフィーは一体? 歴史あるヨットレース「アメリカズカップ」を知ろう
antenna*
インドネシアでバカ売れの三菱エクスパンダー! なのにOEMの兄弟車「日産リヴィナ」はまったく売れない謎
WEB CARTOP
カッコいいじゃん……ホンダが[イエ]ブランド[GTコンセプト]を世界初公開! EV[e:N]シリーズに続く第2弾は2027年までに6車種一挙投入
ベストカーWeb
限界に挑戦し続ける姿勢とサステナブルな価値観。ヨットレース「アメリカズカップ」に世界が熱視線を送る理由
antenna*
日本車王国タイのモーターショー会場は中国ブランドが台頭! それでも「日本メーカーの優位」が揺るがないワケ
WEB CARTOP
中国車ってEV一辺倒じゃなかったの!? インドネシアでみた中国メーカー「エンジン車」の存在感
WEB CARTOP
新TVCM「アニメとススメ!」篇放送開始
antenna
「カワイイ」で人気だったウーリン・エアEVのブームが終了!? インドネシアで見えたBYDの台頭
WEB CARTOP
単に価格勝負で日本市場を狙っていない! BYDの侮れないブランド戦略とは
WEB CARTOP
爽やかな初夏を彩る「Green」な季節限定商品
PR TIMES Topics
中国製BEVの進出にEUが排除ともとれる動き! 日本メーカーの静観は賢い選択
WEB CARTOP
中国EV2位「広汽アイオン」がタイ工場の建設開始
東洋経済オンライン
dアニメストアCMに須田景凪氏の新曲起用
antenna
テスラを猛追するBYDのSEAL、完成度は高いが道半ば「チグハグ走行」で我慢が必要な面も【試乗記】 - CAR and DRIVER 注目カー・ファイル
ダイヤモンド・オンライン
クルマ好きで知られる大統領が「インドネシア国際モーターショー2024」を視察! BYDブースには時間をかけた一方でスルーするブランドも……
WEB CARTOP
はちみつビューティーブランドHACCI「モイスト リップエッセンス BEE KISS」の新色登場
PR TIMES Topics
三菱に新型ハイブリッドSUV登場!! バンコクショーでも中国メーカーの猛攻止まらず アジアの最新トレンドはいったいどうなる!?
ベストカーWeb
日本車の強みは「品質の高さ」からくる「落ちない再販価値」! インドネシアで感じた中韓メーカーにはそう簡単に崩されない盤石の信頼
WEB CARTOP
りんご飴の新定番「塩りんご飴」登場
PR TIMES Topics