なんで待望のロータリー復活にMX-30が選ばれた? 売れ筋モデルに搭載しなかった理由とは

2023.10.16 17:30
この記事をまとめると
■マツダMX-30はデビュー当初から電動化に力を入れていた
■電動化を念頭において開発されたMX-30ならロータリーEVに仕立てやすくアピールしやすい
■今後マツダのロータリーにはまだまだいろいろな可能性がある
マツダがMX-30にロータリーEVを設定した
  マツダ3、CX-30に次いで、マツダの新世代商品群の第3弾として2020年秋に登場したMX-30は、独特の内外装デザインや観音開きのフリースタイルドアの採用が特徴だ。クロスオーバーSUVとしては異例のクーペライクなフォルムも、このドアの採用なしには実現できなかったという。そのあたりが評価されて、日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021で「デザインカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのも記憶に新しい。
  機構的にはマツダ3やCX-30との共通性が高いのはもちろんとして、MX-30で特筆すべきは、当初から電動化に力を入れていることだ。マツダにとって「MX-」という車名は、スポーティであるとか、新しいことにチャレンジするといった意味合いをもつクルマに与えられる。あの「ロードスター」も、海外名が「MX-5」なのはご存じのことだろう。MX-30もまさしくその流れをくむクルマとして位置づけられているわけだ。
  マツダが2022年11月に発表した中期経営計画における、2030年に向けた経営基本方針によると、2030年時点におけるEVの販売比率を25~40%と想定しているという。
  第1フェーズとなる2022~2024年には、マルチ電動化技術のフル活用、BEV専用車の技術開発の本格化など、開発強化を図る。
  2025~2027年の第2フェーズでは、新しいハイブリッドシステムの導入、グローバルにBEVの導入を開始、電動駆動の基幹ユニット領域での協業による次世代に向けた競争力のある電駆ユニットの創出など、電動化へのトランジションを図る。
  2028~2030年の第3フェーズでは、BEV専用車の本格導入を進めるとしている。
  内燃機関を重視する基本姿勢に変わりはないと思われるが、電動化にも積極的に取り組んでいくことが見て取れる。マイルドハイブリッドについては、ほかの多くの車種にも採用されている。
今後のマツダのロータリー戦略に期待
  ところが、ご存じのとおり世の中が急激に変わり、一部地域では本格的な電動化の要素がないと目を向けてもらえないほどになった。そこで、マツダとしても電動化に取り組んでいることをアピールする必要があった。
  もともと電動化を念頭において開発されたMX-30について、日本よりも早くBEVや今回のロータリーEVを、マツダにとって重要な市場である欧州に導入した背景には、そうした事情がある。
  そうなると、なぜもっと量販が見込めるCX-30ではなくMX-30だったのか気になるところだが、件の新しいロータリーを用いた電動パワートレインは、当面はほかのマツダ車に載せる予定はないという。
  EVの世界でマツダはフロントランナーになろうとしているのではないことはおりに触れて伝えられているが、それ以前に、ロータリーエンジンの生産能力によるところが大きいようだ。年間で最大2万台と伝えられており、これにうまくはまりそうなのが、MX-30ということだ。
  MX-30はいわゆる万人向けの「普通」のクルマではないので、販売はそれなりに制約を受ける。たとえばCX-30にも積まれれば数としてはそれなりに売れるだろうが、売れたら売れたで別の問題が出てくる。いろいろな意味で、MX-30がもっとも適任といえそうだ。
  今後の販売や市場の動向によっては、計画や体制を見直される可能もあるだろうが、かりに増産するとなったときに、そのための設備投資や回収のことを考えると、ひととまずMX-30のみでやっていくというマツダの方針はじつに理にかなっているように思えてくる。
  ただし、ロータリーについては、現状のガソリンだけでなく、水素などのさまざまな燃料に対応可能で、将来につながる発展性があるという旨を執行役員も述べていた。また、ロータリーエンジンについても、駆動用として使うことをにおわせるような特許出願を行なっており、レンジエクステンダーだけで終わらせるつもりではないようだ。
  ひとまずはMX-30を皮切りとして、今後マツダのロータリーにはまだまだいろいろな可能性があると認識してよいかと思う。

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