椎橋良太「時のトラバース」鎌倉で開催 -写真を素材に彫刻的アプローチで構成された作品群が、風景に潜む記憶と生命のかたちを浮かび上がらせる

2025.08.08 08:45
DART株式会社
「東アジア文化都市2025鎌倉市」のプログラムとして、中国・韓国・鎌倉の山と空を写真に捉え作品を生み出す椎橋と共に、アーティスト吉田山、生意気のマイケルフランクらをゲストに迎えイベントを開催。
Ryota Shiibashi | 椎橋良太,《The Traverse of Time #01》, 2025   

このたび、東アジア文化都市2025鎌倉市の事業の一つとして、現代美術作家 椎橋良太による展覧会 ・アートイベント「時のトラバース」を、鎌倉市浄明寺のQuadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)や朝比奈切通で2025 年 9 月 12 日(金)から 9 月 28 日(日)まで開催します。イベントは9月14日(日)と9月20日(土)。

●自然と人間のあわいに潜む生命のかたち、彫刻的に表現された新しい写真作品を生み出す椎橋良太
椎橋良太は、彫刻家のバックグラウンドをもち、写真という平面媒体を使いながら、立体的な彫刻のように、その造形を彫り出し、切り抜き、貼り合わせるという過程で、新たな写真表現を追求するアーティストです。これまでに、韓国の光州市立美術館、中国北京の“Semi-Underground Space”のアーティストレジデンスを経験し、各地の山と空の風景を捉え、その土地固有の紙を素材に切り出した立体のような写真作品シリーズを生み出しました。実際に椎橋良太がカメラで捉えたランドスケープや、万里の長城などの歴史的な人工建造物がコラージュされる作品は、自然と人間のあわいに潜む生命のかたちを見つめる視点が込められています。
Ryota Shiibashi | 椎橋良太,《The Origin #48》, 2019 万里の長城がコラージュされている
Ryota Shiibashi | 椎橋良太,《空のドローイング - 熱海 2024》“ATAMI ART GTANT 2024” , 2024(Photo by Tatsuhiko Nakagawa)

●韓国・中国・横須賀・熱海 そして鎌倉 山と空の風景から生まれるそこにしかないプロジェクト
かつて鎌倉に暮らした椎橋は、現在は、横須賀を拠点にしつつ、異邦人のようにその土地を見つめ、カメラで捉えます。韓国・中国の滞在制作を経て、昨年は熱海アートグラントに参加。その土地固有の歴史や課題にフォーカスした作品を生み出し始めています。山の写真から空を切り出すことを発展させ、街の風景から空を切り出す表現にも昇華させています。世界中の人々がつながり共感できる空をモチーフとしながら、その表現の奥には、椎橋が生活し、訪れてリサーチしてこそ気付くことのできる、独自の視点が潜んでいます。

今回のプロジェクトでは、鎌倉にフォーカスを当てます。「トラバース」は登山家が、山頂を登らずに、その山の中腹を横切るように進む時に使われる言葉です。今年6月には、鎌倉を拠点に活動する現代アーティスト、生意気のマイケル・フランク氏をガイドに椎橋良太は鎌倉・朝比奈切通しや谷戸を歩きリサーチを重ねました。鎌倉という土地に潜む、名もなき時間や歴史の痕跡に目を向けながら、自然と人間のあわいに潜む生命のかたちを見つめる椎橋が、写真を素材とし、彫刻的なアプローチで構成された新作を発表します。さらに、これまで中国・韓国で制作してきた作品を展示し、会期中には、作家とともに鎌倉・朝比奈切通しを歩く参加型のイベントやトークプログラムも開催予定です。

会場のQuadrivium Ostiumは、奥鎌倉と呼ばれる浄明寺エリアの山中に佇むギャラリー。自然の光を取り入れた建築空間で、中国・韓国そして鎌倉と、これまで椎橋がカメラで捉えてきた作品とプロジェクトに触れていただけます。
朝比奈切通をリサーチする椎橋良太、朝比奈切通は塩をはじめ、六浦に届く東アジアからの様々な物資を往来させるために使われた古道(Photo by Hiroaki Sumiya)
鎌倉をリサーチする椎橋良太と生意気マイケル・フランク(今此処商店)

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私は2025年の初夏、梅雨入り前の曇りと晴れが入り混じる時期に、鎌倉の山から海までを歩き回った。
歴史の大きさに圧倒されながらも、住宅地から少し山に入ると豊かな自然が息づいていて、苔や新緑の美しさに目を奪われた。
山には無数の道がついていて、かつてどんな人々がここを歩いたのか想像を巡らせる。ふと足元を見ると、苔むした石が人の通った部分だけ削られて、ツルツルと光っていることに気づく。長い時間をかけた人と自然との静かなせめぎ合い。小さな石にも宿る歴史や時間に少しだけ触れたような感じがした。
私は今回、鎌倉という土地で見つめた「生命のかたちと時間」をテーマに、写真を素材とし、彫刻的なアプローチで構成した新作を発表する。

                                         椎橋良太
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Ryota Shiibashi | 椎橋良太(Photo by Lee In-Sung)
椎橋良太:プロフィール1979年横浜市生まれ。2004年文星芸術大学美術学部彫刻専攻卒業。
「生命とは何か」という根源的な問いを出発点に、山岳地帯や都市を舞台に自身の身体感覚や体験にもとづいた制作活動を行なっている。自然と人間の境界を行き来しながら、写真を素材としたアナログ技法のコラージュ作品を制作。これまでに韓国、中国でのアーティスト・イン・レジデンスに参加。
[主な展覧会・受賞歴]
受賞歴
2025年 「miratap Art Award / Art in The House 2025」ファイナリスト
2024年 「ATAMI ART GRANT 2024」A賞(上位2名)
2022年 「Independent Tokyo 2022」タグボート特別賞
展覧会歴
2025年 「miratap Art Award / Art in The House 2025 受賞者展」ミラタップ大阪ショールーム(大阪)
「ATAMI ART GRANT × BEAMS CULTUART Showcase vol.2」B Gallery(東京)
2024年 「眠るもの、抱くもの」(個展) msb gallery(東京)
「ATAMI ART GRANT 2024」 熱海市内各所(静岡)
2023年 「食とアートと人と街 2023」 横浜ポートサイド地区(横浜)
「Independent Tokyo 2022 Selection」 タグボートギャラリー(東京)
2021年 「気の風景」 AnyOne × TEA HERE(北京、中国)
2019年 「あなたがいて」 Semi-Underground Space (北京、中国)

■開催概要
イベント名:椎橋良太 「時のトラバース」
アーティスト:椎橋良太 / Ryota Shiibashi
会期: 2025年9月12日(金)―9月28日(日) 11:00-17:00 (水曜日) 休 
会場: Quadrivium Ostium・クアドリヴィウム・オスティウム 入場無料
(〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32 / 【泉水橋】バス停より徒歩5分)
企画: 墨屋宏明 Sumiya Hiroaki
主催: 
特別協力: Quadrivium Ostium・クアドリヴィウム・オスティウム
助成:東アジア文化都市2025鎌倉市(東アジア文化都市2025鎌倉市実行委員会、文化庁、鎌倉市)
協力:
、株式会社クリアエディション、ハッチアート


●会期中のイベント
【9月14日(日)開催 トークイベント】
椎橋良太×吉田山対談「風景に関わることについて」
9月14日(日) 、椎橋良太と、熱海アートグラント2024ディレクターでありアーティストの吉田山をゲストに迎え「風景に関わることについて」をテーマとしたトークイベントを開催します。是非、ご参加ください。 トーク終了後、ささやかなオープニングレセプションもご用意しておりますので作家とのご歓談をお楽しみください。(途中入退場可能です)

トーク:15:00~16:30
レセプション:16:30~18:00
開催日時:9月14日(日)15:00~18:00
開催会場:ギャラリーQuadrivium Ostium
参加費 :¥1,000(税込、トークのみ、レセプションは無料)
予約  :Peatixからの事前申し込みにご協力ください (定員30名程度)
     お申し込み 
登壇者 :吉田山(キュレーター、アーティスト)、椎橋良太
吉田山:プロフィール富山県富山市生まれ。フィールドワークを行い、キュレーター、アーティストとして活動。アーティスト、デザイナー、建築家、企業など、異分野の専門家や組織との協働を通じて、社会と芸術の新たな関係構築や価値創造に取り組む。主な活動として、熱海市街地での芸術祭「ATAMI ART GRANT」(2023-2024)のプログラムディレクター、STYLY, Inc.との協働によるAR技術を用いた市街地での展覧会「AUGMENTED SITUATION D」(2023-2025)、複数の国での極小パブリックアートの取り組み「風の目たち」(2022-2024)およびその書籍出版(2025)などがある。2022年度シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]アーティストフェロー。




【9月20日(土)開催 屋外歩きイベント】
「椎橋良太、生意気マイケル・フランクと歩く朝比奈切通」
9月20日(土) 、鎌倉七切通のなかで古道の面影を最も残す朝比奈切通を椎橋良太と歩く会を開催いたします。朝比奈切通は塩をはじめとし、六浦に届く東アジアからの様々な物資を往来させるために使われた古道でもあります。
ゲストに、アーティストユニット「生意気」として活動し、近年はアートコレクティブ「宇宙大使館」として、植物やパン、AIを使った新しいメディア表現に取り組んでいる鎌倉在住の現代アーティスト マイケル・フランクを案内人に、鎌倉の山を歩きながら、椎橋良太の作品にまつわるポイントなどを体感します。散策後、展覧会場”Quadrivium Ostium”にて作品を鑑賞することができます。是非、歩きやすい服装でご参加ください。

開催日時:9月20日(土) 13:00~16:00
集合場所:今此処商店 - NOWHERE BREAD(R∞∞T Lab by ルートカルチャー) 
     神奈川県鎌倉市浄明寺5丁目7−12(【泉水橋】バス停より徒歩3分)
     ※展覧会場とは異なります
     ※予定 直前に改めて参加申し込みの方に詳細をご案内いたします。
参加費 :¥2,000 (別途、移動時の公共バス代がかかります)
予約  :Peatixからの事前申し込みにご協力ください(定員20名程度)
     お申し込み 
案内人 :
、椎橋良太、墨屋宏明
※雨天の際には21日(日)へ振替いたします。
マイケル・フランク Michael Frank (生意気)(Photo byYoichi Naiki)
生意気 NAMAIKI《Kinky Muff Land III -edible urban party jungle studio(free food forest foundation)》、2008

マイケル・フランク Michael Frank:プロフィール
1980年代末、黒川紀章事務所勤務から始まり、表参道のラス・チカスのディレクターとなる。その後、デヴィッド ドゥヴァル-スミスとクリエイティブユニット生意気を結成。麻布十番で5つの異業種事務所と倉庫を借りデラックスを作る。その共有スペースでgangoo展、PV撮影、珍しいキノコ舞踊団ステージデザイン、スープパーティー等、仕事も含め、他メンバー達と楽しい時間もシェア。2008年、生意気として、奈良美智、Chim↑Pom、淺井裕介らとインドネシアの国際交流アートイベントK I T A!!に招聘される。韓国のナムジュンパイクミュージアムオープニング展やイスラエル国立博物館の企画展にも招待を受ける。デラックスの後、スーパーデラックスを西麻布に作る。2017年からパートナーのヤダと宇宙大使館を名乗る。生意気時代の植物使用の作品制作や鎌倉山の開墾経験をもとにランドスケープアーキテクチャーに挑戦中。

墨屋宏明 Hiroaki Sumiya:プロフィール
椎橋良太「時のトラバース」企画、鎌倉在住。1995年−2016年 野村総合研究所で流通・情報通信の分野でITソリューションの企画・開発、コンサルティング、コーポレートコミュニケーションに従事。 経済学者、科学者、社会学者、アーティストら多様な先駆者が登壇する「NRI未来創発フォーラム」を企画。 同社在籍中に、横浜トリエンナーレ2001・2005にボランティアとして参加、 アートが生まれる場づくりに興味を持ち、 2005年横浜旧財務局ビル”ZAIM”を拠点とするハッチアートを主宰し国内外の次世代アーティストらの展覧会を企画・プロデユース。 鎌倉のルートカルチャー、BOAT PEOPLE Associationなど都市・地域とアートをつなぐ活動を実践。アートフェア東京 マーケティング&コミュニケーションズ 統括ディレクター(2016−2020)として文化庁とともに”日本のアート産業に関する市場調査”レポートを発信。2021年よりDART CEO、2025年よりDART エバンジェリスト Art Advisor。「ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし」展(2024)キュレーション。大阪関西国際芸術祭2025コミュニケーションズディレクター。アートの価値を創出し「アートと共に生きる」社会を目指している。石川県の真田紐「織元すみや」に生まれる。

●東アジア文化都市とは

」は、日中韓文化大臣会合での合意に基づき、日中韓3か国において、文化芸術による発展を目指す都市を選定し、その都市において、現代の芸術文化や伝統文化、また多彩な生活文化に関連する様々な文化芸術イベント等を実施するものです。これにより、東アジア域内の相互理解・連帯感の形成を促進するとともに、東アジアの多様な文化の国際発信力の強化を図ることを目指します。
また、当該都市がその文化的特徴をいかして、文化芸術・クリエイティブ産業・観光の振興を推進することにより、事業実施を契機として継続的に発展することも目的としています。(主催:東アジア文化都市2025鎌倉市実行委員会、文化庁、鎌倉市)
●ギャラリー Quadrivium Ostiumについて
ギャラリー Quadrivium Ostium 山と空しか見えない立地に立つ。

Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)は鎌倉にある現代アートと古美術を扱うギャラリーです。店名はラテン語で「十字路の入口」を意味し、「様々な時代や場所で作られた芸術品が、縁があり此処に集まり次に引き継がれていく」という思いが込められています。
「美術館のような空間に住まう」をテーマに設計された自邸の1階スペースを使い、ヨーロッパのアンティーク家具や民藝家具を設えた空間に、現代アート作品や古美術を常時30点ほど展示販売しています。建築デザインは国内外のAWARDで受賞しています(※)。近年、力を入れているのは若手作家の紹介で、2025年は絵画、工芸、彫刻の6人のアーティストの企画展覧会を開催いたします。また「藝術を身近に親しむ」をテーマに、様々な文化イベントを開催予定です。
※2023年 A’DESIGN AWARD 受賞(イタリア)/2022年 神奈川県建築コンクール優秀賞 受賞

※椎橋良太「時のトラバース」作品に関するお問い合わせ先
080-5430-6641(担当:黒田)

●DART株式会社
DART は、アーティスト・作品とアートコレクター・企業・地域やギャラリー・個人など様々なプレーヤーを結びつけ、 アートによる新たな可能性をプロジェクトやイベントとして実現しています。京都・萬福寺アーティスト・イン・レジデンスの企画運営(2021−2023)、鹿行・カシマ地域にてスタジアムを起点に、地域と文化の魅力を発信するアートプロジェクト「カシマ・アート・プロジェクト(KAAP)」、地域でのアートツーリズムの企画開発の他、アートレクチャーの実施、ギャラリー&アートフェア訪問ツアーの企画、アートを通じたブランディングなど多様な領域にアートアドヴァイザーとしてアートやそのネットワークを活かしたコンサルティングを提供しています。
<ウェブサイト>
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