地方創生の鍵は“挑戦が続く仕組み”──Relicが取り組む、新規事業支援と地域イノベーションの現在地

2025.06.10 12:00
事業共創カンパニーのRelicには、地方における新たな事業創出と地域経済の活性化を推進するための専門組織「グローカルイノベーション事業部」があります。本記事では、グローカルイノベーション事業部の取り組みを率いる執行役員 兼 事業部長・大西圭佑の視点から、地方創生に必要な新規事業開発の意義と、具体的な活動事例をご紹介します。


<目次>
1.大西はどんな人?
2.日本の地方に感じる「事業を生む」課題とは
3.なぜ新規事業開発が必要なのか
4.Relicはどのように解決していくのか
5.地方拠点の活動事例
6.今後の展望
地方から新たな事業を生み出す──Relic大西の挑戦
Relicの執行役員であり、グローカルイノベーション事業部を率いる大西圭佑は、地方創生と新規事業開発の最前線を走る若きリーダーです。
地方出身の大西は、幼い頃から地域の自然や文化、そしてそこに根づく人々の営みに魅了されながら育ちました。一方で、その魅力が十分に発信されず、地域資源が埋もれてしまっている現実に、早くから疑問と課題意識を抱いていたといいます。


大西:
「地方には誇れる資産が数多くあるのに、それが十分に届いていない、活かされていない。そんな現状にずっともったいなさを感じていました。利便性ばかりを追いかける開発によって、地域固有の景観や文化が失われてしまうことも多い。
だからこそ、自分は地方で挑戦できる仕組みをつくりたい。挑戦する人を育て、その挑戦が循環する、人や事業が根づいていく流れを、地域の中に築きたいと本気で思っています」
大西は神戸大学大学院にてマーケティングや消費者行動論、イノベーション領域の研究を行う一方で、メーカーを中心とした国内外企業へのコンサルティング支援も手掛け、学問と実務の融合を実現してきました。2020年、Relicの新卒一期生として入社後は、新規事業の戦略立案から具体事業の伴走支援まで一貫して推進。2022年には島根拠点の立ち上げを担い、自治体と連携しながら起業エコシステムの構築や次世代人材育成に取り組みました。
2024年、グローカルイノベーション事業部を立ち上げ、地域発スタートアップの育成や事業再生、地方資金調達スキームの確立など、多岐にわたる地域課題解決に挑んでいます。
グローカルイノベーション事業部が目指す未来 ── 地域の「真の自走力」を育む
日本の地方に感じる課題
大西は、地方創生において最も深刻な課題は"事業を生み出す風土"の欠如にあると話します。多くの地域でプログラミング教育や企業誘致といった施策は進んでいるものの、肝心の「地域から自ら新たな事業を創出する力」が十分に育まれていない現状に危機感を抱いています。
受託型ビジネスに依存する傾向が強い地域に目を向けてみると、自ら事業を創り上げる発想やスキルが十分に浸透していないことが、長期的な地域衰退を招きかねないと指摘します。また人口流出を機に、地域に残るヒト・モノ・カネのいずれもが希薄になり、支援が外部からの一方通行に終わってしまう構造も見受けられます。
地域支援の現場では、プレイヤー間の連携不足による機会損失も課題です。学生向け・社会人向けなどのプログラムが支援企業ごとに分断されてしまうと、地域に不幸な断絶が生まれ、若者の定着や成果の持続可能性が薄れてしまうケースも多々あります。
大西は「地方では支援会社同士は競合する存在ではなく、むしろ共創関係であるべきです。魅力的な選択肢を地域として提示できるよう、産学官金が面的に連携しながら、地域全体で支援力を高めていく必要があります」と強調します。
新たな挑戦を生み出すためには、単なる外部からの支援ではなく、地域内に主体的なプレイヤーを育て、支援の仕組み自体を地域に根づかせていくことが求められます。
なぜ新規事業開発が必要なのか
地方では人口減少により買い手そのものが減少し、既存事業のままでは売上ダウンが避けられない状況にあります。既存事業のテコ入れももちろん重要ですが、それだけでは限界があるため、新たな収益源となる新規事業の開発が不可欠です。


大西:
「地域経済の衰退が進むと、単に企業の収益が落ち込むだけでなく、雇用が減り、地域社会のつながりや暮らしの基盤までが失われてしまいます。それは結果として、教育や福祉、交通などの公共インフラの維持すら困難になる、非常に深刻な社会課題につながっていきます。
だからこそ、地域に根ざした新たな事業を生み出し続ける仕組みが不可欠なのです。これは経済政策というより、社会構造そのものを支えるための挑戦だと考えています。」
新規事業とは、必ずしも「全く新しいもの」を生み出すだけではありません。
例えば、従来と異なるターゲット層(例:女性向けから男性向けへ)や販路変更によって、コア技術を活かしながら変革を起こすことも可能です。
さらに、地方ではデジタル化の遅れが目立つため、デジタル技術の導入だけでも大きな成長余地があります。伝統産業にAIを活用し、作業負荷を軽減しながら市場トレンドに適応するなど、既存資産の発展・拡大も大きな可能性を秘めています。
どのように解決していくのか
こうした課題に対し、グローカルイノベーション事業部が目指すのは単なる"点の支援"ではなく、"面としてのエコシステム構築"です。つまり、一部の企業や人材に依存するのではなく、地域全体に新規事業創出の文化と仕組みを根付かせることを重視しています。
そのためには、支援者や行政機関だけでなく、地域内の民間企業、若手人材、教育機関など多様な主体が連携し、それぞれの強みを持ち寄って新たな挑戦の基盤をつくることが不可欠です。事業創出プログラムの実施にとどまらず、プログラムで生まれたアイデアの事業化・人材定着・販路拡大といった「自走」への道筋を共に設計し、実装していく‥Relicが描く地方創生の支援とは、そうした持続可能な構造変革そのものを指しています。
大西:
「一つひとつの地域に、違う可能性と課題がある。だからこそ、私たちの支援は地域ごとに柔軟にデザインされるべきだと考えています。共通しているのは、“挑戦が挑戦を呼ぶ循環”をつくること。その核にあるのは人であり、仕組みであり、何より“その土地で続けていく意思”だと思っています。」
現場から見るグローカルイノベーション ── 島根・富山での実践
島根から挑む、起業エコシステムの革新
2022年8月にRelicは島根県松江市に拠点を構え、翌年には島根県松江市と起業・創業及び新規事業の創出を支援する事業連携協定を締結し活動しています。
松江市が中心となって設立した『松江起業エコシステムコンソーシアム』に、Relicも参画し、起業・スタートアップ支援を推進しています。このコンソーシアムでは、地域内外の多様なプレイヤーを巻き込みながら、起業促進施策の企画・推進を行っています。
実際の支援事例としては、株式会社canvasが実証実験支援制度「
」に採択され、松江市を拠点に健康経営支援システム「Ciaeru」の事業化を支援しました。地域の中小企業の健康経営推進を支援するサービスとして、企業の健康診断結果などを一元管理し、従業員の健康状態を可視化・改善へと導くシステムとして展開しています。自治体や地域企業との連携を前提とした実装まで踏み込んだ支援事例であり、MIX制度の成果として注目されています。
実証実験支援制度「MIX」の運営では、起業家やスタートアップが松江市を舞台にビジネスモデル検証を行える環境を整備。また、起業に向けたビジネスコンテストや、アイデア発掘から事業化支援までを一気通貫で支えるアクセラレーションプログラム「MIX Accelerator」を展開し、地域内起業家の育成に取り組んでいます。
これにより、松江市では起業や新規事業開発に関心を持つ人材が着実に増加しており、地域経済の持続的な活性化に向けた動きが加速しています。さらに、ハッカソンやインターンプログラムを通じて次世代人材の育成・定着も推進しており、松江発のイノベーション創出に向けたエコシステム基盤が着実に整備されつつあります。
富山から始める、地域産業再生と新たな価値創出
富山県では、地方発スタートアップの創出と育成に向けた地域経済活性化プロジェクトが本格展開されています。Relicは、富山県が実施する実証事業支援施策「
」の令和7年度運営事業者として、北陸銀行との共同企業体により2年連続で採択され、事業化支援・資金調達支援・コミュニティ形成などを推進しています。
Relicはこれらの実証プロジェクトを単発で終わらせず、事業化・収益化へとつなげるための伴走支援を行い、スタートアップ創出と地域課題解決の両立を目指しています。具体的には、PoC(実証実験)支援、オープンイノベーションプログラムの企画・運営を通じて、地域に根ざした新規事業創出に取り組んでいます。


2024年度の活動では、230名がプロジェクトへ参加し、全国から集まった実証実験プロジェクトの提案は89件。そのうち、「富山県デジタルソリューション推進委員会」の審査を経て、4件の事業案が採択され約8ヶ月間におよぶ実証実験に取り組みました。
富山は、製造業や医薬品、伝統工芸といった強い産業基盤を有する一方、スタートアップ文化の形成は発展途上にあります。Relicは、地域資源を活かしながら新たな挑戦を促し、富山から持続可能な経済循環モデルを生み出すことを今後も目指していきます。
全国16都道府県へ、地方拠点展開の加速
2025年2月、Relicは四国初となる愛媛拠点「EHIME Incubation Field」を開設しました。これにより、全国16都道府県で拠点展開を実現しています。
愛媛では、愛媛県および松山市と連携し、スタートアップ創出や地域企業のイノベーション支援、DX推進を一体的に進める拠点として位置付けられています。これにより、地域発スタートアップの育成だけでなく、地元企業の次世代成長支援にも注力し、地方創生を一層加速させる狙いです。
Relicの拠点展開は、単なる「数を増やす」ことが目的ではありません。それぞれの地域特性に根ざし、地域ごとの課題に向き合いながら、持続可能な自走型エコシステムの構築を目指します。この活動模様は、新聞やテレビといった多くのメディアに取り上げられました。


<愛媛テレビ朝日【ニュース特集】2025年スタート!デジタル時代を切り開け!>×
<あいテレビ(TBS系列)「新規事業コンサル大手「Relic」が四国初進出」>
地方から日本全体へ ── グローカルイノベーション事業部の展望
「地方は日本の未来を映す鏡」と語る大西。
少子高齢化、人口減少といった課題は、都市部においても時間の問題で顕在化するものです。地方での課題解決に本気で向き合うことこそが、日本全体の持続可能な成長に直結すると考えています。
大西:
「地域でイノベーションが生まれる構造を作らなければ、日本全体の競争力は確実に落ちていくと思っています。だからこそ、私たちは単なる支援ではなく、地域に根づいた人材や事業が“生まれ続ける仕組み”を構築したい。それが回り始めれば、自治体も、企業も、若者も、挑戦に前向きな地域社会ができるはずです。」
今後は、島根や富山での実績をモデルケースとし、他地域への横展開を加速する方針です。さらに、単なる地域支援に留まらず、グローバルに挑戦できる地域発スタートアップの育成にも力を入れ、日本発の新しい産業創出に貢献していきたいと展望を語ります。
地方創生を「点」ではなく「面」で捉え、地域自走型の未来を切り拓くRelicのグローカルイノベーション事業部。これからも拠点展開を広げ、支援領域を拡大しながら、地域に根ざした挑戦者たちとともに、持続可能な未来を切り拓いていきます。
<採用募集のお知らせ>
Relicのグローカルイノベーション事業部では、地方発イノベーション創出および、地方イノベーター人材の発掘・育成活動をリードする事業プロデューサーを採用募集しています。
事業を創るだけでなく、事業を創れる人を創り、地域から連続的・同時多発的に事業を生み出す取り組みへ共感いただける方は、ぜひ一度お話ししましょう。
詳しくは採用サイトおよび募集要項をご覧ください。


Relic採用サイト:
コーポレートサイト:

あわせて読みたい

「(仮称)三井リンクラボ東陽町1」着工 2026年夏竣工予定
PR TIMES
【セブン-イレブン × AUBA オープンイノベーション共創事例】インバウンド消費行動の実態解明と来店促進を目指す実証実験を4月28日より開始。
PR TIMES
山椒を主役として味わう新しい食べ方を提案する調味料発売
PR TIMES Topics
医師であるドクターズ株式会社CEO柳川貴雄が生み出したデジタルヘルスプラットフォーム事業の誕生秘話。~ヘルスケア事業を加速させると評判のサービスの概要と展望~
PR TIMES STORY
ネッスー、一般社団法人AgVenture Labが主催するプログラム 「JAアクセラレーター第7期」に採択が決定
PR TIMES
3才から使えるナチュラル処方のシャワージェル登場
PR TIMES Topics
技術の6割が消える現実。Relicと挑む「ディープテック事業化」の実態
PR TIMES STORY
大学×企業×地域で起業を促進する「Spark Base」が2025年5月26日グランドオープン
PR TIMES
日本初上陸!「辛ラーメン」の専門店原宿「OKUDO DINING&CAFÉ」に オープン
PR TIMES Topics
AGRIST、大企業と新規事業で社会課題を解決する共創プラットフォーム「AGRIST LABs」創設。農業を起点に、地方創生を加速【大手企業との共創で新たな価値を創出】
PR TIMES
観光振興による地域活性化を推進 HIS、さとゆめ 小菅村と「新しい目的地づくり」に関する協定を締結
PR TIMES
希少なきのこと玉緑茶を独自ブレンドした龍舞茶発売
PR TIMES Topics
ATOMica、大阪公立大学内新施設の産学官民のリビングラボ「イノベーションアカデミースマートエネルギー棟」の運営開始
PR TIMES
起業家創出拠点「AGORA Hon-atsugi」が県央地域で起業したい方に向けた起業家支援プログラムの実施を決定!5月1日(木)よりチャレンジャー(令和7年度前期)募集開始!
PR TIMES
「360°クリーニング」を実現するShark最上位のコードレス掃除機
PR TIMES Topics
ATOMicaが射水市ビジネス支援センター(愛称:Switch IMIZU)の運営を2024年3月31日(月)より開始。
PR TIMES
アイデア発想と事業化-「月刊事業構想」2025年5月号発売
PR TIMES
浮世絵の数々が躍動する没入型展覧会「動き出す浮世絵展 FUKUOKA」開催決定
PR TIMES Topics
街での実証で事業を磨く!三井不動産×柏市共催のアクセラレータープログラム 「KOIL STARTUP PROGRAM 2025」 参加企業募集スタート
PR TIMES
コマース・リテール領域のCVC設立から運営を支援するCVC伴走支援プログラムを提供開始
PR TIMES
プロ級のケアを自宅で叶えるEKATOの1ヶ月限定のコンセプトストア「EKATO BEAUTY GARDEN」をオープン
PR TIMES Topics