戦争と平和をTシャツで語る ― 宇都宮市の歴史と平和をテーマとしたTシャツシリーズ発売について

2025.04.30 17:26
トチギマーケット株式会社
戦後80年の節目に、ホームタウンである宇都宮市の歴史的経緯を踏まえ、今こそ平和であることの価値を見つめ直すきっかけとなればと、新作Tシャツ『平和』と『軍都』を企画、5月2日(金)から販売開始します。
概要
トチギマーケット株式会社(本社:栃木県宇都宮市 代表取締役:渡邉博昭)は、戦後80年の節目を迎えるにあたり、Tシャツという日常のアイテムを通じて、宇都宮の街と戦争の歴史、そして平和への願いを見つめ直す企画として、宇都宮市の歴史と平和をテーマとするオリジナルTシャツシリーズを、トチギマーケット ウツノミヤテラス店と公式オンラインショップにて5月2日(金)から発売開始いたします。

宇都宮市は、明治末期に陸軍第14師団を誘致したことにより、『軍都』として発展を遂げ、経済、人口両面で著しい成長を経験しました。
しかしながら、『軍都』であったことにより、第二次世界大戦末期には空襲の標的となり、1945年7月の宇都宮大空襲により市街地の大半が焼失する甚大な被害を受けました。
ところが終戦後は、その第14師団の大規模な引揚者およびその家族が市内に帰還し、その人口増加が復興の推進力となり、宇都宮市は他市町村に比べ、速やかかつ大規模な戦後復興を実現するに至りました。

本企画では、こうした宇都宮市の歴史的背景をシンボリックなデザインでTシャツによって表現することで、戦争と平和を自分事とし、日常的に意識する契機となることを願って、『平和』デザイン2種、『軍都』デザイン3種の新作Tシャツを展開いたします。
『平和』/「大銀杏と少年」デザイン
『軍都』/「明治期の宇都宮市軍用地図」デザイン


-参考資料のご案内-
本シリーズ企画の背景となる宇都宮市と戦争の歴史的関係については、
本記事最後の「軍都と平和 ― 宇都宮が歩んだ80年の記憶 ―」にてご紹介しております。
取材や記事作成の参考に、ぜひご活用ください。
商品概要
【『平和』シリーズ】(各3,300円 税込)
『平和』シリーズは、平和は人の手でしか成し遂げられないものであること。そして、それはすごくシンプルなものであるという思いで、白いボディに黒1色の手描きイラストを大判のバックプリントで制作しました。
価格は『軍都』シリーズより割安に設定し、より多くの方が手に取っていただければと願っております。


1.大銀杏と少年
1945年7月12日の宇都宮大空襲において市内の多くが焼失する中で奇跡的に焼け残り、その翌年には新芽を出した「旭町の大銀杏」は戦災を生き延びた象徴として今も宇都宮市民に親しまれています。その大銀杏をモチーフに、焼け焦げた大銀杏ですが、それでも枝を伸ばそうとするその姿は、宇都宮の生命力を表します。そして、その下にいる子供は、大銀杏を見上げ、天を見上げ、未来を見つめています。



2.大谷平和観音
大谷の平和観音は、一個人の鎮魂の念から生み出されました。戦時中、大谷の地下工場に動員された群馬県出身の上野浪造氏が、戦時中に亡くした2人の弟を含め、多くの戦争犠牲者に対する供養のため、戦後も大谷に居住して仏像彫刻を決意したといわれています。それは、戦後間もない1948年(昭和23年)9月から、当時の大谷観光協会と地元の人々の熱心な後援のもとに、その平和観音は身丈26.93メートル(88尺8寸8分)の御姿を、大谷石の採石場であった壁面を利用し、6年の歳月をかけて刻まれました。
【『軍都』シリーズ】(各5,000円 税込)
『軍都』シリーズは、弊社が所有する資料から、『軍都』を象徴する陸軍第14師団の関する資料をカラーで大判のバックプリントとすることで、当時の雰囲気が少しでも伝わればと思います。

1.明治期の宇都宮市軍用地図
明治時代に大日本帝国陸地測量部が編纂した宇都宮の市街地の地形図。明治40年に測量した成果を明治42年に製版したもので、宇都宮駅を中心に、二荒山神社、陸軍第14師団の練兵場などの諸施設が克明に描き込まれている。内務省地理局と共にフランス式の技術を導入して明治時代の地図の編纂を担った陸地測量部による地図編纂の歴史をたどる貴重史料。このように、陸軍第14師団が来ることは、最新の技術や文化が宇都宮にもたらされる効果もあった。


2.特別大演習の宴会絵葉書
第14師団が着営して間もない1892年(明治25年)11月に、栃木県那須野ケ原一帯で行われた陸軍特別大演習の1コマと思われます。鮫島師団長と高官たちが野営の天幕中で宴会を行っている1幕。


3.楊斎延一『栃木県陸軍第演習之図』
第14師団が着営して間もない1892年(明治25年)11月に、栃木県那須野ケ原一帯で行われた陸軍特別大演習を浮世絵として描いた、浮世絵師・楊斎延一の代表的な作品。演習は明治天皇が統監され、外国の高級武官が陪観にやってくるなど大規模なもので、大本営には県庁があてられた。地元では栄誉という無形のものだけでなく、準備期間において衛生状況の改善が図られ、提供した飲食代などで大きな経済効果があったりと、『軍都』となることで地域には有形無形の恩恵があった。
発売日・販売方法
■ お取扱開始日:2025年5月2日(金)
■ 販売場所:
  ・トチギマーケット ウツノミヤテラス店
   (〒321-0969 栃木県宇都宮市宮みらい1−1 ウツノミヤテラス2F)
  ・
   オンラインショップURL: 
【トチギマーケットとは?】
トチギマーケット株式会社は、『俺たちの街って、すごくいい街だよね』ってみんなに思って欲しくて、栃木の魅力をユニークなデザインアイテムに変えたり、アパレルショップを運営したりする企画・デザイン集団です。「面白い」「カッチョいい」「それ欲しい!」をカタチにしながら、街と人をつなぐ、あたらしい「わ」を生み出し、広げています。
現在、直営の雑貨、アパレル販売を行う「トチギマーケット」を1店舗、PEARLY GATESのFC1店舗を栃木県内で展開中。
足利市にTシャツのプリント工場を自社所有しており、関連会社のベトナム拠点の活用と合わせて小ロット多品種での製品製造と、直営店の店頭マーケティングと自社ECを活用した各種実践的なテストマーケティングを行うことで、ローカルの小規模企業マーケティングスキルを開発・蓄積し、栃木県内を中心とする中堅・中小企業の経営にインパクトのあるサービス提供を目指します。

【会社概要】
社名:トチギマーケット株式会社
本社所在地:栃木県宇都宮市中央本町4-23
代表取締役:渡邉博昭
事業内容: オリジナル雑貨・Tシャツデザインの企画、開発、販売
設立: 2021年12月(創業2008年1月)
HP:
<参考> 軍都と平和 ― 宇都宮が歩んだ80年の記憶 ―
1. 古代から続く、宇都宮の歴史の歩み
宇都宮の歴史は、実に古代まで遡ります。
伝承によれば、古代の蝦夷平定の際、豊城入彦命がこの地に立ち寄ったとされ、それが現在の二荒山神社の創建へと繋がったと語り継がれています。
平安時代後期には、武士の祖・藤原宗円が宇都宮の地に根を下ろし、神社の社号「宇都宮」を名乗って宇都宮氏が誕生しました。
鎌倉時代には、幕府の要職に就くなど、宇都宮氏は政治の中枢でも力を発揮し、地域の発展を支えました。
こうして宇都宮は、中世には信仰と武士のまちとして、門前町として栄えていきます。
2. 小江戸と呼ばれた繁栄の時代
江戸時代に入ると、宇都宮は宇都宮藩の城下町として発展し、日光街道と奥州街道が交差する交通の要衝でもありました。
日光東照宮への参拝客や参勤交代によって人の往来が増え、町は活気にあふれ、「小江戸」と称されるほどの繁栄を見せます。
宿場町としても栄えた宇都宮は、文化や経済の中心として、城と門前町の性格を併せ持つ独自の都市へと進化していきました。
3. 明治の転換期 ― 軍都への第一歩
明治時代になると、近代国家としての整備が全国的に進む中、宇都宮にも大きな変化が訪れます。
1884年(明治17年)には栃木県庁が設置され、政治・行政の中心としての地位を確立。
翌年の1885年には東北本線が開通し、宇都宮は鉄道交通の要地としての役割を担うようになります。
しかしその一方で、宇都宮の経済は伸び悩んでいました。
東北本線がさらに北へ延伸されたことで、人や物資が宇都宮を通過するだけの存在になってしまったのです。
4. 軍隊誘致という都市戦略
経済発展の起爆剤を求め、宇都宮の有志たちは新たな道を模索します。
その鍵が、「軍」でした。
日露戦争が勃発した1904年(明治37年)、日本全国で軍事力の強化が急務となる中、宇都宮では陸軍師団の誘致運動が活発化します。
この運動には、以下のような期待がありました:
(1)軍人・軍属・その家族の消費活動による地元経済の活性化
(2) 軍施設建設による雇用創出と土木産業の発展
(3)道路・鉄道・通信インフラの整備促進
民間と行政が一体となった誘致活動は実を結び、1907年(明治40年)、ついに陸軍第十四師団の宇都宮駐屯が決定されます。
5. 「軍都」宇都宮の誕生と発展
第十四師団の駐屯により、宇都宮は一変します。
(1)人口は38,000人から44,000人に増加(わずか1年で15%以上の増加)
(2)市街地が拡大し、水道・道路・病院・学校などのインフラが整備
(3)軍需工場の設立や兵舎建設が進み、地域の工業化と経済基盤の強化
1911年には、宇都宮市の年間予算15万円に対し、第十四師団の市内消費額はその6倍を超える96万円にものぼります。
市内の飲食店、商店、旅館、被服業、娯楽業など、多くの産業が軍を中心に発展しました。
宇都宮は、軍の存在を前提とした都市構造へと変貌していったのです。
6. 戦争の暗い影 ― 空襲と喪失
「軍都」として繁栄した宇都宮。しかしそれは同時に、戦争の標的となることを意味していました。
1945年(昭和20年)7月12日深夜、宇都宮市はアメリカ軍による大規模な空襲を受けます。
攻撃の理由は複合的でした:
(1)陸軍第十四師団や軍需工場(中島飛行機宇都宮製作所)の存在
(2)宇都宮が交通の要衝であり、軍需物資の輸送拠点となっていたこと
この空襲によって、一般市民が620名以上死亡、1,100名以上が負傷、約9,500戸が焼失し、47,000人以上が罹災しました。
そして、宇都宮市の市街地のほとんどが灰となり、長年培われた文化財や町並み、学校、公共施設など、数えきれないほどの貴重なものが失われました。
7. 戦後の復興と餃子のまちへ
戦後、焦土と化した宇都宮に復員兵たちが戻ってきました。
彼らは中国・満州に駐留していた際に出会った餃子文化をこの地に持ち帰ります。
餃子は、当時の困窮する生活の中で、安価で栄養価が高い、ニンニクやニラでスタミナがつく、 少ない材料で満腹感が得られる、といった点から重宝され、一般家庭にも広まりました。
次第にそれは家庭の味から、商売へと展開され、宇都宮餃子として全国的に知られるようになっていきます。
8. 2025年、終戦から80年 ―『平和』と『軍都』シリーズ
2025年、第二次世界大戦の終戦から80年という節目の年。
私たちトチギマーケットは、宇都宮の歴史を振り返りながら、『平和』と『軍都』というテーマでTシャツやグッズを制作し、販売することとしました。
このシリーズには、以下の想いが込められています:
・宇都宮がなぜ軍都となり、なぜ空襲に遭ったのかを知ってほしい
・そして、戦後の復興を経て、今ある平和がどれほど尊いかを再認識してほしい
・歴史を忘れず、未来へと平和をつなぐきっかけとしてほしい
おわりに ― 記憶と向き合い、平和を未来へ
戦争を知らない世代が増えていく今、都市としての記憶や教訓を次代へと語り継いでいくことが大切です。
『軍都』であったことを正面から受け止め、そこから学び、そして『平和』への想いを育む。
宇都宮の歴史は、その問いを私たちに投げかけ続けています。
お客さまに、簡単でいいので、そういう宇都宮の歴史を知っていただくきっかけになるようなプロジェクトになればと思っています。

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