約8,000台の自動販売機を支える現場の知見とデータ分析 アキュアはさらなる“選ぶ楽しさ”を提供できるのか?

2025.04.28 11:00
駅ナカの自動販売機は、今や単なる「飲み物を買う機械」ではなくなりつつあります。多様な人が行き交う環境の中で、消費者のニーズに合わせた売場を作り続けるアキュアの取り組みとは何なのか。アキュアを展開する株式会社JR東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニーの兼本さんに、自販機ビジネスの新たな可能性について伺いました。
豆乳36種の自販機が示した、新しい売場としての可能性
「こんなにたくさんの種類が買えるなんて!」そんな驚きの声とともに、多くのお客さまから反響があったのが、JR東日本の新宿駅改札内に設置された「キッコーマン豆乳自販機」です。
  ※設置当初のラッピング・商品イメージとなるため、現在のものとは異なります


スーパーやコンビニで、豆乳を36種類販売している店舗はなかなかありません。しかしこの豆乳自販機では「紅茶」「バナナ」「麦芽コーヒー」といった定番の味から、「アフォガート」「プリン」「チョコバナナ」 といったユニークなものまで、36種類ものフレーバーが一堂に並びました。  売上データを分析すると、“定番”のフレーバーよりも、意外なフレーバーが売れていることが明らかになりました。


「選択肢を広げることで、“試してみよう”という気持ちが生まれるんです。お客さまは単に『買う』だけでなく、『選ぶ楽しさ』を求めているのだと思います。」と兼本さんは話します。こうした「選ぶ楽しさ」を提供する売場づくりを推進しているのが、JR東日本のエキナカを中心に約8,000台展開している「アキュアの自販機」。その進化を支えているのが、「自販機=一つの店舗」という考え方です。
「自販機=1つの店舗」——1台1台をマネジメントする発想
アキュアが「自販機=一つの店舗」として捉えている一つの要素として、エキナカという立地の特性があります。駅ナカの自動販売機は、通常のものとは異なり 1日を通して多くの人が利用します。そのため、年間約2億件に及ぶ購買データが収集・分析されています。これにより、時間帯別の売れ行きや購入層の特徴をもとに、1台ごとに最適な売場設計を行うことが可能になります。


例えば、コンコースとホームでは売れ筋が大きく異なります。こうした違いを捉え、各自動販売機の役割に応じた商品ラインナップを組むことで、売場としての価値を最大化しています。しかし、こうしたマネジメントは、データ分析だけでは実現できません。


「秋から冬、冬から春にかけて、販売する商品の温度帯を変更するホットとコールドの切り替え。そのタイミングの『基準』はデータ上で策定できます。でも、近年の気温変動は激しく、急な温度変化に対応するには、自動販売機に商品を補充してくれるオペレーターの長年の知見や現場感覚が不可欠なんです」と兼本さんは強調します。
こうしたデータと現場の知見の両輪で運用することこそが、アキュアの強みです。
例えば、ある千葉県のエリアではオペレーターの提案により、千葉県発祥のコーヒーを導入しました。データだけでは予測しづらい、地域の文化や嗜好に根ざしたニーズを反映させることで、「ここにしかない売場」を作ることができるのです。このような柔軟なラインナップを可能にしているのが、アキュア独自の「ブランドミックス」戦略です。
「ブランドミックス」——柔軟に“顔”を変えられる自販機
飲料メーカーが展開している一般的な自動販売機は、当然ながらそのメーカーの商品しか取り扱わないことがほとんどです。ですが、アキュアの自販機は、様々なメーカーの定番商品や新商品、季節限定商品などを組み合わせ、エリアや場所に合ったラインナップを提供する「ブランドミックス」を採用しています。


この戦略を支えているのが、エキナカならではの膨大なデータの活用です。


通勤・通学のピーク時、昼休み、帰宅時間帯、深夜帯など、時間帯ごとに利用する客層が変わるため、どの時間にどの商品が求められているのか、詳細な売上データをもとに傾向を把握することができます。これらのデータを活用し、ニーズに応じた商品開発を行っているのが、アキュアのオリジナル商品「
」です。
「青森りんごシリーズ」などが人気を博していますが、中でも特にヒットしたのが「From AQUA 天然水ゼリー」。
夕方以降に小腹を満たせるゼリー飲料の需要が高いことはデータから分かっていました。しかし、既存のゼリー飲料は甘みの強いものが多く、“リピートに繋がりにくい”という課題もありました。この課題を解決するため、甘さを抑え、すっきりと飲める「天然水ゼリー」を開発。暑い時期でも飲みやすく、リフレッシュしたい時にも最適な商品として、多くのリピーターを獲得しました。
エキナカだからこそ得られる膨大なデータを活用し、痒い所に手が届く商品を開発できる。これこそが、アキュアのブランドミックスとデータ活用の強みなのです。
2024年の記録的な“長い夏”に挑んだアキュアの戦略
「選ぶ楽しさがある売場」として進化を遂げるアキュアの自販機。しかし2024年、ある大きな課題に直面しました。 それは、記録的かつ長期間におよぶ猛暑です。
2023年の時点で、すでに長引く夏の兆候は見えていました。水やお茶、スポーツドリンクなどの喉の渇きを潤す商品が次々と売り切れ、「欲しい時に欲しい商品が手に入らない」という状況が発生していたのです。
そこで2024年、アキュアはこれまでの戦略を大きく転換しました。
「売り切れが目立つ自販機においては、これまでこだわってきた『選ぶ楽しさ』を提供する多様な商品展開を抑え、売れ筋の商品を大幅に増やす方針を採用しました。この方針については、社内やオペレーターからも「お客さまが離れるのでは?」という懸念の声が上がりましたが、気温の変化が激しく需要の予測が難しい近年においては、何事も一度やってみなければわからないと考え、思い切った決断を下しました。」と兼本さんは振り返ります。


結果として、売り切れの発生率は大幅に減少しましたが、販売数を伸ばすことにはつながりませんでした。その要因のひとつが、オペレーターも懸念していた「選択肢が減ったことによるお客さま離れ」です。
2024年の結果を「バラエティが減ったことで、『欲しい商品がない』『楽しみが減った』と感じるお客さまが一定数いたため、アキュアの自販機に足を運ばなくなってしまったのでは。」と兼本さんは分析しています。
2025年、さらに暑い夏が来る——アキュアの次の挑戦
2024年の記録的な猛暑を経て、アキュアはすでに2025年の夏に向けた準備を進めています。


「2025年は『売れ筋商品の安定供給』と『バラエティ感の確保』の両立をテーマに、より柔軟な品揃えの調整を行う予定です。また、オペレーターとのコミュニケーションをより密にし、現場の意見をデータと照らし合わせながら、戦略を決めていきます。」と今年も長く、暑いことが予想される夏の戦略を語ってくれました。


さらに、今後アキュアとして取り組みたいことを伺うと、「飲料はもちろん、飲料以外の商品の取り扱いや他社とのコラボレーションを実施し、幅広いお客さまニーズを満たすエキナカならではの売り場づくりもも進めていきたいです!」と笑顔で今後の意気込みを語ってくださいました。


2024年の試行錯誤を経て、アキュアの自販機はさらなる進化を目指します。
「売り切れを防ぐ安定供給」と 「選ぶ楽しさの両立する売場づくり——その挑戦は、2025年へと続いていきます。
※掲載している情報は取材時点(2025年3月)のものとなります

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