養殖魚のエサとなる昆虫のラボプラントを愛媛大学に新設

2025.04.22 12:00
大日本印刷(DNP)
昆虫飼育の過程で出るフンが環境浄化用の活性炭となることを発見して活用

大日本印刷株式会社(DNP)と国立大学法人愛媛大学は、持続可能な食料供給を目指し、養殖魚のエサとなる昆虫(ミールワーム)を量産する共同研究を2023年8月に開始しています*1。今回、ミールワームの量産を検証する施設(ラボプラント)を2025年4月に同学内に設置し、同年10月にはミールワーム粉末を年間3トン生産できる施設として本格稼働します。さらに、ミールワームの量産と事業化に向けた産学連携の「昆虫マテリアル研究講座」を2025年6月1日に同学内に新設します。
両者はまた、ミールワームの飼育工程の副産物として大量に出るフンが、周辺環境を浄化する活性炭として利用できることを発見しました。この活性炭は、空気や水をきれいにするために活用できると想定され、商用化に向けて研究を進めます。
ラボプラントの外観
ラボプラントの様子
生産する昆虫由来の物質:(左)ミールワーム粉末、(中)オイル、(右)フン
フンから開発した活性炭

ラボプラントの概要とポイント
DNPと愛媛大学は、ミールワームの飼育を自動化する原理試作機を2024年9月に開発し、愛媛大学の実験室で稼働を開始しました*2。その後、試作機の検証を進めることで、ミールワーム粉末を安定的に生産できるめどが立ちました。このラボプラントの特長は次の通りです。

○ミールワームの生産から加工までの一貫したプロセスが実現可能な施設・体制を構築
○飼育・研究室と加工室の2部屋合計で100m2の広いスペースを運用
○愛媛大学 樽味キャンパス(エコシステムセンター樽味ステーション)内にラボプラントを設置
ラボプラントの様子

昆虫のフンによる活性炭の特長
○昆虫のフンを有効活用した活性炭の開発
両者は、養殖魚のエサとなるミールワームの飼育自動化を目指す中で、そのフンが最終製品であるミールワーム粉末の約9倍(乾燥重量比)も出ることを把握しました*3。この大量のフンを、従来の農作物の肥料以外に有効利用できないか検討した結果、吸着性が高く、空気や水をきれいにするフィルターとして広く用いられている活性炭へと変換できることを発見しました。
○今回開発した活性炭の浄化効果
今回開発した活性炭は、ミールワームのフンを炭化等の処理をして得られました。一般的な水処理等に用いられるヤシガラ活性炭と比較して、粒子サイズが細かく均一なため、吸着質と接触しやすくなり、吸着効率が向上することが期待されます。
実際に、メチレンブルー(無臭の青色結晶)を用いた吸着試験*4では、ヤシガラ活性炭と比較して高い吸着性を発揮しました。今後、空気中の有害物質の除去や水質浄化などの用途に向けた検証を進め、環境保護への貢献を目指します。
■試験結果:メチレンブルー水溶液に活性炭を投入した1時間後の様子左)メチレンブルー水溶液のみ(活性炭未投入)、中)ヤシガラ活性炭投入後の状態、右)今回の活性炭投入後の状態=浄化の効果が非常に高いことがわかる

今後の展開
DNPと愛媛大学は、ミールワームの量産検証を行うラボプラントを2025年10月に本格稼働させ、年間3トンの養殖魚のエサ用粉末を生産します。その後、飼育工場(パイロットプラント)を立ち上げ、2027年度に年間100トン、2028年度以降に商業用プラントで年間1,200トンの生産を目指します。また、フンの活性炭化の検証を進め、実験結果で得られたような水をきれいにするなど、さまざまな用途に向けた活性炭の製品開発に取り組んでいきます。


*1 ニュースリリース「養殖魚のエサとなる昆虫の自動飼育装置の開発を開始」 → 
*2 ニュースリリース「養殖魚のエサとなる昆虫の飼育自動化に向けた原理試作機を開発」 → 
*3 2025年 愛媛大学三浦研究室調べ
*4 JIS規格(JIS K 0115)に基づいて評価。2025年1月 愛媛大学三浦研究室調べ


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