京都 不思議な町名さんぽ 天使突抜（てんしつきぬけ）

関白秀吉、「天使の宮」五條天神宮の境内を串刺す。

下京区・天使突抜の町は、四丁目から一丁目、南から北に長く並ぶ。
この町名の由来となった「天使の宮」までは真っ直ぐな一本道。

細く長い路地に観光客の姿はない。柔らかな陽射しを受ける木塀や、ふと足を止めたくなる町家が佇み、壁にはひっそりと古びた町名札。

古い町家にかかる町名札。
行き着いた先の天使の宮・五條天神宮は、天から降りてきた神々を祀っているから「天使さん」と呼ばれて親しまれてきた「こぢんまりとした」神社。

徒然草や義経記にも登場するほど長い歴史を持つ天使の宮は、かつて東西400m、南北500m、東京ドーム約5個分、元離宮二条城とほぼ肩を並べる、広大な境内を誇っていた。

この天使の宮は何度も大火、戦火に見舞われ、境内の敷地に自然と町ができていったようだ。

そこに秀吉の天正・都市改造。境内は１本の道に貫かれた。

「この頃から一帯は『天使突抜』と町民たちに呼ばれるようになったと聞いています」（宮司・佐々部昭一さん）五條天神宮

住所：京都市下京区松原通西洞院西入天神前町351-2
TEL：075-351-7021
参拝時間：7:00～19:00
アクセス：地下鉄烏丸線「五条駅」より徒歩約10分
先ほど歩いてきた真っ直ぐな道が天使突抜通、現在の東中筋通。町家の向こうに高笑いする関白の姿が見えそうだ。

真っ直ぐに続く天使突抜通、現在の東中筋通。
立ち寄った天使突抜にある洋菓子店「ふたえ」の小ぶりのお菓子をお供に、次の町へ。

町名にあやかって誕生した生ショコラ「天使」
洋菓子店「ふたえ」の「天使」は、宇治抹茶の味わいと香りが生クリームやバターなどの素材と合わせたときに発揮されるように試行錯誤を重ねた、お土産に人気の生ショコラ。
ふたえ

住所：京都市下京区東中筋通六条上る天使突抜4-459-11
TEL：075-748-1709
営業時間：12:00～17:00
休業日：水・木・日曜日
アクセス：地下鉄烏丸線「五条駅」より徒歩約8分

次週「蛸薬師町（たこやくしちょう）」お楽しみに！

illustrations by Nozomi Inoue京都 不思議な町名さんぽ

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