不登校児童生徒数は過去最多の29万人超え……学校に行けない子どもの気持ちや、親ができること・やってはいけないことなどを児童精神科医が解説した書籍『不登校のはじまりからおわりまで』が発売

2025.03.12 13:00
辰巳出版株式会社
約半世紀もの間、不登校の子どもや親に寄り添い支えてきた児童精神科医・齋藤万比古医師がその豊富な知識と経験を基に”子どもとその家族にいま必要なサポート”について説明します
 書籍『不登校のはじまりからおわりまで』(齋藤万比古 監修/日東書院 刊)が3月12日に発売されました。学校に行けない子どもの気持ちや、親にできること・やってはいけないこと、子どもの人生の見つけ方などについて解説し、不登校のはじまりからおわりまでを4つのステップに分けて紐解きます。
『不登校のはじまりからおわりまで』(監修・齊藤万比古/日東書院)

約30万人が学校にいけない…「不登校」とは
不登校は小学生だと100人に約2人、中学生だと100人に約6人います

 不登校とは、学校もしくは登校することに対して、恐れ、拒否感、罪悪感、怒りなどの感情や葛藤を持ちながら欠席状態を続けることで、学校生活に参加できず、長期間、家庭内にとどまっている状態のことです。
 文部科学省が令和5年10月に発表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、不登校の子どもの数は、小学生の100人に約2人、中学生の100人に約6人にあたり、小中学校における不登校児童生徒数は29万9048人で、前年度から5万4108人も増加し、過去最多となりました。

 約半世紀もの間、不登校の子どもや親に寄り添い支えてきた児童精神科医 齊藤万比古医師が監修を務める新刊『不登校のはじまりからおわりまで』では、子どもが学校にいけなくなる理由や、心の病気、発達障害について児童精神科医ならではの視点で丁寧に解説。また、不登校のはじまりから、不登校を乗り越えるまでを4つの段階に分けて解説します。

 子どもが学校にいけなくなるまでに一体何が起きたのか、学校にいけなくなってから、ふたたび登校できるようになったり、社会生活に参加できるようになったりするまでには、どのようなステップを経るのかを理解することで、子どもの不登校を俯瞰的に捉えることができるようになります。また、子どもが今、どの段階にいるかを考え、把握しておくと、手助けをするときに役に立ちます。
 他にも、「あまえ」にどう向き合うか、昼夜逆転生活の対処法、SNSとの付き合い方、自傷行為や家庭内暴力が起きたらどうするかなど不登校の子を持つ親のお悩みや、状況別の頼れる医療機関や子どもと親の相談先などを紹介しています。
進んだり、戻ったりしながら「自分らしい生き方」を目指します。大切なのは「親が子どもの不登校を俯瞰的に捉えること」です

大切なのは、「不登校」について知ること、そして今の状況を冷静に受け止め、子どもに寄り添うことです。--児童精神科医 齊藤万比古
私は児童精神科医として、約45年にわたって多くの子どもや親と出会ってきました。
活動の中で、子どもが学校への参加をしぶり、家にとどまろうとする「不登校」の親子にかかわることは、私にとって大切な臨床活動のひとつです。

思春期は親から心理的に分離し、自分らしい主体性を持った大人になろうと「自分探し」をし、「自分づくり」に取り組む年代とされています。しかも、それを10歳過ぎというまだまだ経験不足で実力不足な状態で取り組みはじめるのです。

思春期の子どもは、外の世界の支えである友人関係や学校での活動に入れ込み、そのパワーで親離れをしようとしますが、それはいつも失敗と背中合わせです。また、失敗や恥をかくことにとても敏感です。
それは外の世界の支えを失うまいと必死にがんばっているからこその過敏さです。だからささいな失敗で自信を失い、不安になって、離れたいはずの親に近づき甘えることで安心しようとします。
いわばこうした外の世界への入れこみと、親への甘えの間を行き来することで思春期の子どもは心のバランスを保っているのです。

しかし、ときにそんな心の回復を邪魔するような深刻な出来事が起こることがあります。
そのとき子どもは外の世界と家の間を行き来する心の往復運動を続けられず、親の元から離れられなくなるのです。それが不登校のはじまりです。

不登校を考える際に避けては通れないのが、不登校のはじまる前後で子どもの心に高まる強い不安、気分の落ち込み、自己否定、罪悪感、劣等感、そして怒りといった感情が、ときとして精神疾患の域に達していることがあるということです。
また、社会的な機能の基盤である対人的コミュニケーションが生まれつき苦手だったり、注意の集中が難しかったり、衝動性が高かったりなどの特性を持つ発達障害が不登校の背景にある場合もあります。
不登校の子どもにこうした精神疾患や発達障害がみられないか注意深く見守り、適切な支援や治療を組み立てることもまた不登校の支援として大切だと思います。

大人が焦らず、学校復帰だけがゴールだと思わずに、広い視野で子どもの心を支え、育むことを目指そうとする際に必要な心得を本書でお伝えしたいと思っています。
本書が不登校の子どもを理解し、寄り添い、支えたいと願う読者の皆様の希望の灯ともしびといささかでもなることができましたら幸いです。
(「はじめに」より)
明るくやさしいイラストなので前向きな気持ちで読むことができます


【もくじ】
第一章 不登校とは~子どもが学校にいけなくなるまで~
不登校は増え続けている/不登校のはじまりから乗り越えるまでの4ステップ/乗り越えるまでの道のりは年齢によって異なる/ゴールは自分らしい生き方を見つけること
第二章 子どもが学校にいけなくなる理由
思春期以降の不登校は人間関係が大きな要因に/どんな子どもでも不登校になる可能性がある/5つの「不登校タイプ」/不登校の兆候をチェックしてみましょう/不登校の心理的な要因/不登校の身体的な要因/不登校の社会的な要因
第三章 不登校中の子どもの心と生活
親の何気ない言葉が心の傷になりやすい/インターネットやゲームに熱中してしまう/暴力が繰り返されたら/子どもが「死にたい」といいだしたら/暴力や自傷行為をやめるように伝えるときの注意点
第四章 心の病気と発達障害
心の病気が不登校を引き起こすことも/心の病気と発達障害に関連した不登校/専門医を受診する目安/どこに受診すればいい?/子どもに通院を促すときの注意点/心の病気と発達障害の治療法
第五章 不登校の子に家族ができること
責任を感じて家族だけで解決しようとしない/不登校は親の責任か/家族に完全に心を閉ざしているとき/食事を自分の部屋でしたいといわれたら/家族の関係を見直す「家族療法」
第六章 学校や社会とのつながりと適切な支援
不登校の段階に応じた支援/不登校の子に学校からしてもらえること/子どもの居場所を複数確保しておく/「学びの多様化学校」とは/専門家による訪問支援/不登校が長期化した「ひきこもり」とは

<書籍情報>
『不登校のはじまりからおわりまで』
定価:1,650円(本体1,500円+税)
監修・齋藤万比古/イラスト・おかべりんご
サイズ:四六判(188×128mm)
ページ数:224ページ
発売日:2025年3月12日
発行:株式会社日東書院本社

▼ご購入はこちらから
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<監修者プロフィール>
児童精神科医 齊藤万比古 (さいとう かずひこ)
恩賜財団母子愛育会 愛育研究所顧問 。1975年千葉大学医学部卒業。1979年国立国府台病院児童精神科。1999年国立精神・神経センター国府台病院心理・指導部長。2003年国立精神・神経センター精神保健研究所児童思春期精神保健部長。2008年国立国際医療センター国府台病院第二病棟部長。2010年独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院精神科部門診療部長。2013年恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院小児精神保健科部長。2015年恩賜財団母子愛育会愛育研究所児童福祉・精神保健所研究部部長、愛育相談所所長。2023年から現職。

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