”ご褒美”でありながらも、身近でフレンドリーな存在へ。発売から8年を迎えても進化を続ける「湖池屋プライドポテト」が、見たことのない新フレーバー「渚のカルパッチョ」を発売した理由。

2025.02.28 11:00
2025年2月17日、「湖池屋プライドポテト 渚のカルパッチョ」が新発売されました。2017年2月に誕生した「湖池屋プライドポテト」ブランドに加わった、待望の新フレーバーです。投入の狙いは、今まで「プライドポテト」を買ってこなかったお客様の購入機会の創出でした。
●「見たことのないフレーバー」で他ブランドからの流入を狙う
「湖池屋プライドポテト」は2024年2月、プレミアム感や上質さを売りとするブランドイメージは大切にしながらも、消費者にもっと身近に感じてもらえるよう、製法からパッケージデザインに至るまで一大リニューアルを敢行。行き過ぎていた「孤高感」の払拭に成功し、同年2月から12月にかけての売上を前年比182%※にまで押し上げました。 ※湖池屋出荷データ


購買層を分析してみると、ヘビーユーザーよりもミドル・ライトユーザーの伸長率が特に高く、中でもそのきっかけになっていたフレーバーは、リニューアル時の新アイテムとして発売した「踊るイベリコ豚」でした。「踊るイベリコ豚」は、他の3フレーバー(「神のり塩」「ぞっこん岩塩」「通の黒胡椒」)に比べて目新しい味わいのため、今までプライドポテトを買ってこなかったお客様の購入を促進したものと考えられます。
「塩やのり塩といった一般的なフレーバーでは、いつも他のブランドを食べているお客様からは手に取っていただくことが難しく、『踊るイベリコ豚』のような“見たことのないフレーバー”であればあるほど、手に取っていただくハードルが下がることに気づきました」(マーケティング本部 マーケティング部 第1課 主任 秋山竜司)
とはいえ、鮮度の観点からも、「プライドポテト」ブランドへの入り口としての役割を「踊るイベリコ豚」が担い続けるのは難しい。つまり「踊るイベリコ豚」に変わる新フレーバーの投入は必須という結論に達しました。では、何を? そこでブランドチームが改めて重要視したキーワードが、「プライドポテト」が長らく掲げてきた「ご褒美」というコンセプトでした。


「『プライドポテト』を購入されるお客様は、商品購入時のウキウキする気分、“ハレ”の気持ちになることに価値を見出しています。1週間仕事を頑張った『ご褒美』として金曜の夜に買う、といったイメージです」(R&D本部 プロダクト開発部 課長 宮地彩)
●なぜ、ホタテとレモンなのか
ブランドチームの面々が「ご褒美」でまず思い浮かべたのは、高級感のある牛肉でした。ただ、同じ牛肉でもステーキ風、ビーフシチュー風といろいろな選択肢があります。さらに同じビーフシチューでもビーフを立たせたほうがいいか、ブイヨン系がいいか? そんな議論が白熱する中、あるとき“ホタテ”という食材が浮上しました。ホタテは魚介類ではありますが、牛肉に負けない「ご褒美」感があると考えたからです。


そのホタテに合う味付けとして挙げられたのが、“酸味”です。ヒントになったのは、2021年に発売した、「湖池屋プライドポテト 凛凛(りんりん)レモン」という瀬戸内産レモンとビネガーを軸にしたフレーバー。終売後もお客様センターに問い合わせの多い、人気商品でした。
「凛凛レモン」を新フレーバーのヒントにはしたものの、開発は試行錯誤と工夫の連続でした。口に入れた瞬間にホタテをめいっぱい感じられるようなバランスの調整を施し、ドレッシングのような酸味とさわやかな香りを表現するためにオニオンやパセリなどの香辛料、レモン果汁を使用。さらに、味にキレを出して連食性を高めるため、唐辛子やコショウも使うことにしました。


そうして出来上がったのが、「湖池屋プライドポテト 渚のカルパッチョ」です。
袋を開けると、まず主役たるホタテの香りがします。頬張るとホタテのうまみが口いっぱいに広がり、咀嚼していくうちにレモンの酸味がきいてきて、最後に唐辛子や胡椒で口中がぴりっと締まる。このキレによって、飽きずに2枚目、3枚目に手が伸びるというわけです。


「『プライドポテト』は自分へのご褒美のために、1袋全部ひとりだけで食べ切る方が多いんです。だからこそ、飽きずに次々と食べ続けられるような味の設計を意識しました」(宮地)
●“順目”を避けたネーミングとプロモーション
実は、ネーミングも大事な要素でした。


「2024年2月のリニューアルで特に売上が伸びていたのが、『ぞっこん岩塩』でした。もともと『プライドポテト』の塩味は『美食の岩塩』という商品でしたが、『美食の岩塩』がどこかしら高貴な、ちょっと背筋が伸びるようなイメージであったところを、『ぞっこん岩塩』というキャッチーで情緒的なネーミングに変更することで、新規のお客様のトライアルを促したのです。なので今回もそれに倣い、情緒に寄り添うネーミングを意識しました」(秋山)
「渚のカルパッチョ」。海を想起させ、人を解放的な気分にさせる語感。非日常的で、購入時に気持ちを高揚させる――。パッケージにはホタテやレモンを抽象化したイラストをあしらい、楽しげな“ハレ”のイメージも演出しました。ご褒美として買うユーザーの多い「プライドポテト」にぴったりです。


ただ、食材名や味わいをわかりやすく伝えたいなら「ホタテとレモン」あたりが無難なところ。あえて冒険したのには、理由がありました。


「検討段階では『◯◯ホタテ』といった案も出ましたが、それだと“順目”の勝負になってしまいます。もっと意外性というか、『そう来たか!』と言われる、いい意味での裏切りがないと、お菓子としては面白くない。だから“逆目”でいきました」(秋山)


ちなみに、山﨑賢人さんと新木優子さんを起用した「渚のカルパッチョ」のCMが2月の発売時から放映中ですが、2月にもかかわらず爽やかな夏っぽいビジュアルが印象的。真冬に発売するスナックの名称が「渚」であることも含めて、「夏が待ち遠しいという気持ちを喚起する。これも、あえての“逆目”と言えるかもしれませんね(笑)」(秋山)
宮地は「渚のカルパッチョ」を、プライドポテトを購入したことがないお客様に購入していただくためのフレーバーとしてだけでなく、舌が肥えている、世の中のいろいろな食べ物をよく知っている人にも購入してほしい、とのこと。「ポテトチップスを食べ慣れている人にこそ、選ばれる商品でありたいんです」(宮地)


また、「プライドポテト」は比較的年齢層が高めの消費者に好まれるブランドですが、R&D本部 プロダクト開発部 羽原史織は「渚のカルパッチョ」による若年層の開拓にも期待しています。「『神のり塩』や『ぞっこん岩塩』は、どちらかと言えば『和』寄りの味。今回は『踊るイベリコ豚』と同じく『洋』方向の味なので、洋食に親しみのある20代、30代の方にも食べてもらえると嬉しいですね」(羽原)
●大容量袋「夢中サイズ」に込められた思い
実は「プライドポテト」の購入動機には、自分へのご褒美として購入する以外に、もうひとつ大きなものがあります。手土産需要です。


「『プライドポテト』は“ちょっといいポテトチップス”というイメージがお客様のなかで形成されているので、友人宅への家飲みに持っていったり、ママ友宅でのランチに持参したり、という方が実はいらっしゃるんです」(秋山)


そんなシーンに寄り添う商品として2025年3月31日に発売されるのが、多人数でシェアできる大袋、「夢中サイズ」です。内容量は102gと通常サイズの約2倍。内容量あたりの価格では割安になるので、物価高の昨今、受け入れられやすいと言えるでしょう。「プライドポテト」4フレーバーのうち、定番性の高い「神のり塩」「ぞっこん岩塩」で発売します。
「ある主婦の方は『現行の量はひとりの食べきりサイズなので、子供にはあげられません』と言っていました(笑)。もし大きなサイズが出たら家族で食べたいそうです」(秋山)


「夢中サイズ」のパッケージは特徴的です。他社の大容量袋とは異なり、「プライドポテト」のアイデンティティである自立性をキープ。パッケージ前面にはブランド名やフレーバー名より大きく「夢中サイズ」の文字が配置されています。


「『夢中』は2024年のリニューアル時から据えていたキーワードで、ポテトチップス好きが夢中になる美味しさを目指そう、という目標の言語化でした。その後のお客様アンケート結果からも、『夢中』はしっかりと印象に残っていたようなので、これを『プライドポテト』の財産にすべく、大袋の名称に紐づけました」(秋山)


「夢中サイズ」の登場によって「プライドポテト」は、より多くのシーンでより多くの人に食べられるポテトチップスになっていきます。自分へのご褒美であり、ちょっといいお土産にも使えて、舌の肥えたポテチ好きも認める質の高さを備えていながら、身近でフレンドリーな存在。そんな多面的なブランドイメージを確立するに至った「プライドポテト」は、誕生から8年の歳月が経過しました。


この8年で「プライドポテト」は飛躍的な進化を遂げました。世情や消費者のニーズを敏感に察知し、幾度もリニューアルを重ね、中身も外見も打ち出しも、すべての面において足を止めることなく改良と調整を重ねた結果、現在の「プライドポテト」があります。この先も、その進化が止まることはないでしょう。

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