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手のひらサイズに5枚刃テクノロジーを凝縮し、指先で肌状態を感じながらなでるように剃る新体験のシェーバー、パナソニックの「ラムダッシュ パームイン」。石川樹脂工業株式会社が生産し、株式会社雪花がデザインを担当する、樹脂を素材とし食体験を豊かにするテーブルウェア「ARAS」。そして、それら製品に採用された、三井化学株式会社の海洋ミネラル成分から生まれたイノベーティブ複合材「NAGORI®」。
新しい価値観を発信する製品がどのように生まれ、何を実現しようとしているのか。挑戦者たちに話を聞きました。
左から 三井化学株式会社 近藤淳氏、パナソニック株式会社 別所潮、石川樹脂工業株式会社 石川勤氏、株式会社雪花 上町達也氏。
ラムダッシュ パームインが目指した新しい価値
パナソニック株式会社 別所:シェーバーのラムダッシュ パームインは、手のひらサイズにラムダッシュの5枚刃テクノロジーを凝縮しています。また、コロンとした佇まいにすることで、使わない人にとっても心地良い空間を生み出し、常にそばに置いて髭をサッと剃ることができる、時間や空間に縛られない自由なシェービング体験を可能にしています。
パームインのボディを構成する新素材NAGORI®とは?
三井化学株式会社 近藤氏:NAGORI®は海洋ミネラル成分から生まれたイノベーティブ複合材で、陶器のような質感・重量感・温冷感をもった素材です。プラスチックの使用量も削減できます。
海水を淡水化する過程で捨てられる濃縮水が昨今では社会課題となっており、解決につながればという思いで開発しました。
NAGORI®はまさにパームインが探し求めた「自然に馴染む素材」だった
別所:パームインに関しては、手のひらに収まる骨格を作ろうと思った瞬間から、素材が一番大事だと思っていました。
一番の理想は自然物のようなものを作っていくこと。自然の石はどの空間に置いても馴染むと思いますが、そんな存在を家電製品で作りたかったんです。
素材を探した中でNAGORI®の存在を知って「まさにこれだ」「もうこれしかない」と思うぐらい、手に持つ道具だからこそのひんやり感や重量感が、本当にこの商品にぴったりだと思いました。
今までの常識を覆すシェーバーはなぜ生まれたのか?
別所:開発がスタートしたのはコロナ禍の真っ只中で、コロナ禍を経て世の中の価値観がだいぶ変わったと思うんですよね。暮らしも変わり、良いものの定義もだんだん変わり、性能を追い求めることだけが正解ではなくなってきた時代でした。
そんな中で、髭をうまく剃れることだけではなくて、体験を重要視しなければいけないのではないかと考えました。
別所:我々の強みは「モーター」と「刃」で、海外ユーザーのヒアリングをすると、ヘッドだけを持って剃る方も多かったんです。「持ち手って、実はいらないんじゃないの?」という気付きから、ヘッドだけの製品を作ってみようと開発したのが誕生のきっかけです。
石川県加賀市で生まれた食器ブランドARASもNAGORI®を使用
石川樹脂工業株式会社 石川氏:プラスチックは環境に悪いとよく言われてきました。樹脂を扱う企業として、僕自身が悔しい思いをしてきたこともあり、NAGORI®のサステナブルなコンセプトは大事な要素です。
その上でARASはお皿のブランドなので、サステナブルなコンセプトだけだと弱く、食体験を豊かにすることができるか?という点が素材を決める上での非常に大事な選定ポイントでした。
株式会社雪花 上町氏:例えば、器をあらかじめ温めておく・冷やしておくというユーザーの選択肢の幅が広がるということは非常に重要です。この点にダイレクトに直結するのでNAGORI®を採用させていただきました。
日本でのものづくりにこだわる両ブランドに共通する思いとは
上町氏:ものをつくるということは、そこに産業があるということで、産業があるということは、色々な人が関わるということ。そして関わっている人には家族がいて、住まいがあるというように、ものづくりがパーソナルな部分まで何かしらの影響を及ぼします。
加賀市でつくることで、そこに住まう人たちの生活の中で、ARASに関わっていることを誇りに思う人が増えていくと、生き生きした人が増えていくんです。だから「その土地でつくる」ということは、もののクオリティを上げること以上の価値があると思っています。そこまで見据えた上で、ものづくりにこだわっていきたいという思いがあります。
石川氏:パナソニックさんの彦根工場に関して言えば、60年以上も大企業が工場を持ち続けることは結構すごいことだと思います。
別所:ラムダッシュのシェーバーは彦根市が一つの生産地になっているんですが、ものづくりが積み上げてきた技術を初めて見た時に感動し、リスペクトが生まれました。彦根で働いている皆さんも「日本のものづくりをどうやって世界に発信していくか」を考えていますし、自分も1人のデザイナーとして、どうやって日本のものづくりを世の中に届けられるかを考え、形にすることを一つのモットーにしています。
共鳴するものづくりへの思い、その核心にあるものとは?
上町氏:作る前を大事にしています。私たちが何に一番時間をかけているかと言うと、「なんで作るんだっけ?」という議論なんですよね。
石川氏:どういった問いを立てるのか?その問いに対する回答は何か?など最大限の議論をし尽くしています。その上で時代は一年一年変わっていくので、また新しい問いを立て、新しい答えを出していく。こういったことを繰り返しています。
上町氏:問いについてしっかり議論できているからこそ、作業分担をしてチームでものづくりを進めるときにも、ブレずに前に突き進んでいけたんじゃないかなと思います。
別所:パームインとARASで、やっていることは同じだと思うんですよね。ものづくりへの思いは、ARASもパナソニックの従業員も近しいものを持っていて、日本人のものづくりの熱意は、緻密さだけではなく人のことを思って作ることなんだと思います。
そういった思いに関して、ARASは一番先進的なものづくりをされていると思うので、僕たちも学んでいかないといけないと思っています。
<関連情報>
・ラムダッシュ パームイン/ARAS 新しい価値づくりに挑んだ2つのブランドがたどり着いた素材とは。
<ラムダッシュ パームイン(ES-PV6A)の特長>
・体積比約70%※の手のひらサイズに5枚刃テクノロジーを凝縮
・指先で肌状態を感じながら、なでるように剃る新感覚シェービング
・海洋ミネラル成分から生まれたイノベーティブ複合材「NAGORI®」を採用
プラスチック使用量を約40%削減※、陶器のような手触りを実現
商品HP:
※当社2023年発売ラムダッシュPRO 5枚刃 ES-LV9Wとの比較(当社調べ)×