LGBTQ+の理解者を増やし、誰もが働きやすい環境を作りたい。継続的なDE&I活動の裏にある“製薬会社”としての使命感とは。

2025.01.15 11:00
グローバルヘルスケア企業のサノフィ株式会社(以下「サノフィ」)では、LGBTQ+、性別、年齢、人種・民族、信仰、障がいの有無に関わらず、誰もが自分らしくいきいきと働ける企業を目指したDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の促進に取り組んでいます。


 2022年、職種も役職も多様なメンバーで構成されたERG(Employee Resource
Groups)が発足。インクルーシブな職場を目指し、「Pride+」「Ability+」「Culture
and Origins+」「Gender+」「Generations+」の5つの取り組みがありますが、今回はその中で、「Pride+」の活動についてお話をします。
左から、Pride+ERGリーダー、渉外部 瀧田紀子
Pride+ERGリーダー、スペシャルティケアビジネスユニット 中村俊介





 LGBTQ+に関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する団体「work with Pride」が取組みの評価指標として策定した「PRIDE指標2024」でゴールド認定を獲得したDE&I活動の裏側とは。


 ここに至るまでの背景や、活動を継続してきたメンバーが大切にしている想い、さらにはこれから先の目標について、Pride+ERGリーダーとして活動する、スペシャルティケアビジネスユニットの中村俊介、渉外部の瀧田紀子に話を聞きました。
【DE&I活動のはじまり】社員が自主的にDE&Iを推進できる環境がサノフィにはあった
__最初に、DE&I活動をスタートするに至った経緯やプロジェクトメンバーについて教えてください。


中村: 
 2022年に会社がERGを発足させることになり、賛同した社員たちが自ら手を挙げる形でスタートしました。私はもともと「DE&I Awareness Taskforce」のメンバーで、
DE&Iに関する社員の認知を高めるために、ニュースレターの配信やe-learningの受講促進などを行っていましたので、ERG発足時からPride+のコアメンバーとして参加しました。Pride+のリーダーになったのは、2024年の1月からです。会社が社員の自主性に任せてくれているので、自発的に活動できています。


グループは、リーダーが2人、コアメンバーが5人、そして「アライ」としてLGBTQ+当事者への理解者・支援者として意思表示しているメンバー、という構成です。活動開始当初はまず、LGBTQ+においてどのようなことが問題になっているのか理解し、意識を高めるというところからのスタートでした。私たちの活動に賛同する人が増えることで、当事者の心理的安全性が保たれ、業務でのパフォーマンス向上につながると考え、まずはアライという、LGBTQ+の理解者を増やすことに取り組みました。社内での呼びかけやイベントを重ねることで、徐々にですが、アライの数が増えてきました。
瀧田:
 私は最初、アライとして参画しました。この活動は本当に意義のあるものだなと思っていたので、イベントも勉強会も、ほぼ皆勤賞でした(笑)。2023年の暮れにあるプロジェクトを一緒にやってみないかと声をかけていただいたのを機に、2024年の3月にコアメンバーとなりました。リーダーになったのは5月です。
互いを尊重し、誰もがベストパフォーマンスを発揮できるカルチャーの醸成を
_____DE&IにおいてLGBTQ+を重点テーマの一つとして2021年から継続して取り組んでいますが、もっとも大切にしていることは何ですか?


中村:
 環境整備や人事制度はもちろん大事なのですが、LGBTQ+に限らず、一人ひとりがリスペクトを持って接すれば、普段のコミュニケーションやパフォーマンス向上につながっていくと思っています。難しさはありますが、それぞれを尊重しながら接するカルチャーをつくっていきたいという思いがベースにあります。


瀧田:
 私は、「できる時に、できることを、できる人がやればいい」と思っています。ですので、自主性を尊重しながら、誰もがベストなパフォーマンスを発揮できる環境や意識づくりをしていくことを大切にしています。
ERGは、業務の合間を縫って活動していますので、メンバーみんなで助け合いながら活動を前に進めています。


 ちなみにPRIDE指標には「社会への発信」という項目があります。私たちは製薬会社として医療の領域で貢献していくために、社内にとどまらず、医療現場でもLGBTQ+に対する理解を深めたいという想いをもって活動しています。


中村:
 瀧田さんが言ったように、この活動は社内だけでなく、社会へのインパクトが非常に大事です。そこで、製薬業界全体での啓発を目的とした「Pharma for PRIDE」*という啓発アライアンスを4社の製薬会社で立ち上げ、勉強会などをおこなっています。


 私も勉強会を通じて、LGBTQ+の方が医療へのアクセスに困っているということを初めて知りました。そういったことを自分たちが学ぶだけではなく、外に発信することで、誰もが医療にアクセスできる環境をつくっていくことは、製薬会社の責任の一つだと思っています。


*Pharma for PRIDE に参画している製薬会社 4 社
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪 市北区、代表取締役社長:堀井貴史)、
アッヴィ合同会社(本社:東京都港区、社長:ティアゴ・カンポス ロドリゲス)、
アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都港区、社長:笠茂公 弘)、
サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岩屋孝彦)
LGBTQ+の理解者を増やすための“2つ”の工夫とは
_____継続的にDE&Iを推進してきた中で感じている課題はありますか?またその課題に対して取り組まれていることがあれば教えてください。


中村:
 「PRIDE指標」はランクアップしましたが(2022年、2023年にシルバーの認定を獲得)アライの数が伸び悩んでいることに難しさを感じています。社員が約2,000人いますが、アライは約220人です。定期的に開催しているイベントも、参加者が固定化してきており、ここからどう増やしていくかが課題です。


 LGBTQ+は、周りに当事者の方がいるかどうか分からないことも多いため、自分ゴト化しづらく、理解を深めてもアクションを起こせる機会がないと考える人も多いのかもしれません。実際にアンケートでも、LGBTQ+に関する理解と関心の部分が一番低いです。


 そこで2023年から取り組んだ工夫が2つあります。1つ目は、「心理的安全性」や「アンコンシャスバイアス」という切り口からのアプローチです。視点を変えたことにより、今までと異なる層にも届きやすくなり、イベント参加者が増えたように感じます。


 2つ目は、社外に向けた活動を推進したことです。社内の人たちにも「自社の活動を社員として知っておかないと」という意識を持ってもらうことが狙いでした。


__そうした取り組みを通じて、社員の皆さんからの反響や意識の変化などを感じたことはありますか?


中村:
 人事部の協力で2024年の8月から人事規程が変わったことは目に見える大きな変化だと思います。不公平感のない制度を考えるのは非常に難しいことですが、LGBTQ+の方にもそうでない方にも納得いただける人事規程へ変わったと感じています。


 その他に専用の相談窓口も設置しました。誰かに相談したいと思った時に、周囲に理解があり話しやすい環境が整っていることが重要だと考えています。
例えば日常会話の中で、「彼女/彼氏いますか?」ではなく「パートナーいますか?」と聞くなど、こういう小さな部分に環境が整っているかどうかが表れてくるのでは、と思っています。実際に、アライの人が「そういう言葉遣いはやめたほうがいいよ」と注意している場面を見て、活動の影響を実感したこともあります。指摘されないと気づけないことも多いと思いますので、そのような会話が生まれていることはいい傾向だと思います。
同業他社と共に取り組む「Pharma for PRIDE」
__さきほど「Pharma for PRIDE」のお話も出ましたが、実際にこの3年間で多くの取り組みを実行されてきた中で、特に思い入れのある施策はありますか?


中村:
 やはり同業他社と共同でおこなっている「Pharma for PRIDE」ですね。競合ですが、最初に「お互いのビジネスの話はしない」などのルールを決めた上で、一緒に勉強会や発信をおこなっています。


 Pharma for PRIDEのメンバーに当事者の方がいらして、その方が自分の言葉で「こういうことに困っている」と話してくださったことがありました。ERGを始めた当初は、実際に当事者の方たちが何に困っているのか分からない状態でしたので、具体的なお話を聞けたことで、問題を自分ゴト化するきっかけとなり、とても印象に残っています。


 ちなみに最近では知識が深まったおかげで勉強会を企画すると内容が専門的になりがちなんです。初めて参加する方にも理解しやすい内容や、「あ、そうなんだ」と気付くきっかけ作りに、特に時間をかけています。


瀧田:
 私も「Pharma for PRIDE」ですね。業界内で協力している点がとても良いなと感じています。個社が社会的インパクトを生み出すだけでなく、働く環境を良くしていくために、製薬業界が一緒に高め合い、協力しながら活動できることは素晴らしいことだと思っています。
グローバルの中でも特徴的な日本の取り組みとは
__サノフィは全世界に拠点を構えるグローバル企業ですが、他の拠点でも日本と同様にDE&I活動は活発に行われているのですか?


中村:
 当社は全世界でDE&Iの推進が進んでおり、各国のリーダー同士で情報共有をすることもあります。その中で日本は、「Pharma for PRIDE」はもちろん、日本最大級のLGBTQ+イベント「東京レインボープライド」への協賛・参加など、社外へ向けた活動を積極的に行っている点が特徴的だと思います。
「できている部分もあるが、まだまだ…」サノフィが目指すDE&I活動の未来と展望
__ここまでサノフィの継続的なDE&I活動の成果や想いなど裏側について聞いてきましたが、最後にDE&I活動の評価として現在地と今後の目標について教えてください。


中村: 
 できている部分もありますが7〜8割でしょうか、まだまだです。
社内の制度や土台はようやく整ってきたところですが、残りの2~3割が特に大変だと思っています。全社員がお互いにリスペクトを持ち、日々のコミュニケーションがより良くなり、かつアライの更なる増加なども目指して、活動を継続していきたいです。


 また、他のERGチームとのコラボレーションもやりたいですね。全社的にDE&Iの価値観が浸透し、誰もが自分らしくベストパフォーマンスできる状態が、目指すべきゴールの一つです。


 あとは、今年PRIDE指標でゴールドを獲得しましたが、来年はレインボーを目指し、ますます活発に活動を進めたいと思っています!

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