株式会社フォティーノ
当時の貴重なヴィンテージコレクションや資料、日本で目にする機会の少ない現行品を交え体系的に展示。1930~1970年代のイタリアデザインにフォーカスした国内最大規模級のラインナップ。
幅広いジャンルの家具・アートを独自の視点でコレクションする、清澄白河の gallery stoop と gallery topso は、2025年 1月8日(水)から 1月20日(月)まで 銀座三越 新館7階 催物会場 にて『イタリアモダンデザイン展』を開催いたします。
stoop公式HP : https://stoop.jptopso公式HP :https://topso.jp
『イタリアモダンデザイン展』
リソルジメント運動(イタリア統一運動)を経てイタリア王国が成立したのは1861年。産業革命を経験したイギリス、そこに続くオランダ・ドイツ・フランスなどヨーロッパ各国に少し遅れて、比較的工業化が進んでいたトリノ・ミラノを中心にイタリアにも少しずつ近代化を推し進める機運が高まり始めます。
「イタリアモダンデザインの父」 Gio Ponti(ジオ・ポンティ)を筆頭に、統一後のイタリアに生を受け、後のイタリアモダンデザイン黄金期を駆け抜けた才ある建築家・デザイナーたち。Cesare Cassina(チェーザレ・カッシーナ)、Dino Gavina(ディノ・ガヴィーナ)ら、ビジネスだけでなく文化を創造しようと夢見た起業家が興す、中小ブランドの数々。 1950年代以降に花開いたイタリアモダンデザインは、哲学的、あるいは人文学的な考えを持つデザイナーと、合理主義的な考えを持つ起業家、その二つの思想・文化が出会い融合することによって成立しました。本展は、そうしたイタリアモダンデザインの歩みを、実際のプロダクトと貴重な資料や文献の展示から当時の空気感とともに鮮やかに伝え、そこに息づく精神性を読み解く試みです。
1927年 チェーザレ&ウンベルト・カッシーナによって Cassina(カッシーナ) 社が創業。1928年 ジオ・ポンティが世界的なインテリア雑誌『Domus』(ドムス)を、アリゴ・ボンフィリオーニが『La Casa Bella』(カサベラ)を立て続けに創刊。1933年には、ミラノ・トリエンナーレの前身となるモンツァ・ビエンナーレが開催。こうした土壌が育まれながら、第二次世界大戦への参戦を経て、イタリアは敗戦国として戦後を迎えます。最重要課題であった経済復興が急がれる40年代以降、企業やデザイナーは明るい未来を目指し協働を重ねることで、数々の名作といわれるモダンデザインが生まれました。
51年「第9回ミラノ・トリエンナーレ」でジオ・ポンティがデザインした「スーパーレジェーラ」をカッシーナが発表。そして1954年 ジオ・ポンティの発案によって、完璧な美のバランスを達成した工業製品に贈られる「コンパッソ・ドーロ賞」が設立。イタリアのミッドセンチュリーデザインはいよいよ開花の時を迎えます。1956年にはADI(インダストリアルデザイン協会)が発足。1961年 イタリア製品の輸出促進を目的として、イタリア国内の家具ブランドが集結、今も世界的な熱狂を見せる家具見本市「第1回ミラノ・サローネ」が開催されます。59年から63年にかけての「奇跡の経済」と呼ばれる驚異的な経済成長とともに、イタリアモダンデザインは経済とデザインの両面で黄金時代を迎え世界へとその存在感を示していくこととなります。
会 期:1月8日(水)~1月20日(月)
会 場:銀座三越 新館7階 催物会場
住 所:東京都中央区銀座4-6-16
営業時間:10時~20時【最終日18時終了】
お問い合わせ:03 4285 4128
stoop の貴重なヴィンテージコレクションを公開
※左上:‘SUPERLEGGERA’ by Gio Ponti for Cassina , 1957(¥638,000)
※中央上:‘LB7’ by Franco Arbini for Poggi , 1957(¥4,950,000)
※右上:‘mod.839’ by Ico Parisi for Cassina , 1955(¥1,650,000)
※左下:‘Gatto Piccolo’ by Achille & Pier Giacomo Castiglioni for FLOS , 1960(¥308,000)
※中央下:‘SORIANA’ by Afra & Tobia Scarpa for Cassina , 1969(¥1,760,000)
※右下:‘Apta series No.A012’ by Gio Ponti for Walter Ponti , 1970(¥1,980,000)
コンパッソ・ドーロ受賞作10点含む、80点以上を展示販売
本展では清澄白河のヴィンテージギャラリー stoop のコレクションを公開。Gio Ponti(ジオ・ポンティ)、Ignazio Gardella(イニャツィオ・ガルデラ)、 Ico Parisi(イコ・パリージ)、Franco Albini(フランコ・アルビニ)、Carlo Scarpa(カルロ・スカルパ)、Osvaldo Borsani(オズヴァルド・ボルサーニ)、Achille & Pier Giacomo Castiglioni(アキッレ&ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ)など、1920年までに生まれイタリアモダンデザインの礎を築いた巨匠達のヴィンテージ作品から、Gastone Rinaldi (ガストーネ・リナルディ)、Vico Magistretti(ヴィコ・マジストレッティ)、Guido Faleschini(グイド・ファレスキーニ)、Gianfranco Frattini (ジャンフランコ・フラッティーニ)、Gae Aulenti(ガエ・アウレンティ)、Kazuhide Takahama(高濱和秀)、Joe Colombo(ジョエ・コロンボ)、Sergio Mazza(セルジオ・マッツァ)、Enzo Mari(エンツォ・マーリ)、Afra & Tobia Scarpa(アフラ&トビア・スカルパ)、Vittorio Nobili(ヴィットリオ・ノビリ)など、イタリアモダンデザイン黄金期を彩ったデザイナーたちの作品までを網羅的にコレクションしています。
当時の目まぐるしい技術の発展を背景に、Cassina社、Poggi社、Gavina社、FontanaArte社、Oluce社、Azucena社、Tecno社、FLOS社などのブランドを支えた職人達の高い技術力と工業化の流れの中で生み出された美しいプロダクト群全80点以上(内コンパッソ・ドーロ受賞作10点)を展示販売致します。
イタリアの1860~1980年代までのデザイン史を総体的にまとめた年表
イタリアモダンデザイン史を体系的に展示
会場ではジオ・ポンティが創刊したインテリア雑誌『Domus』(ドムス) 50冊以上を含む、同時代のデザイン関連書籍のほか、1932年に同じくジオ・ポンティによって設立された、現存するイタリア最古の照明ブランドであるFontanaArte(フォンタナアルテ) 社が収集する、当時の資料や文献などを展示。Casa BRUTUS などの雑誌や自らが代表を務める BUNDLESTUDIO Inc.での活動において、イタリアデザインの魅力を発信し続けるインテリアスタイリスト 川合将人氏協力の元、当時の資料から時代背景を含めて紐解きながら、イタリアモダンデザインに改めて目を向ける契機となることを目指します。
ジオ・ポンティが創刊したインテリア雑誌『Domus』
topso がコレクションした現行品の数々
※左上:‘TUCROMA’ by Guido Faleschini for 4 MARIANI , 1970(¥418,000)
※中央上:‘Metafora’ by Massimo & Lella Vignelli for Martinelli Luce , 1979(¥1,100,000)
※右上:‘Parola’ by Gae Aulenti for FontanaArte , 1980(¥176,000)
※左下:‘PIPISTRELLO’ by Gae Aulenti for Martinelli Luce , 1965(¥352,000 ~)
※中央下:‘Medea’ by Vittorio Nobili for Medea , 1955(¥198,000)
※右下:‘Luna Orizzontale’ by Gio Ponti for TATO , 1957(¥264,000)
日本では目にする機会の少ない現行品を販売
デザインされた当時のクオリティを引き継ぎ、現在もイタリア本国やヨーロッパでは生産販売されているブランドの現行品。日本ではあまり流通せず、触れられる機会の少ないこうしたプロダクトにもフォーカス。
ジオ・ポンティ、ガエ・アウレンティなどとコラボレーションを果たした FontanaArte社の照明、同じくジオ・ポンティ、イニャツィオ・ガルデラなどがデザインしたプロダクトを復刻するTATO社の照明、ヴィットリオ・ノビリによって55年に発表されコンパッソ・ドーロを受賞した Medea社のチェア、ガエ・アウレンティ、マッシモ・ヴィネッリなどのアイコニックなデザインを今も製造する Martinelli Luce社のプロダクト、グイド・ファレスキーニによって69年に発表されたコレクションを今も作り続ける 4 MARIANI社の家具など、topso がコレクションした現行品の数々を、時代背景を添えながら展示販売致します。
多様な価値観の現代。これからの豊かさを、イタリアモダンデザインから学ぶ
近代統一国家としてのイタリア王国が誕生したのはわずか160年前。古代ローマから1600年以上、分裂が続いたイタリア人にとって、小さな都市国家の集合体だという認識は現在に至るまで連綿と続いています。異なる風土や気候をバックボーンとする各文化が時に対立し、時に交差する。その繰り返しで、異文化や時代の流れへと適応しながら豊かなクリエイティビティを育むことが自然と行われてきました。
イタリアには、「アランジャルシ」という言葉があります。イタリアで生活すれば必ず耳にするといわれるこの言葉の意味は、「他人に頼らず、自分自身でうまく切り抜けていくこと」。そんなイタリア人の精神性からか、ミッドセンチュリー期を彩ったイタリアの建築家、ブランドの創業者の多くもまた、個人や企業単位で、様々な領域を横断しながら仕事に取り組んでいました。
ジオ・ポンティは建築家であると同時に、デザイナー・画家・編集者として、スプーンから椅子・建築までをデザインし、雑誌創刊やデザイン賞創設まで行います。ジノ・サルファッティは、伝説の照明メーカーArteluceを設立、経営者でありながら600点にものぼる同社のデザインをほぼ一人で手掛けました。異なる領域の仕事を横断しながら、時折それらの思考が混ざり合い下される判断・行動が独創的なデザインを世に出すきっかけとなっていたのかもしれません。
職業としての分断や専門性は、資本主義が新しい段階に入る中で専門特化がより多くのものを売るために有利だと考えられた結果です。グローバリズムとインターネット・SNSの発達を経て訪れた価値観の多様化、豊かさの定義が見直される現代。イタリアモダンデザイン、そのプロセスや思考、歴史的背景は、私たちが求める現代の豊かさについて考え直す縁になり得るのではないでしょうか。北欧・フランス・アメリカと比べ、日本の私たちにはまだ馴染みの薄いイタリアモダンデザインの魅力を、この展示を機に改めて広く知ってもらえることを心から願っています。
『イタリアモダンデザイン展』
会 期:1月8日(水)~1月20日(月)
会 場:銀座三越 新館7階 催物会場
住 所:東京都中央区銀座4-6-16
営業時間:10時~20時【最終日18時終了】
《gallery stoop》
フランス・イタリア・オランダを中心に、ヨーロッパ・アジア紀元前から現代まで国境や年代に縛られずに「現在」の感性を通してコレクションされたヴィンテージ家具やオブジェ・現代アートが静かに佇む。型にとらわれずに、新たな価値を様々な語り口で提案していける空間を目指している。
stoop 公式 HP :
《gallery topso》
topso(トプソ)は世界各国から、1930年~1980年代のデザインを今も製造する海外ブランドのプロダクトをコレクション。それらに調和する日本国内の工芸をプロデュースし製品化、併せて展示・販売を行う。
topso 公式 HP :
企画:関直宏(gallery stoop)、星水月(gallery stoop)
編集:関直宏(gallery stoop)、星水月(gallery stoop)、吉澤志保
協力:川合将人(BUNDLESTUDIO Inc.)、銀座三越
協賛:中里恭宏(Gallery NEO)