Thinkingsが運営する「組織再考ラボ」のフェロー、徳原 靖也 氏に「組織開発・人材育成」についてインタビューを実施しました。
メディアや企業の方向けに取材・講演テーマについても伺っていますので、ぜひご参考いただければ幸いです。
■組織再考ラボ
「企業における組織づくりのあり方について再考し、経営層や人事部門の皆さまに対して有益な情報発信を行う」をミッションに掲げ活動しています。
フェローへの取材、講演、企業コンサルティングなどは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
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「マーケティング×組織開発・人材育成」 徳原 靖也 氏
株式会社pineal 代表取締役社長
Thinkings 組織再考ラボ フェロー
京都大学卒業後、JT(日本たばこ産業株式会社)にてPloom TECHのデジタルマーケティングを統括。マーケティングとDXの知見を活かし、2019年にpinealを創業。独自の「イマーシブデザイン」による没入体験の設計や、マーケティング思考を活用した人材戦略の立案を通じて、組織と個人の持続的な成長を支援している。
■プロフィール
1990年兵庫県生まれ。京都大学総合人間学部卒。新卒でJTへ入社。加熱式たばこ「Ploom TECH」のデジタルマーケティングを統括。全社的なデジタルマーケティングプラットフォームの構築、DXプロジェクトに従事した。2019年に、仕事への没入をデザインする会社「pineal(ピネアル)」を創業。没入できる仕事とその環境をデザインする方法論「Immersive Design」を探求。自社で開発した方法論を、マーケティング支援やリスキリング研修等を起点に、大手から中小・ベンチャー企業へと提供する。
●キャリアの原点となるマーケティングとの出会い
──まずは、ご自身のキャリアを確立されたきっかけについて教えてください。
私のキャリアを振り返ると、JTでの経験とpinealの創業という2つの大きな節目がありました。京都大学で精神分析学を学んだ後、JTでは幹部候補採用プログラム「NLP」の第1期生として入社。電子タバコ「PloomTECH」の立ち上げに初期メンバーとして参画し、マーケティングとデジタルの分野で、戦略設計からオペレーション構築まで専門的なキャリアを築きました。
その後、新しい技術やトレンドにより速やかにキャッチアップしたいという思いから独立。フリーランスを経て、スタートアップから大企業まで幅広い領域でマーケティングやデジタルの専門サービスを提供してきました。現在は、これまでの経験を活かし「仕事への没入体験をデザインする」というコンセプトで、リスキリングサービスを提供しています。
●人事課題を解決するマーケティングの視点とは
──マーケティングの経験は、人事や組織開発にどのように活かせるのでしょうか。
マーケティングの現場では、消費者の「なぜこの商品を買ったのか」という回答が表面的で、実際の購買動機は別のところにあることがよくあります。この現象は組織においても同様です。例えば営業部門に「どんな人材が欲しいか」と聞くと、「売上目標を達成できる人材」という表面的な回答になりがちです。しかし実際の成果は、マーケティングなど他部門による見込み顧客の創出力などが大きく関係しています。
そのため、特定の部門だけでなく、周辺領域も含めて広くヒアリングし、複数の因果関係を明らかにしていく必要があります。営業組織の強化という課題も、見込み顧客の創出機能を高めるなど、異なる角度からのアプローチが有効かもしれません。このように、人事においてもマーケティング思考を活かすことで、より本質的な課題解決が可能になると考えています。
●環境を変えて引き出す、没入体験の可能性
───組織開発についての考え方と、実践されている手法について教えてください。
私は組織開発を「1つのプロジェクトや取り組みが始まり、それが有機的に広がっていく過程を効果的に調整していくこと」だと捉えています。その中で重要なのは、個々人の内発的なモチベーションを高め、新しい挑戦を促す環境づくりです。
私たちはこれを「没入体験」として具現化しています。例えば、ある大手自動車メーカーでの取り組みでは、普段の職場とは全く異なる場所で研修を実施し、業務で使用している自社のアカウントではなく、新しいGoogleアカウントを発行しました。このように物理的な環境と心理的な立場を一新することで、参加者は日常業務の制約や慣習から解放され、より自由な発想や行動が可能になります。実際に、普段であれば躊躇しがちな市場調査や新規事業の提案なども、積極的に取り組めるようになりました。
●人材育成の課題と今後、人事から始める変革への挑戦
──最後に、企業における人材育成の課題と、今後の展望についてお伺いします。
現在の企業における人材育成の課題は、階層別研修やOJTへの過度な依存です。イノベーションが求められる現代において、定型化された研修だけでは、DXやサステナビリティなど、時代が求める新しいスキルの獲得には繋がりにくい状況があります。
この状況を変えるには、まず人事部門自身が新しい学びに挑戦する必要があります。例えばDXを学び自身の業務に活かすなど、人事担当者が実践を通じて変化を体感することで、より効果的な育成施策を立案できるようになります。また、デジタル人材などの専門性の高い人材の確保においても、即戦力の採用だけでなく「既存の人材を育成できないか」という視点を加えることで、より柔軟な解決策が見えてくるはずです。
①人事が持つべきマーケ思考
・部門の表面的な要望を超えて、組織全体の本質的な課題を特定するインタビュー手法
・採用・育成における因果関係の分析と、人材要件の本質を見極めるアプローチ
・マーケティング思考を活用した、部門横断的な人材育成戦略の立案方法
・社員の真のニーズを理解し、エンゲージメント向上につなげる組織分析の進め方
・採用市場のトレンドを読み解き、企業の採用競争力を高めるブランディング戦略
②没入体験のデザイン
・イマーシブデザインとは~環境変化がもたらす行動変容と意識改革の仕組み~
・リスキリング成功の鍵~物理的・精神的な環境デザインによる学習効果の最大化~
・没入体験を活用した人材育成~日常から切り離された空間がもたらす意識改革~
・組織の有機的成長~新規プロジェクトを成功に導く環境デザインの実践手法~
・社員の行動変容を促す仕掛け~アイデンティティの転換による挑戦マインドの醸成~
③部門別採用と育成
・人材戦略の新機軸~採用と育成を統合したホリスティックアプローチの実践~
・DX時代の人材開発~外部採用と内部育成の最適なバランスを見極める~
・階層別研修の限界と打開策~現代に求められる汎用的スキル育成への転換~
・人事部門からはじめる組織変革~専門性を超えた挑戦による成功事例を交えて~
・部門別人材戦略の設計~事業環境と人材特性の変化を踏まえた新時代の人材育成~
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