聴覚障害者の情報保障を拡充するための発明・開発プロジェクトを進めたい!

2024.12.05 04:51
signers(サイナーズ)という会社の起業準備中です。聾・難聴者やそのご家族、手話通訳者など、当事者向けサービスを提供します。「補聴グラス」という、ARグラスに字幕や手話通訳映像を投影する新形態の補聴器の発明と、遠隔手話通訳派遣プラットフォームの開発を進めており、世界中の当事者に提供を目指します。自己紹介
このたびプロジェクトを起案・企画いたしました、北海道小樽市在住の那珂(なか)と申します。わたしは聴者で、妻は聾者です。現在、聴覚障害当事者向けサービスを提供するために「signers(サイナーズ)」という会社の起業準備を進めています。聾者/難聴者・ご家族・手話通訳者・聾学校(聴覚支援学校)など、あらゆる方々が必要とするサービスの提供を目指しています。

解決したい社会課題
1. 聴覚障害についての誤解
現在、日本国内には34万人の重度難聴者を含む、1400万人の難聴者が暮らしています。国民のおよそ10人に1人が聴覚になんらかの障害を抱えているのです。しかし、聴覚障害についてはあまり一般的に知られていません。「耳が聞こえない人は全員手話で会話する」「筆談や字幕を使えば会話内容を正しく伝えることができる」「聴覚に障害があっても補聴器を使えば会話が聞こえるようになる」など、様々な誤解がコミュニケーションの妨げとなることも少なくありません。signersの活動を通じ、多くの方々に聴覚障害について理解していただけたらと願っています。
2. 手話通訳者の不足とそれに伴う課題
手話通訳者の不足も深刻です。公的福祉サービスとして提供されている手話通訳派遣を申請しても、人手が足りないという理由で断られてしまうこともあります。医療や福祉関係の手続きなど、命にかかわる案件は派遣サービスを受けることができますが、文化や教養などは通訳申請が通らないことも少なくありません。そのため聾者の中には、学びの場に参加しても情報を得ることが難しく感じてしまい、積極的に赴くのを諦めてしまう傾向もみられます。
手話通訳の不足に拍車をかけている要因として、資格取得まで数年かかるなど道のりが長くなり手が少なかったり、手話通訳者の高齢化が進み活動を継続できなかったりと、いくつかの理由が挙げられます。その一因となっているのは手話通訳者の待遇の悪さです。手話通訳には高度な専門性が求められるため、手話通訳者は日々の学習や研修など多大な努力を払っていますが、社会的評価が伸びず、給与がかなり低い傾向にあります。そのため、自分自身や家族の生活を守るべく、平日の日中は別の仕事を行い、週末に手話通訳活動をする方も少なくありません。しかし、聾者たちが手話通訳してほしい場面は病院・役所・学校など、平日の日中が圧倒的に多いのです。手話通訳者自身はなかなか声を上げにくいとはいえ、この課題を解決しなければ、手話通訳者不足の問題を抜け出すことは難しいと考えます。
なぜ、必要とされている手話通訳者は給与が低い傾向にあるのでしょうか。かつては専門職としてというよりはボランティアに近い扱いで、現在もボランティア精神を求める風潮が抜け切れていないという見方も少なくありません。また、公的派遣の登録手話通訳者は、基本的には居住する行政エリア内のみでの派遣です。手話通訳者がもっと自由に、さまざまな場所で活動できる機会と選択肢を与えることが、手話通訳者不足の課題解決につながると考えています。

このプロジェクトで実現したいこと
1. 「補聴グラス」の開発  シースルー型のARグラス上に遠隔手話通訳の映像もしくは字幕をリアルタイムで投影する、新形態の補聴デバイスです。一般的な補聴器を使用した場合、とりわけ感音性難聴を患っている方については、クラクションやサイレンなどを聞き取ることはできますが、会話を正確に聞き取るのは難しいのが現状です。そのためサイナーズでは、「『音』は補聴器で、『声』は補聴グラスで聴こう」をコンセプトとし、補聴器とARグラスを組み合わせて活用することで、より正確に、よりわかりやすく情報を得ることができる世界を目指しています。まずは汎用機と連動するアプリケーションを開発し、最終的にはデバイス単体で利用が可能な「補聴グラス」の提供を目指します。また、将来、補聴グラスが福祉機器の認定を受けることで、聴覚障害者ができるだけ金銭的な負担をせずに入手し、日常的に使えるようになればと考えています。
※現在、プロトタイプまで完成しており、これまで700名以上の聴覚障害当事者に体験していただいた上で、フィードバックに応じて改良を重ねています。


2. 遠隔手話通訳派遣プラットフォームの開発と提供  現在、遠隔手話通訳派遣プラットフォーム「signers」の開発を進めています。このプラットフォームはPC・タブレット・スマートフォンでの利用ができ、オンラインで手話通訳の申請から派遣、通訳料のお支払いまでが完結できます。当サービスの特長は下記の通りです。
(1) あなたに合った手話通訳者の自動マッチングサービス
遠隔手話通訳には地域を選ばずにいつでも手話通訳を申請できるというメリットがあります。しかし、全国から手話通訳の申請が届くため、時にはオペレーター(遠隔手話通訳者)が手話方言を理解できず、聞き返しや理解のズレが生じてしまうこともあります。signersでは申請者に対して最適な通訳者を選定することを目的として、手話方言や申請者の年齢・性別、通訳内容などに基づいて自動的にマッチング〜通訳手配を行うための独自のアルゴリズムを実装しています。
(2) 手話通訳者の指名ができる
signersに登録している手話通訳者リストから、ご自身が希望する手話通訳者を指名することができます。各手話通訳者のプロフィール欄には手話での挨拶や自己紹介の動画が掲載されています。動画をご覧いただくことで、ご自身に合った、理解しやすい手話表現をする手話通訳者を事前に確認し、お選びいただけます。

受賞・採択歴
スケジュール
2024年3月   特許出願完了
2025年4月   法人設立
2025年4月   signers説明会・体験会の開催(関東・関西・九州エリアで開催予定。手話通訳付き)
2025年7月   遠隔手話通訳派遣プラットフォームsigners リリース予定

資金の使い道
人件費:100 万円(エンジニアの外部委託費など)
法人設立に要する費用:50 万円

最後に
聴覚障害に限らず、あらゆる課題を解決して、インクルーシブな社会を作り出すということは非常に重要なことです。しかし、新しい技術やサービスに取り組むにはものすごいコストがかかるため、利用者が一部に限定されるサービスである、障害に関連した研究開発には取り組む企業が少ないのが現状です。
でもわたしは、このプロジェクトは世界のあらゆる人々に役立つものになると信じています。
WHOの発表では、2050年までに世界人口の4人に1人が、聴覚になんらかの障害を抱えるようになると言われています。時が過ぎてから改善や対応を考えるようでは遅いのです。
いま聴覚に障害を抱えている方々や、その周りにいる人たちが一緒になって、世界が待ち受けている課題に取り組み、未来の聴覚障害者たちが抱えるはずだった問題を解決した先例となる、こんなに素晴らしいことはなかなか経験できないはずです。
ぜひ、共に取り組む仲間となっていただけたら幸いです。


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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