様々な生成AIシステムの開発・販売を手がけるJAPAN AI株式会社(以下、JAPAN AI)は、東証グロース上場企業である株式会社ジーニー(以下、ジーニー)の戦略的子会社として、2023年4月に設立されました。
代表を務めるジーニー創業者の工藤智昭氏は、生成AIを「今最も注力すべき事業」と位置づけ、組織の拡大およびシステム開発を急速に推し進めています。
本記事では、上場グループのバックグラウンドを持ち、急速な成長を遂げているJAPAN AIの創業経緯やビジョンをお伺いしていきます。
ジーニーの上場過程で見えた景色とDXの限界
…なぜ、上場企業を経営しながら、JAPAN AIを創業したのでしょうか?
工藤氏:
JAPAN AIはジーニーの戦略的グループ企業として設立しました。両企業の存在意義はセットで説明する必要があります。
ジーニーは2010年に創業し、アドテクノロジー分野で国内最大規模を獲得するなど、成長を続け東証グロース市場へ上場することができました。その過程で、多くの日本企業のマーケティング活動が複雑化していることで、費用対効果の悪化や担当者の負担が大きくなり、世界有数のシェアや素晴らしい商品を持つ企業でさえ苦戦している現実を知りました。
こうした日本企業の課題をテクノロジーの力で解決し、より多くの日本企業が活躍できる世界を創りたいという強い思いから、マーケティングやセールスに関わる様々なシステムを一気通貫で開発・提供することで、企業のマーケティング活動の負担を軽減しているのが、今のジーニーの姿およびビジョンです。
JAPAN AIもこの思想の元、すべての日本企業が生成AIの力を享受できる世界を作るために創業しました。ジーニーで培った開発力・技術力・顧客支援のノウハウを惜しむことなく注ぎ込み、あらゆる業界や職種の生産性向上を、生成AIの力で実現していくことを目指しています。
DXの限界と生産年齢人口の減少
…なぜ生産性向上が必要なのでしょうか?
工藤氏:
これから先、生産年齢人口が急激に減少することを考えると、これまでのDXだけでは対応しきれないことは明白だと考えています。
客観的に統計データを見ても、何か抜本的な改革が行われない限り、この状況は改善されないと感じており、ジーニーのマーケティングSaaS事業で高品質な製品開発に尽力する日々でした。
日本が抱える社会課題に対し、生成AIで見出した活路
そのような中、2022年に転機が訪れました。
ChatGPTをはじめとした生成AIの登場を目の当たりにして、「生成AIが日本企業の救世主になる」と確信したのです。
元々私は、大学の頃からAIの研究に携わり、ジーニー各事業の中でもAIの活用を推進していたのですが、まだまだ一般的にAIは受け入れられない現状が続いていました。
その空気が、ChatGPTの登場で激変したのです。
生成AIを活用すれば、調査やアイディア出し、情報の整理・要約など、これまで人間にしかできなかったことも自動化、またはサポートができるようになります。
そうなれば、業務効率化はもちろんのこと、人間はより高度にクリエイティブな仕事に頭と時間を使うことができ、生産性の大きな向上が見込めます。
日本企業の生成AI活用に必要なこととは?
しかし、日本では生成AIが他の先進国と比べ普及していないのが実態です。
私は、日本企業における生成AIのさらなる活用には、三つの側面からのアプローチが不可欠であると考えます。
1つめは「安全性」です。日本企業はガバナンスが整備されているケースが多く、海外の新しい技術に対して慎重にならざるを得ない背景があります。そのため、企業内の関係各位にご納得いただけるサービス提供企業側の信用、情報管理体制、透明性の高い開発環境の整備などが必要となります。
2つめは「技術力」です。日本には独特な商習慣やビジネスプロセスが存在しており、これらに最適化したAIが重要になります。多くの生成AIサービスは海外製のAIモデルをベースとするため、日本語の文字認識精度や、日本人の画像生成が難しいなどの課題があります。これらを解消したり、日本企業ならではのビジネスシーンに最適化したアプリケーションを開発・提供する必要があります。
3つめが「伴走力」です。いくら安全で高性能なツールでも、提供するだけでは普及は進みません。ツールを入れることがゴールになってしまっているケースをよくお見かけします。
ここは、提供元がしっかりとカスタマーサクセスを行い、ツール導入の費用対効果を意識することが欠かせません。
JAPAN AIは、上場グループ企業の水準で安全性に配慮したプロダクト開発を行いつつ、ジーニーの技術力・開発リソースも投下して高品質な製品を提供しながら、無償で専属のサポート担当者をアサインすることで、しっかりと企業様の中に生成AIが浸透するところまで伴走することを心掛けて経営しています。
生成AIの驚くべき進化の早さと、現実味を帯びる日本企業の業務改革
…現在、生成AIの活用に課題を感じている企業様も少なくないですが、国内企業で生成AI活用が浸透するにはどれくらいかかると見ていますか?
工藤氏:
少なくとも、DXの文脈と比較すると、何倍も早いと思います。
生成AIの進化はこれまでのIT市場と比較にならないほど早く、つい1ヶ月前には想像もしなかったことが実現することが日常茶飯事です。
弊社を例に挙げますと、法人向け生成AI活用プラットフォームの「JAPAN AI CHAT」に始まり、マーケティング・セールスのコンテンツ企画〜制作までをサポートする「JAPAN AI SALES & MARKETING」、議事録作成AIツールの「JAPAN AI SPEECH」といった様々な生成AIツールの開発・提供を行って参りましたが、その後に、これらを含めた様々なツールを用いたタスク処理のワークフローの構築・実行までを担う「JAPAN AI AGENT」を開発・提供したことで、生成AI活用の利便性が劇的に向上しました。
「JAPAN AI AGENT」では、従来のAIサービスの技術的限界を超え、ついに「自分でタスクを実行し考えるAI」が日常業務をサポートすることを実現しました。
複雑なプロンプトを用いずとも、日常的に発生する様々なタスクの半自動化が可能になるため、誰でもご自身の仕事を効率化できるようになったのです。
ChatGPTの登場もそうですが、AIは常に非連続な進化を遂げていますので「ある日突然AIが当たり前になった」という日が来ることもあるかもしれませんね。
「人の可能性を広げて、次の世代にいい日本を残したい」
ジーニーとJAPAN AIは、マーケティングと生成AIの力で、あらゆるビジネスシーンを最適化・効率化し、日本企業の生産性を高めていきたいと考えています。
JAPAN AIの事業を推し進めれば、日本企業の生産性が上がるだけでなく、結果としてその中で働く個々人の可能性は大きく広がり、次の世代に少しでも良い日本を残せると考えています。
そのためにも、常にお客様に向き合い、誠実にシステムやサービスを磨き上げてまいります。
ジーニーグループと、JAPAN AIの今後に、ぜひご期待ください。
株式会社ジーニー 代表取締役
兼 JAPAN AI株式会社 代表取締役
工藤 智昭
JAPAN AI AGENT
設定した目標やゴールに対し、AIが自ら思考し、特定のタスクを実行するAIシステム。日常的に発生する様々なタスクを自動化することができます。
※プレスリリース:
JAPAN AI CHAT
最新の言語モデルを使用した法人向け生成AI活用プラットフォームです。通常のLLMとしての利用はもちろん、データ連携と自社開発による高精度のRAGにより、社内データの検索や、社内データを元にした回答生成も可能です。多数のプロンプトテンプレートや、カスタマーサクセスによるサポートも用意しています。
JAPAN AI SPEECH
議事録を自動で生成するAIサービスです。業界用語への対応や話者分離など、議事録として必要な機能はもちろん、文字起こしした文章をAIにより様々な形に要約・編集できる機能を備えています。
JAPAN AI SALES & MARKETING
マーケティング・セールスのコンテンツ企画〜制作までをサポートするAIサービスです。ペルソナ作成、画像作成、記事LP作成、文章のリーガルチェックなど、コンテンツの企画〜制作の様々な場面で発生する業務に対応しています。