この記事をまとめると
■ホンダからクロスオーバーテイストのN-BOX JOYが登場
■ホンダアクセスから専用パーツが多数リリースされている
■ステップバンをモチーフにしたレトロ風がコンセプトだ
注目のオプションパーツを一挙紹介
ホンダの新たなクロスオーバー超背高軽ワゴン「N-BOX JOY」(エヌボックスジョイ)には、内外装とも数多くの純正アクセサリーが用意されている。「アクティブレジャースタイル」と呼ばれる純正アクセサリー装着車に込めたこだわりのポイントについて、N-BOX JOY用純正アクセサリーの開発を指揮した、ホンダアクセスの小林哲也(こばやしてつや)さんに聞いた。
──「アクティブフェイスパッケージ」は、HマークではなくHONDAロゴを用いたフロントグリルがとても個性的ですね。
小林:従来、とくにフロントグリルに関しては、アクセサリーも基本的にHマークを装着していましたが、今回は昨今のアウトドアのトレンドも意識して、よりアウトドアライクに見えるよう、バラ文字を採用しています。
フォグライトに関しては、イエローのものを装着していますが、これは従来からあった仕様で、雪道や寒冷地でのニーズが強いんですね。また、イエローのフォグライトは外観的にも少し懐かしさが感じられるので、そのように仕立てました。
──ボディ側面もレトロ感が強く感じられますね。
小林:オレンジのストライプ(「デカール(サイド&リヤ)」)は、1972年に発売されたライフ・ステップバンを意識しながら、当時の配色を使ったものを新たに設定しています。また、買っていただいた人が気づくくらいのちょっとした遊び心として、車両右側のデカールには波、左側には山のマークを入れています。
白文字のデカールは、「デカールセット」という大きなデカールシートのなかにいろいろな種類のステッカーが入っているものの一部で、お客さんが好きな位置に貼れるようになっています。これもライフ・ステップバンのモチーフやオマージュを入れながら、アウトドアライクな印象にしました。
英語でメッセージが書かれているもの、たとえば「Success in 99% failure.」という言葉は、ホンダの創業者である本田宗一郎さんの言葉ですね。
「フューエルリッドガーニッシュ」は、フロントグリルやフォグライトガーニッシュと同様に、かなりザラザラしたシボを入れることで、レトロテイストを演出しています。
──現行2代目N-ONEにも、初代シティターボをモチーフにしたデカールが設定されていますね。
小林:N-ONEのデカールは装着率も非常に高いのですが、とくに初代シティターボの当時を知る、高い年齢層から支持を得ました。しかし、今回のN-BOX JOYのデカールは、ステップバンをリアルタイムで知っている方はかなりのご年配になり少ないので、レトロさが新鮮に感じる若い層を狙って作っています。
──2024年の東京オートサロンには東京自動車大学校さんがステップバンのカスタムカーを出品していましたが、あのクルマを題材にするということは、いまの若い人に刺さるデザインということですよね。
小林:生産期間も短いモデルなので、クルマがよく残っていたなとは思いましたが(笑)。ホンダアクセスのデザイナー陣の多くは30〜40歳代ですが、ステップバンの存在は当然知っていても実車を見たことはないという人が多いんですね。ですが、そういう人が見ても古きよき新鮮さが感じられるようにしました。今回はターゲット層としても、従来のN-BOXを買わない層を狙っているので、あえてレトロに振っていますね。
──「Life VAN」と書かれたデカールの狙いは?
小林:車名が「ライフ・ステップバン」だったので、そのLifeの書体を使いながら、かつ最近は「VAN LIFE」という言葉が認知されているので、それを踏まえてこのようなロゴを使っています。
──ホイールはあえてスポーティなデザインのものを採用したのでしょうか?
小林:「14インチアルミホイール『MS-024』」はつや消しブラック塗装ですが、アウトドアでも映えるものを……ということで採用していますね。ほかにもホイールのバリエーションはあるんですが、アウトドアにマッチするのはこのホイールだと思います。
車内にも充実のオプションを用意
──内装向け純正アクセサリーの考え方は?
小林:内装に関しては、本機が後席を倒して車内でくつろぐことを提供価値としているなかで、チェック柄の撥水シートを採用していますが、よりハードに使うお客様もいるだろう、せっかくのチェック柄を汚したくないと考えて、ブラックの「カーゴライナー」を設定しました。
──「カーゴライナー」はクッション材を使用しているのでしょうか?
小林:いえ。自転車などを積んだ際に汚れから守ることを想定しています。
──クッション材であれば路面からの衝撃を吸収できるので、カメラマンさんが機材を積むのにもいいと思いましたが……。
小林:クッション材ではありませんが、板を1枚入れることで、通常ならば人が後席裏側の上に座ると、シートフレームにお尻が当たるところ、痛くならないようにしていますね。
──バックドア開口部の上側に装着された、ベージュのチェーンのようなものは……?
小林:「ルーフユーティリティーフック」は、ルーフライニングをボディにクリップで留めている穴を使って、お客さんのガジェットを掛けられるようにしています。
──耐荷重はどのくらいですか?
小林:2kg程度まで掛けることができます。ランプやBluetoothスピーカーを掛けることを想定していますね。
その奥にある「ユーティリティネット」は従来から設定されていますが、ルーフネットとしても使えますし、荷崩れ防止用のネットとしても使えます。また、デッドスペースをうまく使うハンモックモードや、真ん中のファスナー部分で折ったり分割したりして使うモードもあります。
──私は初代フィットに設定されていた6:4分割タイプのものをいまだに使っていますが、とても便利ですよね。
小林:お客さんによって必要なモードがいろいろあると思いますので、状況に応じて使いわけていただきたいと思います。
また、これも従来から設定されているんですが、ルーフコンソールにシェードを付けた「サンシェード内蔵大型ルーフコンソール」は、チェアリングの際など周囲の目が気になる際に、ちょっとしたプライベート空間を作るのに役立ちます。
──シェード付きのルーフコンソールは珍しいですよね。
小林:ルーフコンソール自体は定番ですが、シェード付きのものは、ほかのメーカーさんは出していないと思います。
ルーフコンソールは前側にパイプを通して荷重を受ける構造なんですが、上に手を伸ばして物を出し入れするので、奥にいくらスペースがあっても使わないどころか、かえって邪魔なんですね。物が奥に入りすぎて取りづらくなりますし。ですので奥側のスペースを有効活用して、その部分にロールスクリーンを入れて、なるべく手の届きやすい位置にホルダーを設置しています。
──シートカバーの設定は?
小林:N-BOX JOY向けにはないですね。チェック柄の撥水シートがこのクルマの1番の個性だと思っているので、それをしっかり使っていただきながら、荷室の汚れは気になるというお客さんもいると思いますので、「カーゴライナー」だけは設定しています。
──N-BOX JOYは素の状態がツルッとしているので、カスタマイズしがいがありそうですね。そういう意味では純正アクセサリーを広く展開しやすいと感じましたが。
小林:かなり初期から本機の開発と連携しながら、N-BOX JOYの個性や世界観をより強めたいというお客さんに向けて商品展開する方向性で考えました。プレーンでいじりたくなるクルマと、そのための道具を準備しています。
──今後、モデルライフが進んでいったら、無地のシートカバーや完全無塗装のバンパー、標準装備のものよりも面積が広い無塗装サイドガーニッシュなどがあってもいいですよね。
小林:シートカバーに関しては、市場の声を聞きながら、そういう要望が多ければ展開していきたいですね。また、よりタフに見せる仕掛けは、いくつかアイディアがあるので、それが実現できればいいですね。
──昔のホンダ車、とくに2代目ステップワゴンや2代目クロスロードを、全面ブラックのバンパーにし、ボディもアースカラーに全塗装したカスタムカーを近頃よく見ます。
小林:エレメント風ですよね。
──そうです、そうです。
小林:たしかにそれはピッタリですね。
──いかようにでもカスタマイズできると思いますので、ホンダアクセスさんからもそういうバリエーションが追加されるといいですね。
小林:先々のクルマの育て方を踏まえながら、検討しがいのあるモデルにはなっていると思います。
──今後の展開を楽しみにしています。ありがとうございました!