「安さだけが取り柄」のように言われてきた「鉄ちんホイール」を見直すときがきたか! いま「スチール+ホイールキャップ」でキメるクルマがじわりキテる!!

2024.10.11 11:40
この記事をまとめると
■スチールホイールにはホイールキャップと呼ばれるパーツがついていることが多い
■商用車以外ではスチールホイールがむき出しになっているクルマは少ない
■メーカーによってはスチールホイールをオシャレに見せる工夫も取り入れている
ホイールキャップの役割とは
  ファッションにこだわる人のなかには「おしゃれの基本は足もとから」といったこだわりをもっている方も少なくないようですが、クルマにとっても足もとは重要です。そうです、ホイールはクルマの第一印象を大きく左右します。人間にとっての足もとを彩るのが靴であるように、クルマの場合はホイールがおしゃれ度を左右するアイテムとなります。
  おしゃれなホイールといえば、意匠の自由度が高いアルミ製が定番といえるでしょう。また、ホイール径が大きいほどカッコいいというのも多くのユーザーがもっている共通認識ではないでしょうか。そのため、最近の乗用車では、アルミホイールを標準装備しているケースがかなり多くなっていますし、上級グレードになると大径ホイールとなっているのも目立ちます。
  ただし、アルミホイールで、なおかつ大径化というのはコストアップ要因といえます。とくに大径化はタイヤも高くなってしまいがちです。そのためか、廉価グレードになるとラインアップのなかでもホイールが小径で、なおかつスチール製となることが珍しくありません。
  たとえば、日本でもっとも売れているホンダN-BOXのグレード別のホイールを見ていくと、もっともベーシックな標準系は14インチのスチールホイール、スポーティなカスタムの上級グレードは15インチアルミホイールといった具合になっています。
  登録車ではどうなっているのでしょうか。コンパクトカーのスズキ・スイフトの場合も、エントリーグレードは15インチのスチールホイールですが、上級グレードは16インチアルミホイールを履いています。こうしたホイール仕様によるグレード間の差別化は、国産車においては常套手段となっています。
  ただし、ひと目でスチールホイールとわかってしまうのは商品性をスポイルしてしまうということも、自動車メーカーの共通認識となっているようです。そのため、N-BOX、スイフトいずれのケースでもスチールホイールには樹脂製のフルホイールキャップが装着されるなど足もとに気を遣っています。
  スチールホイールを隠すフルサイズのホイールキャップは乗用車であれば、もはやマストといえる状況になっています。さすがに、乗用タイプとしてもっとも廉価なダイハツ・ミライースは99万2200円のエントリーグレードではスチールホイールがむき出しとなっていますが、ひとつ上の100万円を超えるグレードになるとフルホイールキャップを装着しているほどです。おそらく、商用車以外ではホイールキャップの装着されていない状態を街で見かけることはほとんどないはずです。
ホイールキャップの採用は商品力を追求した結果
  とはいえ、スチールホイールに装着されるフルホイールキャップにはスタイリング向上以外のメリットが感じづらいのも事実でしょう。整備やタイヤ交換時にホイールを外す際にはキャップを脱着するという手間は増えますし、そもそもキャップはバネの力でハメ込んでいるだけのケースが多く、極まれにですが走行中に外れてしまうこともあります。
  しかも、ほとんどの場合で、スチールホイール用フルホイールキャップにドレスアップ以外の機能はありません。アルミホイールに追加する樹脂製キャップのなかには、空力性能を向上させることを狙ったデザインになっていることもありますが、スチールホイール用キャップは意匠性能がメインといえます。キャップ装着により車輪中央にあるハブまわりの保護機能があるのも事実ですが、そのためだけであれば、中央部分だけをカバーするキャップで十分であり、あえてホイール全体を覆う形状にする必要はないともいえます。
  結局のところ、カッコよく見せることが乗用車においては重要で、最低でもホイールキャップを装着することをマーケットが求めているのが現状といえるでしょう。というわけで、高級車や上級グレードにはアルミホイール、廉価モデルやエントリーグレードにはスチールホイール+フルホイールキャップというのが日本車における足もとのお決まりといえるのですが、そうした状況に変化が起きつつあります。
  さきほど、N-BOXのホイールについて触れましたが、新たに登場したアウトドアテイストのJOY(ジョイ)については、14インチのスチールホイールとなっています。しかし、ホイールを塗装した上で、ハーフキャップやホイールリングをアドオンすることにより、スチールの素材感を活かした「おしゃれな足もと」を実現しています。この手法は、N-BOX JOYで初採用したものではなく、何年も前からNシリーズではおなじみだったのですが、その認知度が一気に上がっているのを感じます。
  他メーカーでも、スズキの軽SUVハスラーのエントリーグレードは、ホワイトやガンメタに塗られたスチールホイールを履いています。こちらもスチールの素材感がもつタフネス表現を、スタイリングの要素として上手に利用している好例といえるでしょう。
  あまり知られていないことながら、一般論として小径ホイールになるほどアルミ製よりスチール製のほうが軽量にできるという機能的なメリットがあったりもします。はたしてスチールホイールが再評価され、トレンドの中心になることはあるのでしょうか。

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