この記事をまとめると
■モデューロは2024年で生誕から30周年を迎える
■9月29日にホンダウェルカムプラザにてスペシャルトークショーを開催した
■10月29日には富士スピードウェイでホイールの体験試乗会も開催される
モデューロは2024年で生誕30周年!
2024年はとにかくモータースポーツ分野がアツい。それはなぜか?
まず、JGTCから続くスーパーGTは2024年で30周年を迎えた。トヨタのワークスとして活躍するトムスは50周年、日産ワークスのNISMOは40周年と、2024年はとにかくクルマにとってありがたい年なのだ。さらに、ホンダの純正アクセサリー類を手がけるモデューロも、2024年で30周年を迎えるというのだから、クルマ好きにとってはたまらないはず。
そんなモデューロ30周年を記念して、9月29日に本田技研工業本社ビル1Fにあるホンダウェルカムプラザにて、「Modulo 30th Anniversaryスペシャルトークショー」が開催された。
会場内には、S660モデューロXや、惜しくも販売中止となった現行型ヴェゼルをベースとしたヴェゼル モデューロX、シェブロン形状を採用したことで話題となった、ホンダアクセス謹製の新型リヤスポイラーを装備したシビックRS、個人的な嗜好もあり、イベントなどで数々のシビックを見てきた筆者でさえ見た記憶がない、超レア(!?)なモデューロのフロントバンパーやリヤスポイラーを装備したシビックタイプR(FD2用)が屋内に展示されていたほか、プラザの外には専用アクセサリーを装備したS2000やNSXまでもが展示されており、往来する人の目が釘付けとなっていた。
メインイベントとなるトークショーには、日本が世界に誇るスーパースターである土屋圭市氏のほか、モデューロ=実効空力を根付けさせたファンにはお馴染み、ホンダアクセスOBの元モデューロ開発統括を務めた福田正剛氏、シェブロンを採用し話題となったシビック用リヤスポイラーの開発プロジェクトリーダーを務めた山崎純平氏が登壇。司会はモータースポーツシーンでお馴染みのピエール北川氏、モータージャーナリストのまるも亜希子氏といった豪華な顔ぶれでスタートした。
会場は、開始前から多くの人がすでに席を確保しておりほぼ満員(しかも入場料無料!)。トークショーが始まると会場内が、席に座れない人も含めて多くの人で埋め尽くされたのが印象的であった。
トークショーではまず、モデューロブランドについてのおさらいからスタート。
「ブランドのスタートは1994年に販売したホイールで、その後ホンダ車にかかわるあらゆるパーツを手がけてきている経緯があります。いまでこそ実効空力なんていわれている空気に対する挑戦も、じつは1996年の5代目プレリュードや1999年のS2000のオプションカタログのなかですでに触れられており、実際製品に反映させていた。モデューロは実効空力なんて単語を使う遥か前から空力を意識していたんですね」と、当時の資料とともに解説。
その後、「モデューロがどれだけ製品開発にこだわっているか」、「実効空力とは何か」などなど、製品開発にかかわる裏話などを次々と暴露。
土屋氏は、「俺は2008年の3代目シビックタイプRからモデューロの製品開発にかかわっていて、モデューロをTRDやNISMOみたいなワークス並みの水準にもっていきたかったんだよね。それと当時は、技術者(開発ドライバー)の顔が見えるクルマが多くてね。だからそれらと同じように、”ホンダらしい”といわれるようなクルマを俺は作りたかった。で、やりすぎた結果、ホンダが作ったタイプRよりいい足になって怒られちゃったんだけどね……笑。しかも当時のスーパー耐久で、アクセスパーツを使ったクルマが十勝24時間で優勝しちゃってさ。けど、そんなこだわりを反映して、積極的に製品化してくれるホンダアクセスはまさに職人集団だよ」とモデューロとの思い出を語った。
福田氏は「モデューロの製品開発をしていく過程で、土屋さんと一緒に仕事をするようになったんですが、失礼ながら当時は『土屋圭市? 名前は知ってるけどどんな人だよ』くらいの認識でした。ただ、一緒に仕事していくにつれて、この人は凄いな……と感じるようになりましたね。クルマ関係の開発は数字で語る人が多い世界なんですが、モデューロは乗ってから語る現場主義を貫いてます。バランスを極めるのがホンダのクルマたちなんです。それらを実現するために土屋さんの存在は欠かせませんね」と当時を振り返った。
開発秘話に会場大ウケ!
ちなみに土屋氏、モデューロXを含む製品開発のときはあえて実力は出さずにニュートラルな状態で走るという。さまざまな人が乗る乗用車において、プロの実力ありきで最初から製品開発をすると、誰も操れない次元のクルマになってしまうからだそう。実力を発揮して本気でテストするのは完成版になってからだとのこと。
土屋氏は、「ホンダはさ。社内規定で社員がテストコースで出していい速度が決まってるんだよ。けど、俺らみたいな外部の派遣はもっと速い速度とかで走ってテストさせられたりするんだよ! 酷い話だよ(笑)。けど、そんなことをして作られたのがモデューロXやオプションパーツたちなんで、製品のクオリティは利益度外視。間違いなくいいものだよ」と、ジョーク混じり(!?)な裏話で会場は笑いに包まれた。
シェブロン形状を採用した話題のシビック用新型リヤスポイラーを開発した山崎氏は、筋金入りのホンダファンかつ技術屋。学生時代はホンダ学園で過ごし、そのままホンダアクセスで製品開発をするまでになった人だ。
山崎氏は、「シビックのスポイラー(旧タイプ)は、3人にひとりの人がつけているほどの鉄板パーツです。そこで今回のスポイラーは、『俺はホンダアクセスのスポイラーをつけているんだぞ』と誇れるような製品になるようこだわりました。タイプRとRSでは、フロア形状やボディの空力も違うので、RSの走りに適合するように煮詰めてます。また、そのために僕自身も運転技術を磨いて、より高いクオティの製品を作れるよう務めました。車酔いを低減できるほどクルマが安定するので期待してください!」と熱い想いを会場に届けた。
ちなみにこのスポイラー、なんといままでの旧モデルをもっていたユーザーへの配慮もされており、じつはスポイラー本体を外してそのまま新モデルをポン付けできる配慮がされているのだ。10月末までの限定受注だが、スポイラー本体のみ(ステーなし)という、従来のユーザーへ向けたスペシャルパッケージも用意されているので、現オーナーはチェックしてみてほしい。
トークショーの最後には、土屋氏のサインが入ったオリジナルグッズ争奪戦のジャンケン大会やサイン会も開催され、会場は大盛り上がり。列がいつ途切れるのかわからないほどの盛況っぷりだ。ファンとの交流も欠かさないのが、世界中で多くのファンをもつ土屋スタイルでもある。
最後に3名に、思い出に残っているモデューロXについて聞いてみた。
山崎氏は、「僕は惜しくも販売されなかったヴェゼルモデューロXですね。クルマの乗り味というものがわかってきたときにかかわった思い出のクルマなので、残念でした。今後、もし機会があればタイプRとかもアクセス流に調律してみたいですね」
福田氏は「僕はS660ですかね。スポーツカーなのに何故やるのか? という疑問も社内で出ましたが、その方がやり甲斐があるじゃないですか。結果、かなりいいクルマに仕上がりましたね。もう僕は定年でアクセスを離れていますが、チャンスがあればセダンとかもやりたかったですね。あとは山崎に任せます!(笑)」
土屋氏は「俺もS660だね。素性がいいからもっといいクルマに作り上げる自信もあったし、実際そのとおりになった。製品化に1年半かかったけどあれはやり甲斐あったなぁ。もしチャンスがあればTRDやNISMOみたいに足もそうだけどパワー面にも手を出したいかも」と、それぞれ思い出を語ってくれた。
なお、ホンダアクセスでは、実効空力デバイスのほかにヴェゼル用のオプションホイール、”しなるホイール”として話題の、「MS-050」という製品をラインアップしている。ホイールがしなるなんてピンとこないかもしれないが、「タイヤを変えたんじゃないか?」と疑いたくなるほど乗り心地がいい方向に変わる、脅威の性能をもっている。
そんな不思議なホイールを比較体感できるイベントを、2024年10月27日(日)に富士スピードウェイで行われる「オートメッセリアル✕ジャパントラックショーin 富士スピードウェイ2024」のホンダアクセスブースにて開催することも決定した。
ホンダアクセスブースの場所は富士スピードウェイのAパドックで、11:00から行われるホンダアクセスブース内でのトークショーの最後にアルミホイールの比較試乗者を決める抽選会を実施する予定だ。
同ブースでは開発に携わった土屋圭市氏も訪れるので要チェック!
【オートメッセリアル×ジャパントラックショーin 富士スピードウェイ2024】 開催概要
・開催日:2024年10月27日(日)9:00~16:00(一部コンテンツは17:00まで)
・駐車料金:普通自動車3000円/二輪車が1000円/大型車が4000円
・入場:無料
・会場:富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町中日向694)