タイヤはわかる! エンジンもなんとなくわかる! なんとボディもシャシーも消耗品だった

2024.10.04 10:00
この記事をまとめると
■クルマは消耗品の塊であり走行距離に応じてヤレてくる部分やヘタる部分が出てくる
■ヤレたりヘタったりする部分のなかには消耗品だと思われていないものも多い
■ボディやシャシーなども走行距離に応じて確実にヤレる
クルマの消耗品はエンジンオイルなどの油脂類だけではない
  クルマは消耗品の塊で、一台分のパーツ、約3万点のすべてが、ラインオフした瞬間から消耗、劣化をはじめる。よって、どんなに丁寧に扱って定期点検、整備を怠らなかったとしても、走行距離が延びるにしたがって、各部が疲労しヘタっていくことは避けられない。
  そうした走行距離に応じてヤレてくる部分、ヘタる部分のうち、あまり消耗品だと思われていないものをここではピックアップしてみよう。
■エンジン
  エンジンは使っているうちにピストンリングやバルブまわりの気密性が落ちてきて、圧縮圧力(コンプレッション)が低下してくる。これが一番わかりやすいエンジンのへたり。
  メーカーの整備要領書には、各エンジンの圧縮圧力規格値が記されている。たとえば第二世代GT-RのRB26DETTは、 標準値:12.0kg/c㎡-300rpm、限度値: 9.0kg/c㎡-300rpm、各気筒間差限度値:1.00kg/c㎡-300rpmとなっていて、コンプレッションを測定し、限度値の9.0kg/c㎡以下だとすれば、そのエンジンはヘタりきっているので、オーバーホールのタイミング。また、各気筒間差が1.00kg/c㎡以上であったとしてもオーバーホールが必要だ。さらに、圧縮圧力ではわからないが、メタル類の摩耗もエンジンのヤレに直結する。
  圧縮圧力が抜けているエンジンは、当然、パワーも出ないしパンチもない。寿命を延ばすにはこまめに乗ることと、エンジンのストレスを吸収できる唯一の消耗品、オイルに気を配って、定期的に良質なオイルに交換すること。
■ミッション
  トランスミッションも距離によってヤレてくる。MT車であればシンクロナイザーリングが消耗し、シフトチェンジの際、ギヤが鳴いたり、ギヤの入りが渋くなったりする。ATであれば変速ショックが大きくなったり、変速時にタイムラグが出てきたり、クラッチだって滑りはじめる。
  これらの症状が出てきたら、オーバーホールかリビルト品に交換だ。
  ミッションも長もちさせるには、いいオイルを定期的に交換することと、MTであれば丁寧なシフトワークを心がけるしかない。
■シート
  シートのウレタンも長く乗っているとヘタってくる。ベーシックカーのウレタンフォームなどは、5年で完全にヘタってしまう。こうなると乗っていて腰は痛くなるし、長距離運転で疲れるし、いいことなんかひとつもない。騙されたと思って、レカロなどのいいシートに交換すると、快適性が一変し、走りがグッとよくなるのでおすすめだ。
■ダンパー
  走りに影響するという意味では、ダンパーのへたりは非常に重要。ダンパーが寿命を迎えることを「ダンパーが抜ける」というが、本当にダンパーのオイルが抜けてしまうのはけっこうまれ。実際はダンパー内部のオイルが熱で劣化し、粘性特性の低下が原因。
  賞味期限は街乗りオンリーでも3万kmぐらい。走っていてフワフワ感が増してきたらダンパーの交換、もしくはビルシュタインなどのオーバーホール可能なダンパーなら、オーバーホールを検討しよう。
走行距離に応じてクルマの各所にはダメージが蓄積する
■ブレーキキャリパー
  ブレーキキャリパーも距離によってへたってきて、だんだんピストンの動きが悪くなり、最後は固着してしまう。そうなる前に4~5年に一度、つまり車検2回ごとに1度はオーバーホールをするのが理想。
  サーキットなどをガンガン走っている人だと、キャリパー自体が開いてくるケースもあって、こうなるとオーバーホールでは済まなくなり、キャリパーのAssy交換が必要になる。
■ボディ・シャシー・ブッシュ
  そのほか、ボディ全体もバネだとすれば、やがてボディもヤレてくる。
  グループAレースのころ、どんなにセッティングをいじってもハンドリングが決まらないマシンがあり、そのマシンでホワイトボディをそっくり交換したら、ハンドリングの問題が一気に解決したという例があるので、ボディも走行距離でヘタってくるのは間違いない。
  もっとも、レーシングカー以外でホワイトボディを交換するなどということは現実的にあり得ないので、ボディにはなるべくストレスをかけたくない。市販車にはそのための工夫が凝らされていて、ボディがヘタる前にブッシュがヘタり、モノコックが痛む前にサブフレームがヘタるようになっている。
  したがって、ブッシュ類の多いクルマほどボディへのダメージは少なく、ブッシュを交換するだけでかなりシャキッとした走りを取り戻すことが可能。
  同様に、サブフレームのメンバーブッシュやテンションロッドなど、大きなブッシュを交換するのもリフレッシュ効果として大きいし、サブフレームごと新品に交換すればもっと元気を取り戻す。
  また、ボディに関してはウェザーストリップを交換すると、風切り音が減って新車感が戻ってくるし、パワートレイン系のゴムマウントの交換も剛性感復活に効果大。
  細かいところでは、ドアストライカーを新品にし、調整し直すのもリフレッシュになる。
■タイヤ
  最後にタイヤ。タイヤが消耗品なのはよく知られているが、山がたっぷり残っていたとしても、新品から1年も履いたタイヤは、フレッシュタイヤに比べるとコシも張りもグリップ感もかなり劣る。
  一度熱が入ったタイヤは、どんどん劣化が進むので、タイヤはできるだけ鮮度のいいものを履き続けたい。理想をいえば、山の有無にかかわらず、3~4年で交換するのがベストだ。

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