【試乗】復活の「RS」は6速MTのみ! 公道で乗ったシビックRSは楽しいけれど「MTならではのよさ」がちょっと足りず!!

2024.10.30 07:00
この記事をまとめると
■シビックに新グレード「RS」が加わった
■「RS」は6速MTのみの設定だ
■試乗インプレッションをお届けする
6速MTのシビック「RS」が登場!
  こういうのがほしかった!
  操る楽しみ、それが得られる本格的スポーツのためのMTに若いヒトも注目する。
  シビックのマイチェンで加わったロードスポーツを意味するRSの赤バッジ。純粋に6速MTで操るスポーツモデルとして誕生して、しかも6速MTのみの設定と潔い。
  従来のガソリンモデルLX、EXにあった6速MTは廃止され、RSはエンジン本体そのものに変更はないが、制御系とフライホイールの軽量化とレブマッチシステム(自動回転合わせ)を加えて回転落ちとレスポンスの向上を果たし、6速MTの操作性と扱いやすさ、スポーツドライブにレブマッチが貢献する。
  ちなみに販売計画は500台/月であり、マイチェン後の受注は、発売1カ月となる10月20日時点で3000台に達し、シビック全体の約7割をRSが占め、購入層は20代と若返りを果たす。e:HEVは50代と往年のシビック世代が戻ってきた。
  タイプRはもちろん憧れの存在だが、パワフルなFWDに大柄なボディにサスにタイヤに、手に余る感もあるのだろう。同時に500万円の大台となると、さすがに手を出し難い。
  とはいえRSは420万円もする。398万円に抑えてくれたらと、ディーラーのセールス担当者は、メーカーにひとこといいたいであろう。
  それでも人気なのは、MTの愉しさがeスポーツ等で再認識されていることか。手先、足技、いまの日本人はゲームで鍛えられた器用さが武器なのかもしれない。新たな機械をカンタンに克服するように、クルマも楽ちんなだけではつまらない、と考えているように思う。
  さて、タイプRを引き合いに出したが、ワイドボディにエアロ武装で、あそこまで派手なのはどうも行き過ぎ!? というシンプル派に、標準ボディのRSは魅力的。
  見た目はバンパースポイラーに開くエア取り入れ口の幅広さ、下半身をホイール含めてブラックにすることによる見た目の引き締まった印象がスポーツ性を強調する。
操作に対する動きに遅れがない
  現行シビックは、まずガソリン車からスタートした。そこに6速MTモデルが用意されていたことに驚きと嬉しさが同居。
  しかし、せっかくのMT操作をエンジン回転落ちの悪さがネガとしてアシを引っ張る。加速してシフトするために、クラッチペダルを踏むと同時にアクセルは全閉にしつつシフトレバーを操作。変速してクラッチミートするタイミングでもまだエンジン回転は落ち切っておらず、半端な回転のままで次のギヤとクラッチミートしに行くから、妙なギクシャク感が起こった。
  まるでMT操作初心者が操るMT走行のような不快な前後G。せっかくのMTの魅力を半減させる。
  従来のエンジン回転落ちの悪さは当然開発陣もわかっている。RSでは、アクセルOFFの燃料カットのタイミングとフライホイール軽量化により対策した。
  それでどうなったか。エンジン回転落ちは早くなり、アクセル、クラッチ、変速のつながりが断然自然でよくなった。いえばこの一連の操作は、腕達者が行えば変速のギクシャク感やショックもなく、シームレスにMTを操作する感触が醍醐味のひとつともいえる。
「試乗した皆さんが笑顔で降りて来る」との開発者の弁。箱根や伊豆のワインディングで走行すれば、そうなることは容易に想像できる。
  しかし、今回の試乗は一般公道から首都高速だ。そこでどうかというと、まず乗り味が洗練された。硬さを想像していたというか、ある意味期待していたのだが、ダンピングがわずかなストロークと同時に減衰するダンパーが、硬さではないボディの前後左右、つまりピッチングやロールを抑えるから、クルマ全体の動きの質感がよくなった印象。
  操作に対する動きに遅れがない。シャープとか、クイックという表現ではなく、操作に正確。これが個人的にクルマに求め、評価するために重要な点で、その意味でRSは高評価が与えられる。
  ドライブモードが選択できるようになったが、スポーツはじゃじゃ馬モードと個人的に命名。通常は標準かエコで十分だ。
  市街地の渋滞走行ではまったく気にならなかったが、流れに乗ってから、とか首都高速など車速が上がった状態でのアクセルオフで、減速感がいまいちだと感じた。空走感ともいえるが、たとえば4速から3速にシフトダウンすると、回転が上がるだけでエンジンブレーキが利きにくい現象を確認。
  せっかくのMTなのに、ひとつのギヤポジションで加減速のメリハリ感に乏しい、そんな印象もある。それを担当者に問うと、環境対応エンジンでもあるため抵抗感が少ないエンジン特性も関係する。という回答を得た。
  クラッチペダルの反力に対してアクセルの操作感が軽いため、踏み過ぎてしまい、一連のクラッチミート操作をして行くリズムがとりづらい。ちょっと急かされた気分でもある。
  満面の笑顔、にはならなかったが、かつてのテンロク(1.6リッタースポーツ)時代を彷彿とさせる各メーカーにスポーツMTモデルが復活した時代の流れが愉しい。
  同時に試乗した e:HEVのほうは車重で100kg以上重いにもかかわらず、エンジン排気量が作り出す電力量とモーターの瞬発トルクが軽々と加速させる勢いに、もうひとつのスポーツ性が見られる。
  前走車追従の際のゼロスタートの出遅れ感。前走車減速のタイミング、レスポンスがより緻密に洗練されたADAS含む制御の進化、深化も注目に値する。
  RSというグレードは意味、内容を統一してホンダ全モデルにあっていいと思った。

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