中古車サイトの普及、供給量のひっ迫や販売価格の高騰など、変化する中古車市場のCS実態に迫る。メーカーやリサーチ業界で経験を積んだリサーチャーの中古車販売CS調査立ち上げストーリー

2024.10.01 14:00
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。1968年の設立以来、50年以上に渡って、自動車業界をはじめ様々な業界の企業に、業界インテリジェンスや消費者インサイト、アドバイザリー、ソリューションを提供しています。
このストーリーでは、J.D. パワーが刷新し今年実施する中古車販売の顧客満足度調査について、プロジェクトリーダーである原 麻衣子に話を聞きました。
―原さんのこれまでのキャリアとJ.D. パワーでの担当業務について教えていただけますか。
日産自動車の生産管理部に新卒で入社し、その後インテル、ニコン(在シンガポール)で企画職を担当しました。メーカー企画職時代に業務の一つとして担った市場調査の面白さに目覚め、リサーチ業界に足を踏み入れました。矢野経済研究所、デロイトトーマツで自動車ユニットのリサーチャーを経験後、昨年J.D. パワーに入社しました。
J.D. パワーでは、自動車リテール分野における新規調査の開発から実査・分析・レポート作成と新規顧客開拓までを担っています。


―入社前と入社後のJ.D. パワーの印象について教えてください。
米国の大学院でマーケティングを専攻していた時、広告戦略の教科書に事業会社が自社の企業信用力や商品の魅力度をアピールするためにJ.D. パワーの調査結果を広告に掲載する事例が載っていたので、学生時代からJ.D. パワーのことは知っていました。また、現地のテレビコマーシャルでも自動車メーカーがJ.D. パワーの顧客満足度No.1を盛んに謳っていたので、「顧客満足度の調査会社」というイメージを持っていました。現在では事業を拡大させ、特に米国では、全米のディーラーのPOSデータからオークションでの業販データまでを販売する自動車の総合プラットフォーマーとして大きく進化しつつあることを、昨年J.D. パワーに入社して知りました。


―この度、中古車販売のCS(顧客満足度)調査を発足させると伺いました。その経緯や思いについてお聞かせください。
ここ数年、新車供給が滞る状況が続いたことにより、買い替え時の下取りと買い取りを発生源とする中古車の供給量も少なからず逼迫しつつあります。その結果、中古車の取引価格は高値推移し、以前に比べ、中古車購入の手軽さは薄れています。
一方で、中古車情報サイト等を通じて、一般消費者が以前よりも簡単に情報を得られるようになり、かつて買い手と売り手の間に大きく存在した情報量のギャップは縮小傾向にあると思います。市況が高値水準にありながらも、消費者一人一人の個々人の価値基準に見合った中古車を見つけやすい環境は整いつつあると思います。
そんな状況の中、昨年、中古車販売店による不正が発覚し、世の中が中古車業界を見る目が厳しくなり、購入者からも中古車販売事業者からも戸惑いの声が多く聞かれました。 
中古車は人々の日常に必要不可欠な移動手段のツール、生活用品としての側面が新車よりも強く、重要な生活インフラの一つです。中古車市場が抱える課題や変化を目の当たりにし、あらゆる消費者が安心して中古車選びや中古車購入ができる手助けをしたい、顧客のニーズや購入行動に関する情報を中古車市場に届けて業界全体の顧客満足度の底上げを図りたいとの思いを募らせていました。新車販売におけるCS調査を長年実施してきたJ.D. パワーだからこそ、この状況下で中古車販売のCS調査を実施することの意義は大きいと感じ、中古車販売のCS調査を立ち上げることとなりました。
―調査の概要を教えてください。
は、1年以内に国内で中古車を購入した消費者の販売店での体験を様々な角度から評価する調査です。中古車販売事業を展開する会社ブランド別に調査結果を分析し、ブランド単位で総合満足度スコアを算出し、ブランド別の顧客満足度ランキングを発表します。また、消費者が各ブランドに対して、どこを高く評価しているか、或いは不満を感じているかを詳らかにします。
中古車情報サイトでは沢山の情報が溢れ、販売店に対する利用者レビューなども簡単に閲覧できるようになりましたが、中には偏った意見やごく少数派の信ぴょう性に欠けるコメントがあることも事実です。J.D. パワー中古車販売顧客満足度(UVSSI)調査℠は、J.D. パワーが独立した調査機関として実施する公平性、信ぴょう性が担保された定量調査で、3,900人からのアンケート回答を元に、独自の調査手法を用いて収集分析し、顧客の声を取りまとめるものです。業界を横断的に調査するベンチマーク調査で、中古車販売事業を展開する各社の強みや弱みなどを多方面から分析し、各社のCS水準や業界でのポジショニング、分野別の強み/弱みを明らかにします。
中古車販売事業を展開する各社のCS改善指標としていただくことに主眼をおいていますが、中古車購入予定のある消費者にとっても、販売会社の特徴を知り、中古車販売会社選びの指標や良い購入体験に活かしていただきたいと思っています。また、各社が自身の改善策に取り組むことで、最終的に、中古車販売業界全体のCSの底上げにもつながると確信しています。調査結果は今年10月に結果を発表予定です。ぜひご期待ください。
■J.D. パワー中古車販売顧客満足度(UVSSI)調査SMの詳細は
―今後の展望を教えてください。
現在、中古車販売事業を展開する各社を訪問していますが、販売における悩みごとや相談ごとを多くお聞きします。彼らの課題の解決策となるような他の調査も展開していきたいと感じますし、個別のご相談にもどんどん対応していきたいと感じています。J.D. パワーでは、調査だけでなく、専門のコンサルティングチームを構え、販売店のCS改善や業務効率化、セールスのスキル向上、販売店のオンライン化やEV化に向けた対応など、個別の課題や問題に対応する
を実施しています。コンサルティングチームと協力しながら、調査データ、コンサルティングの両方で中古車販売事業者の皆様をサポートしていけたらと思っています。
EVと自動運転という2大潮流が新車販売市場に大きな変化をもたらしつつありますが、中古車をはじめとするアフター市場は時間差をもってその影響を受け始めると思われます。商材の転換と販売の転換をいかにシンクロさせていくか、その過渡期ならではの調査を発信していきたいと思っています。
■J.D. パワーのコンサルティング、トレーニング、コーチングの詳細は
―中古車販売顧客満足度(UVSSI)調査以外に、今後、原さんがJ.D. パワーで取り組みたいと思っていることなどあれば、教えてください。
自動車のリテール分野の裾野をもう少し広げたいです。例えば、自動車のサブスクを利用する人はまだ少数ですが、電動化と自動化の両方が主流になるころには、少数派ではなくなっているかもしれません。そういった未来の車のカタチや自動車販売の先を見据えた商材開発も進めたいです。 
また、自身のこれまでの経験やスキルを活かして、J.D. パワーの可能性をアジアを中心とした海外にさらに拡大させるために貢献できたらよいなと思っています。

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