この記事をまとめると
■クルマに乗っているとさまざまな人に遭遇する
■高速道路を走っていると迷惑なクルマが意外と多い
■クルマの使い方やルールをいま一度改める必要がある
運転中は意外とストレスが溜まりがち
お若い方はご存じないかもしれないが、筆者がまだ若者だった1980年代は、街なかで「ヘビメタな人」を見かける機会がいまよりも多かった。そして筆者は、ヘビメタな人のファッションセンスがまったく理解できなかった。
なかでもとりわけ理解不能だったのが「1970年代のサーファーガール風段付きロングヘアに、ピチピチのジーパンを合わせたヘビメタ男性」だ。
あのスタイルも「白人系の長身脚長イケメン兄さん」がやればなかなかに見られるのだが、いってはなんだが胴長短足大顔である場合が多い我々がやると、かなり悲惨な結果になってしまう。
「それなのに、彼らはなぜアレをやるのか?」
若き日の筆者はそこが理解できなかったし、理解できないばかりか、憎んでもいた。「街なかでいきなりヘンなモノを見せられたくない!」という思いからの憎しみだった。
だが、ある年のある日、憎しみはきれいさっぱり消え失せた。
きっかけは覚えていないが、「とにかく世のなかにはいろいろな人がいる」という、いまでいうダイバーシティ意識のようなものがストンと音を立てて腹に落ち、ヘビメタな人のファッションがまったく気にならなくなったのだ。
人はそれを「成長」と呼ぶのかもしれない。確かに私は成長した。いろいろなことで、むやみには怒らなくなった。
だが、高速道路ではいまも、我ながらどうかと思うぐらい怒り続けている。そこに関してはまったく成長していない。
まずはアレだ、「追い越し車線をいつまでもちんたら走っているドライバー」だ。
いや、筆者も血気盛んだった若者時代などとうの昔に終わっているため、いまさら高速道路をかっ飛ばしたいなどとは毛頭思っていない。だが「(空いているのであれば)快適なペースで快調に走り続けたい」とは思うわけで、そんなとき、追い越し車線に(空いているのに)80km/hとか90km/hで延々と居座り続けるドライバーに遭遇すると、正直怒りを覚える次第だ。
とはいえ実力行使に出るわけにもいかないため、「ゆっくり走るのは勝手だし、俺も比較的ゆっくりめに走っているが、ゆっくり走りてえなら左の車線を走れ!」と(心のなかで)一度絶叫したうえで、そのことは忘れるようにしている。なぜならば、いつまでも怒っていると、今度は自分が事故を起こしてしまうリスクが増すからである。
そのほかでは、「トンネル内でライトを点灯させないドライバー」に遭遇してしまったときも、猛烈な怒りを抑えるのに苦労している。
あれは「大丈夫、俺は見えてるから」という理由でライトを点灯していないのだと推測されるが、トンネル内や夜間のヘッドライトとは、「見るため」と同時に「見られるため」にも点灯させるものであることを、あのうつけどもはわかっていない。これも「うつけが! どこか人里離れたところで自爆してしまえ!」と心のなかで絶叫して忘れるようにはしているのだが、あれは何なんですか? 最近のクルマはヘッドライトOFFのときもメーターパネルがキラキラしてるから、ライト不点灯であることに気づかないんですかね?
あとよくわからないのが、けっこう新しい世代のクルマなのに、トンネル内とかでライトが点いてないやつ。ええと、あの世代だったらヘッドライトはAUTOのはずだから、わざわざOFFってるんすかね? それとも、微妙に2020年4月よりも前に売られたクルマなのかな?(※新保安基準で乗用車新車のオートライト機能の手動によるON・OFF機能がなくなったのは2020年4月から)
クルマの使い方ぐらい覚えろ!
……なんて、怒りのあまり文体が少し変化してしまったが、元に戻したうえで次へ進もう。お次はご存じ「リヤフォグ点けっぱなしマン(またはウーマン)」である。
あれは、基本的には「前後フォグランプのスイッチ位置とヘッドライトのスイッチ位置を混同している未熟なドライバーが、悪意なくリヤフォグを点灯させてしまっている」と信じたい。だがもしも悪意をもって(あるいはキラキラした自分でありたいがために)故意に、晴天時であるにもかかわらずリヤフォグを点灯させているのであれば……一審のみの裁判で極刑にしてしまっていいだろう。
というか疲れるんすよ、リヤフォグ点けっぱなしマン(またはウーマン)が高速道路で前方にいると。
追い抜いちまえばいいんでしょうが、その行動によって自分が速度違反で検挙された日には泣いても泣ききれませんし。つーことで自分はリヤフォグマン(またはウーマン)のリヤフォグの光が自分から見て別のクルマの影に入るよう、自車の位置をこまめに調整したり、あえて速度をグンと落としてリヤフォグ野郎が見えなくなるようにしたりしているのですが、「……なんであんな奴のために、オレがこんな苦労をしなきゃならないんだよ?」とふと我に返ると、かなり疲れるわけですわ。
……また文体が変わってしまったので、戻そう。
NEXCO東日本が行ったアンケート調査によれば、「急な車線変更」「無理な追い越し」というのも高速道路を走るドライバーをかなりイラつかせているようだが、これに関しては、筆者はさほどの怒りは覚えない。
もちろん「まったくイラつかない」といえば嘘になるが、「あーはいはい、運転お上手ですねー。まさかドラテクと反射神経、F1パイロット並みですか? すごいすごーい! ……で、1kmぐらい先で自爆なさるか、白バイさんなどに検挙されることを、心よりお祈り申し上げます」と、心のなかで思うのみである。
運転経験を積んだことで、そういった輩系ドライバーはミラーにちょっと映っただけで「あ、来るな」と予知できるようになったことに加え、まぁ単純に老化したことで、怒りのパワーもみなぎりにくくなったということなのかもしれないが。
そのほかでは、「高速道路で意味もなくブレーキペダルをひんぱんに踏むドライバー」に対してのヘイトも集まっているようだ。しかし、これについても筆者は、前方にその存在を視認した段階で「あぁ、例のタイプのドライバーね」ということで、そのブレーキランプのことはあまり気にしないようにしているため、怒ったりイラついたりということはあまりない。
だが、そうしているうちに今度はそのドライバーが「本当に必要なブレーキ」を踏み、「どうせ例の意味ないやつだろ」などと油断していた当方が突っ込んでしまい、爆死する──などということもあり得るため、なかなか難しい問題ではある。