Better life with upcycle(ベターライフ ウィズ アップサイクル)はアップサイクルをコンセプトにしたブルワリーです。運営母体は創業100周年を迎える老舗ベーカリー。今まで直向きにパンをつくり続けてきたベーカリーがなぜクラフトビールをつくるに至ったのか、パンのミミからクラフトビールができるまでの道のりは…などについてご紹介させていただきます。
毎日400キロ以上切り落とされるパンのミミ。こだわりのパンが運びだされる複雑な感情
運営母体のベーカリーでは学校給食のパンをはじめ企業向けの様々な種類のパンを製造しています。中でもサンドウィッチ用の食パンの需要は多くを占めています。
サンドウィッチ用の食パンはミミの部分を切り落として完成します。毎日トラック一杯分以上のパンのミミが切り落とされているのが現状です。
パンのミミは飼料として必要としてくださる農家さんへ提供していますが、こだわりを持ってつくっているパンのミミが、毎日トラック一杯に積まれて運ばれていくのを見るのはとても複雑な心境でいました。
イギリスの「トーストエール」に学んだパンのアップサイクル。醸造の知識ゼロからスタートした挑戦
そんなときにふと目にしたのが、イギリスでパンのフードロス問題を解決するために設立されたブルワリーの「トーストエール」。廃棄パンからビールをつくることができると知りました。
自社のパンは無添加なので発酵などに作用するような余計な不純物もなく、そんな素材として申し分ないパンのミミが毎日大量に不要となっているのが現状でした。
日本でやるならうちしかない!そんな思いでアップサイクルクラフトビールのプロジェクトは始まりました。
醸造の知識も伝も全くないところからのスタート。まずは数十件のブルワリーに片っ端からメールを送り協力を仰ぎました。断られたり返信もこないこともしばしばでしたが、共感してくださるブルワリーがいくつか見つかり、2022年6月から3社にOEMでビールをつくってもらい販売を開始しました。
「間違っていなかった」上々の反響で自信を深めた瞬間。アップサイクルをコンセプトに掲げた新たなブルワリーの誕生
パンのミミを原料につくられたアップサイクルクラフトビールの反響は上々で、自分たちのものづくりへの思いは間違っていなかったんだと思うととても勇気をもらいました。これは自社でしっかり取り組むべき事業ではないかという思いは次第に強くなり、2024年2月にアップサイクルがコンセプトのブルワリー「Better life with upcycle」をオープンさせました。
プロジェクトには、腕の確かな醸造スタッフやコンセプトに共感して熱意を持ったメンバーが集まりました。
パンとビールに共通する基本原料と製造プロセス。サステナブルで美味しいクラフトビールを追求する取り組み
パンとビールには実は多くの共通点も。パンもビールも基本的な原料は麦、水、酵母。材料だけでなく製造の過程もよく似ています。どちらも丁寧な仕込みや温度管理、素材への理解などが品質や味に大きく影響してきます。
作り手のクリエイティビティが求められるという点でも、とてもシンパシーを感じてしまいます。
パンのミミはモルトの一部(10〜30%)に代替して使用されます。ビールのスタイルによってパンのミミの使用量を調整しています。
アップサイクルに興味を持って声をかけてくださる企業や団体の方も多く、パンのミミを使ったビールを基本としながら他に、摘果した果実を利用したり、家具として利用できなかったヒノキの廃材をフレーバーとして利用したりと、素敵な縁にも恵まれアイディアが尽きることはありません。
アップサイクルをコンセプトにしていても、ビールとして美味しくなければ意味がありません。サスティナブルでありながら、クラフトビール好きにも好まれる美味しく楽しいビール作りをこれからも心がけていきます。
素材の味を存分に味わえるBetter life with upcycleの定番ラインナップ
定番商品は『American Wheat』『Extra Special Bitter』『India Pale Ale』の3種類。それぞれ原料のパン・モルト・ホップが活きるスタイルがチョイスされていて、ブルワーの本気とこだわりが感じられるラインナップです。
American Wheat
口当たりが柔らかい霞のかかった小麦のビール。トロピカルやシトラスを思わせるジューシーなホップフレーバーの中に、穏やかに草やハーバルの風味が感じられます。小麦とオーツ麦によるシルキーな口当たりとクリアな苦みによって絶妙な飲み口に仕上がっています。
原料に最も多くパンのミミを使用している自社の代表ビールです。
Extra Special Bitter
モルトの甘みが強く感じられる銅褐色のビール。モルト由来のカラメルやパンの甘さと、ホップの草や大地を感じさせる香りが心地良い。苦みと炭酸は弱めでマイルドな喉越しのためスルスルと飲めるESBに仕上がっています。
India Pale Ale
トロピカルフルーツやシトラスのアロマが弾けるクリアなIPA。南国のような華やかさとレモンやグレープフルーツを思わせるジューシーさが口いっぱいに広がります。ホップのアロマだけでなく、モルトやパンのミミの存在感とクリアな苦みもありバランスの良い味わいです。
その他に、季節に応じてシーズナル商品やコラボ商品をリリースしています。
詳しくはHPなどをご確認ください。
自社サイト:
(お問い合わせ)
info@upcycle-beer.com