どうやって移動する? 免許や車検は? 積載量400トンなんてものある「怪物ダンプ」の知られざる中身

2024.07.30 20:00
この記事をまとめると
■ダンプカーはさまざまな現場で活躍している
■20トンを超える車両は「重ダンプトラック」と呼ばれる
■「重ダンプトラック」の定義や現場への運び方について解説
20トンを超える「重ダンプトラック」
  土砂などを搭載し、土木建築現場で活躍するダンプカー。荷物を運ぶ大型トラックとはまた一味違う荒々しいイメージがある。平ボディトラックやバンボディトラックなどとは異なり「荷台を傾けて積み荷を一度に降ろすための機械装置を備えたトラック」と定義された車両を指す。一般公道を走っているのは、一般人でもよく知る「普通ダンプトラック」だ。
  しかし、ダンプトラックにはもう1種類、モンスター級の大型車両が存在する。それが「重ダンプトラック」だ。
  わが国では総重量で区別をしており、20トンを超えるものをそう呼んでいるのだが、これは法律の規制が基になっている。道路法には「車両制限」があり、一定の大きさ・重さを超えると公道の走行ができない。道幅・車線幅・トンネル高・陸橋高・鉄道架線高・橋梁荷重などといったものが、これを基準に設計されているからだ。車両総重量の制限は一部を除いて20トンになっていることから、「重ダンプトラック」というカテゴリーがあるという。
  海外では一般に「ホウルトラック」といわれ、その大きさは3階建てのビルほどのものもある。積載重量は100~400トン超のものがほとんどで、日本でもコマツや日立建機などが製造・販売しており、海外メーカーのものも輸入されている。しかし、これらが一般の目に触れることはほとんどない。それでは、いったいどこに活躍の場があるのだろうか。
大規模プロジェクトの建設現場で活躍
  先にも触れたが、「重ダンプトラック」は公道を走れない。すなわち、一般的な土木・建築現場で使用されることがないのである。それではどんなところで使用されているのかというと、そのおもなフィールドはダムや空港といった、広大な敷地で行われる大規模プロジェクトの建設現場なのである。
  こういった場所は閉鎖空間であり、完成後は公道が通ることもあるが、工事の最中は私有地の扱いを受ける。すなわち、道路法・道路交通法・道路運送車両法の適用を受けないわけだ。だから、運転に免許もいらなければ車検もない。工場の機械と同じような扱いを受けることになる。とはいえ、あれだけの大きな機械だから無法状態でよいということにはならない。現場にもよるが、オペレーターは基本的に大型免許を所持しており、メンテナンスは頻繁に行われている。土木・建設現場だけに、やはり「安全第一」なのだ。
  では、公道を走れない「ダンプトラック」は、いったいどうやって現場に運んでいるのであろうか。新幹線車両でも許可をとれば陸送できるのだから、夜中にこそ〜っと運んでいそうに思われがちだが、じつはそういうわけではない。工場や倉庫から部品の状態で現場まで運搬し、そこで専門家が組み立てているのだ。とくに、荷台部分は大きいので分割して運び、現場で溶接しているのだという。工事が終わればその逆で、現場で分解して運び出す。
  ダンプトラックがスゴイのは、すでに自動運転・管制制御などの最新技術が、実用化といえる段階に達していることだ。2024年問題の後押しもあったのだろうが、道路交通法などの適用外で使用環境が制限されているために、最新技術の導入環境が整いやすかったともいえよう。SFの世界ではないが、これからはこういった現場からロボット技術などが、発展・実現してくることになるのかもしれない。

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