家みたいな巨大な車両はタイヤも規格外! ブリヂストンに直系4mの「ORタイヤ」の秘密を聞いてみた

2024.07.15 17:20
この記事をまとめると
■採掘場などで使われる特殊車両には「ORタイヤ」が装着される
■過酷な環境で使われるので構造や使われる素材が特殊だ
■ブリヂストンが製造するがORタイヤを作れる工場は限られている
規格外の巨大タイヤの用途とは
  クルマの足もとを支えているタイヤ。クルマの種類や目的によって大きさはさまざまだが、直径が4mもある大きなタイヤが存在しているのはご存じだろうか?
  それが、建設、鉱山現場などで使用されている車両に装着されているタイヤだ。これは、「ORタイヤ」とも呼ばれるタイヤだが、一般的な乗用車用タイヤとの違いなどはどこにあるのか? 製造しているブリヂストンに話を聞いてみた。
ORタイヤってどんなタイヤ?
  まず簡単に、ORタイヤはどのようなものなのか紹介しよう。これを装着する車両は、ダンプトラックやホイールローダーなどだが、車両重量260トン、積載重量370トンという桁違いに重量級な車両に用いられる。この車両が装着するタイヤには、1本あたり約100トンもの荷重がかかるという。さらに、舗装されていない荒れた路面を走行しなければいけない。
  つまり、ORタイヤは高荷重に耐えるだけではなく、悪路走破性や荒れた路面でも壊れない頑丈さが必要とされるタイヤなのだ。
  大きなタイヤのサイズは種類によって異なるが、400tダンプトラック用だと直径約4m、幅約1.5m、重量はタイヤだけで5.5tにもなるそうだ。
ORタイヤ独自の技術ポイント
  では、乗用車用のタイヤと異なる特徴はどんなところにあるのだろうか?
  まずは構造。トレッド面にあるスチールベルトは乗用車用のものは2層であることがほとんどであるが、ORタイヤでは6層にもなっているものがある。これは高負荷に耐えるためだ。また、骨格を形成するカーカスプライは、乗用車用はポリエステルが現在一般的だが、ORタイヤはより頑丈さを求めてスチールが採用されている。
  そして、外的要因からタイヤが損傷を受けないように(耐カット性)耐摩耗性が優れたコンパウンドやより厚いゴムが採用されている。舗装されていない路面を走行するため、悪路でもトラクションとグリップを得られるタイヤパターンが採用されているのも通常の乗用車用タイヤとは異なるポイントだ。
ORタイヤの生産は特殊で工場が限られる
  先にゴムが厚いと紹介したORタイヤだが、ゴムが厚いので熱がこもりやすいという点がある。これに対応するために、耐熱性に優れたコンパウンドを使用している。一方で、寒冷地での使用にも備えて、低温でも硬くなりにくいことも求められる。耐摩耗性、耐熱性、低温での軟性、ORタイヤのコンパウンドにはさまざまな要素が求められている。
  そのため、ORタイヤの生産は高度な生産技術や大型の特殊設備が必要となり、生産ができる工場は限られている。ブリヂストンの場合、北九州にある下関工場で生産されているとのこと。
  装着する車両や使用状況が異なれば、タイヤに求められる性能も異なってくる。ORタイヤはその最たる例といえるかもしれない。
  鉱山車両というある種、極限の性能が求められる車両だからこそ、装着されるタイヤにもそれ相応の性能が求められるのだ。ORタイヤは高い技術力が無ければ製造できない、スペシャルなタイヤといえるだろう。

あわせて読みたい

社会課題解決のカギ?【プロトコンサルティング】とは
antenna*
第793回:ハイパフォーマンスなのに静かでエコ!? グッドイヤーの新製品「イーグルF1アシメトリック6」を試す[エディターから一言]
webCG
全サイズ欧州タイヤラベリングのウェットグリップ最高評価「A」を獲得!ピレリ、新タイヤ「チントゥラート・オールシーズンSF3」を順次発売!
CARSMEET WEB
“没入型”の新しいダイニング体験「IMMERSIVE DINING」オープン
PR TIMES Topics
表面を何度も張り替えて使うなんて当たり前! 乗用車用をデカくしたものかと思いきや「トラック用タイヤ」はまったく別の性能が込められていた
WEB CARTOP
グッドイヤーからSUV専用タイヤの新製品「アシュアランス マックスガードSUV」が登場
webCG
開店6周年 日本の道具店『日東堂』限定グッズを販売
PR TIMES Topics
トーヨーが冬用タイヤ「オブザーブ ギズ3」を発表 アイスブレーキ性能22%アップ
webCG
市販車に近いパーティーレースとS耐マシンの「ロードスター」を徹底比較! なぜ富士スピードウェイで10秒も違うのか?
WEB CARTOP
愛らしい十五夜セット『月見うさぎ』発売
PR TIMES Topics
BFグッドリッチから、SUV用タイヤ「オールテレーンT/A KO3」新登場!
GO OUT WEB
第796回:トーヨーの最新スタッドレスタイヤ「オブザーブ ギズ3」の実力をひと足先に試す[エディターから一言]
webCG
「Bijou de M ♡ × Afternoon Tea」ピンクとホワイトが基調のアフタヌーンティー
PR TIMES Topics
ミシュランがタフなSUV用タイヤの新製品「BFグッドリッチ・オールテレーンT/A KO3」を発表
webCG
雨の日の運転が不安……だったらまずはタイヤ交換! 雨に強いタイヤは「ラベリング」を見れば誰でもわかる!!
WEB CARTOP
「子どもが主役の貸切宿 Villa Brave」1組貸切の自然体験プランを企画
PR TIMES Topics
【NEW TIRE TEST】トータルパフォーマンスに優れたミシュランの最新タイヤ「ミシュラン・ サステナブル試乗会2024」
CARSMEET WEB
鳥取砂丘なくして月面探査なし!? ブリヂストンの月面車用タイヤ開発が行われる「ルナテラス」とは?
WEB CARTOP
【SPECIAL】“LE LABO” City Exclusive Collection
Lula JAPAN
第799回:話題の「ダンロップ・シンクロウェザー」に試乗! 住友ゴムの挑戦はオールシーズンタイヤに革命をもたらすか?(後編)[エディターから一言]
webCG
2031年で“創立100周年”…「タイヤ事業」以外にも積極的に事業展開を続けるブリヂストンが目指す“企業の形”とは?
TOKYO FM+